ドローン飛行機と無人潜水艦で超大国から独立をかち取れ=福田和代「侵略者 アグレッサー」

航空自衛隊を舞台にした航空謀略ミステリーや、航空自衛隊中央音楽隊を舞台にした不思議な事件、オリンピックを間近に控えた東京で起きる運送網を破壊するパニック・ミステリーを送り出してきたクライシス・ノベルの名手である筆者がおくる、正体不明の勢力と日本を始めとする世界各国との対決を描く物語が本書『福田和代「侵略者 アグレッサー」(光文社)』です。

本書の紹介文には

航空自衛隊飛行教導群に所属するF-15パイロットの森近は、訓練中に不明機の急襲を受ける。何とか空域を脱出した森近だが、同僚の深浦と安田の機体は撃墜され、行方不明となる。二人は目を覚ますと、独立国家樹立を目指す〈ラースランド〉が保有する最新兵器〈クラーケン〉の中に拘束されていた。さらにリムパックによる作戦〈ディープ・ライジング〉によって、〈クラーケン〉を追い詰めるが……。

とあって、スケールの大きな戦闘ものです。

あらすじと注目ポイント

物語は、まず航空自衛隊のF-15と正体不明機とのドッグファイトで始まります。自衛隊機2機と正体不明機アンノウン2機との対決なのですが、自衛隊の1機は撃墜、残る1機は行方不明となり、アンノウン2機はレーダーからこつ然と消えてしまうという、航空自衛隊側の完全な敗北です。そして、行方不明となった自衛隊機の乗組員は国籍不明の潜水艦「クラーケン」に監禁されていて、日本を離れ、どこかへと連れ去られていきます。

この潜水艦は、中東のサウジアラビアの王族出身ながら、テロリストへの資金提供の疑いで家族とともに追放されている「アハマト」という人物がリーダーとなり、独立国家樹立を目指す勢力のものなのですが、無人で運航している原子力潜水艦です。さらには、航空自衛隊のF-15とドッグファイトを演じたアンノウン2機も、無人で操縦するドローンです。

このへんは、ウクライナのドローンによる反撃なども想起されるところで、現代武器の進化をすでに予測していたような感じですね。

そして、最新鋭の科学で武装するアハマトたちは、世界中で民族対立や国家からの弾圧で「失われつつある民族」から30名以上の協力者とともに、国連や世界の有力諸国に「ラースランド」の独立と他国からの不可侵を要求するのですが、これに対して、アメリカの太平洋艦隊、日本の海上自衛隊、オーストラリア海軍の戦艦が「クラーケン」を無力化すべく攻撃を始めます。これに対して、クラーケンの反撃はなんと、電子機器を破壊するある最新武器で・・という展開です。

一方、ラースランドの根拠地である南太平洋の島嶼国家に捕虜となっているF-15のパイロットである、コードネーム・クロウと呼ばれている森近は、アハマドの娘・サルマーの誘導で、この島を脱出し、F-15を奪還してオーストラリアへと飛行していきます。
一見、独立を目指す「ラースランド」への反逆行為のように見えるのですが、実は、コクアメリカの軍艦の一矢報いたとはいえ、超大国たちの軍隊の包囲の中で追い込まれつつある潜水艦・クラーケンとノースランドが逆転打を放つ一手で・・という展開です。

侵略者(アグレッサー)
航空自衛隊飛行教導群に所属するF-15パイロットの森近は、訓練中に不明機の急襲をS...

レビュアーの一言

この物語は、世界各地の滅亡しかけている少数民族やの代表や、国家から追放された政治的少数者が集まって、土地を持たない「国家」の樹立を図るため、世界を牛耳る超大国や大国(この中には「日本」もいれられています)に果敢に挑んでいく物語なのですが、2022年のヨーロッパでの戦乱も想起させる物語です。
現実はこういう感じにはいかないことは百も承知の上で、「サルマー」のようなスーパー少女の登場が夢想されるところです。

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