すそはらい「かずや」は学校の”あまそぎ”を退治するー浜田よしかづ「つぐもも」7〜9

母親ゆかりの帯である正絹爪掻本綴袋帯「あやさくら」が年月を経て意識をもつようになった付喪神「桐葉」と、彼女の”ご主人さま”的立ち位置のはずなのだが、完全に下僕扱いされている主人公「加賀見一也(かずや)」をメインキャストにして、ひきよせられてくる妖怪や人の呪詛や想いが結集した怪異「あまそぎ」を、土地神「くくり姫」の「すそはらい」として調伏していく、コメディータッチの「陰陽師」物語の第7弾から第9弾です。

前巻までで、「かずや」をライバル視していた「皇すなお」と対戦した末に「かみがかり」の神技を体得し、「すそはらい」として急成長を遂げた「かずや」が校内に「相談室」という調伏専門の同好会をつくり、本格的な「裾払い」活動に乗り出していきます。

構成と注目ポイント

第7巻 「かずや」は相談室を設置。第一の案件は女子陸上部のあまそぎ

第7巻の構成は

第35話 相談室1
第36話 相談室2
第37話 お騒がせしろう君1
第38話 お騒がせしろう君2
第39話 お騒がせしろう君3

となっていて、第35話では、なんと「桐葉」が上岡東中学校へ転入生として入ってきます。

中学校の校長が、土地神の「くくり」姫と馴染みなので簡単にできたということなのですが、第8巻では、土地神の”くくり姫”も、顧問として赴任してくるという「お気楽設定」はこのシリーズならでは、ですね。

で、「桐葉」が入校して、「かずや」と計画したのは、学校でおきる怪異を把握し、調査解決する「相談室」を設置しようというものです。ここに、「かずや」の同級生の、しろう、おさむ、ちさとを始め、以前に「あまそぎ」の「すそ返し」をうけた”只田”や”奈中井ななこ”たちが参加して活動が始まることとなります。

まず第一の案件は「お騒がせしろう君」事件で、女子陸上部でおきた事件です。陸上部に所属する「水島みつり」という女子生徒は、小柄で記録のほうもぱっとしていなかったのですが、最近、今まで目標にしていた「真中まな」の記録をぬく急成長ぶりで、周囲から驚かれています。
この「みつり」に「かずや」の悪友の「白峰しろう」が「真中まな」と間違って告白してしまったことがきっかけで、「みつり」の持ち物に「あまそぎ」があることが判明します。

「かずや」は、「みつり」の急成長のかげに、彼女が「あまそぎ」を使って、憧れていた「真中まな」を呪い殺そうとしているのだと推理するのですが・・という展開です。

つぐもも : 7 (アクションコミックス)
突然、一也たちの学校へ転校生としてやってきた桐葉。その目的は、学校内で起こ&...

第8巻 伊良波先生の夢に潜入し、あまそぎ枕を破壊せよ

第8巻の構成は

第40話 お騒がせしろう君4
第41話 おっぱいと顧問
第42話 はんてん!1
第43話 はんてん!2
第44話 はんてん!3

となっていて、前半の第40話は、前巻に続いての、女子陸上部のあまそぎ事件の解決編です。

前巻で、「みつり」が「真中まな」を呪っているとした「かずや」の推理は全くの見当違いで、本当の「あまそぎ」は、「まな」が「みつり」に贈った陸上競技シューズですね。ここに、「まな」の「みつり」の競技成績を妨害する呪いがかかっていた、というわけです。
「あまそぎ」に憑依された「まな」と「かずや」たちの「すそはらい」の大バトルをお楽しみください。

残念ながら、「すそ返し」を防止しようとした「みつり」の献身は失敗、何者かの暗躍で、「まな」が「つくもつき」に变化して暴走してしまいます。

後半部分の第42話から第44話は、「かずや」のクラス担任「伊良波いすず」先生がまきおこす”あまそぎ”です。

「かずや」のクラスでは最近、生徒が「眠り病」にかかってしまい、欠席者が増えていく現象が相次ぎます。その原因が伊良波先生にあると推理して、彼女を問い詰めると、彼女は失神し、彼女の夢の中に逃げ込んでしまいます。そこで、夢枕のつぐもも「獏楽ちゃん」の協力を得て、「かずや」たちが、先生の夢の中に潜り込みます。眠り病の原因となっているあまそぎの枕を破壊してもらうよう伊良波先生を説得しよう、というわけですね。

夢の中では、潜入者の性別が反転するのですが、男性に性別転換した「桐葉」こと「桐雄」の凶暴な”色悪”ぶりが発揮されますので、「かずや」こと「かずみ」と「桐雄」の絡みをお楽しみに。

物語の方は、夢の中の伊良波先生(どういうわけか先生は性別反転してません)に出会い、”あまそぎ”の破壊を頼むのですが、彼女は拒否。

そればかりか普段、抑圧されている人間の影の部分を呼び出す「夢灯籠」の力を使って、「桐葉」と「かずや」の”影”を呼び出し、”影”に”表”の「桐葉」と「かずや」を襲わせます。影に負け、囚われると、人格をのっとられてしまうのですが・・・という展開で、ここから、”影”と”表”とのバトル・シーンが始まります。

つぐもも : 8 (アクションコミックス)
殺人シューズのあまそぎ騒動には、背後から全てを操る謎の集団の存在があって!? Ӡ...

第9巻 ”表”と”影”の「かずや」と「桐葉」、最終決戦

第9巻の構成は

第45話 はんてん!4
第46話 はんてん!5
第47話 桐雄君、絶好調
第48話 すなおと虎徹

となっていて、前巻から始まった、”影”と”表”とのバトルが継続します。

”影”は無意識によって抑え込まれることがないため、持っている力のすべてを出し切ることができるので、同じ力を持っているもの同士では、圧倒的に”影”が優位です。持っている力を解放して襲ってくる”影”に対し、”表”は、ドタンバで力を成長させ・・という筋立てです。

そして、”表”のかずや(かずみ)の成長と”影”の撃破を見た”表”の伊良波先生も奮起します。

彼女の「四字熟語」を口にくわえて能力をUPさせる攻撃と桐葉からもらった「根付の葉桜」を使った”ちさと”たちの本の巨人とゴーレム、そしてフレアドラゴンによる攻撃と「モテモテフレグランス(魅了の香水)」による幻惑から

猪突猛進の四字熟語ペーパーでパワーアップした”表”の伊良波先生本人の、渾身の”あまそぎ”「夢枕破壊」を御覧ください。

(ついでに、第47話では夢内への潜入の残留効果で性別反転したままの「桐葉」の暴走行為が引き続き楽しめます)

最終話の「すなおと虎徹」は、”かずや”との勝負で鞘を破壊されて意識を失った「虎徹」の復活物語です。
刀匠によって復元された「虎徹」なのですが、”すなお”が呼びかけても目を覚ましません。おそらく、復活を阻む”わだかまり”を虎徹が抱えているようで、”すなお”は”かずや”とともに、幾千年にわたり強い霊気を浴び続けた石を切り出してつくった霊的な増幅器となる祭壇「臍神洞の響き石」の力を使って、「虎徹」のわだかまりを聞き取ろうとします。

しかし、響石が祀られた洞窟で「虎徹」を安置すると、霊力の増幅効果で、今まで”すなお”と「虎徹”が倒してきた怪異が蘇ってきます。中でも、ずっと昔、”すなお”の兄を殺害した怪異も蘇り、二人を襲ってくるのですが・・という展開です。
”すなお”と「虎徹」の新たな連帯が生まれるお話ですね。

つぐもも : 9 (アクションコミックス)
性別を男女反転させての「夢の中」バトルは最高潮にヒートアップ!! 限界ギリギリ̇...

レビュアーから一言

”かずや”が本格的に「すそはらい」活動を始めるやいなや、校内での「怪異」の出現度が剥がしくなってきます。
その裏には、怪異の出現を操っている存在があるようで、第8巻では、その黒幕と思える男子生徒が

「おのごろ祭りは近い」といった「予言」をしています。
「おのごろ」で連想されるのは「オノゴロ島」で、これは日本書紀にでてくる始祖神であるイザナギノミコト・イザナミノミコトが最初につくった島なのですが、はたして「おのごろ祭り」とは何なのでしょうか?。そして、彼らの狙いは、といったことを秘めての”かずや”と”桐葉”の大活躍とサービスシーンを楽しんでください。

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