地政学コンサルはコロンビアのゲリラ地域とスイスの自殺ホテルに潜入=「紛争でしたら八田まで」11~12

目まぐるしく動く国際情勢や、他国人にはわからない民族対立が原因でおこる様々な揉め事を、「地政学」的チセイと、無鉄砲な行動力+プロレス技で解決していくリスク・コンサルタント「八田百合」の活躍を描く、紛争解決マンガ・シリーズ『田素弘「紛争でしたら八田まで」(モーニングコミックス)』の第11弾と第12弾。

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あらすじと注目ポイント

第11巻 地政学コンサルは、左翼ゲリラの旧支配地に潜入する

第11巻の構成は

第88話 コロンビア、メモリー&レボリューション①
第89話 コロンビア、メモリー&レボリューション②
第90話 コロンビア、メモリー&レボリューション③
第91話 コロンビア、メモリー&レボリューション④
第92話 コロンビア、メモリー&レボリューション⑤
第93話 コロンビア、メモリー&レボリューション【完結】
第94話 スイス、中立と自立と魑魅魍魎①

となっていて、「コロンビア編」では、4年前まで左翼ゲリラに実効支配されていたコルドバ県のサンタ・ヘレス村の農業用水の補修プロジェクトに、コロンビアのNPOの依頼で百合が引っ張り出されます。百合は地政学ほか文化系の学問とプロレスには詳しいのですが、治水学を始めとした土木系・農業水利系にはとんと疎いのですが、現地調査に赴くNPOの青年団員のヘルプを頼まれたわけですね。

その同行するメンバーというのが、日本のマンガ・オタクのヴィトと元警察官のアレハンドラという二人で、この三人が現地へ行く飛行場で出会ったのが、左翼ゲリラ「国民解放戦線」の元最高司令官・エスカミラです。彼とは、百合たちの調査先でも会うのですが、彼の目的は?といった筋立てです。村での調査中、ゲリラにヴィトたちが襲われ誘拐されたという事態が起きたため、転向したのはフェイクで、実は引き続きゲリラの黒幕なのでは、と疑われるところなのですが・・という展開です。

エスカミラの前にかつてのゲリラの盟友・コルテスが現れたとき、すべてが明らかになるのですが、鍵を握るのは意外にも、警備で参加していたアレハンドラで権力を握る政府系資本家層と貧しい虐げられた農民系のゲリラ勢力というステロタイプな構図にはなっていかないことに注意しておきましょう。

紛争でしたら八田まで(11) (モーニングコミックス)
イギリスを軸に、フリーの地政学リスクコンサルタントとして世界中で働く八田百&...

第12巻 地政学コンサルは、3か国の国境近くの自殺斡旋ホテルの秘密の利用法に気づく

第12巻の収録は

第95話 スイス、中立と自立と魑魅魍魎②
第96話 スイス、中立と自立と魑魅魍魎③
第97話 スイス、中立と自立と魑魅魍魎④
第98話 スイス、中立と自立と魑魅魍魎⑤
第99話 アレックスの憂鬱
第100話 台湾、ヒストリー&ミステリー&アイデンティティ①
第101話 台湾、ヒストリー&ミステリー&アイデンティティ②
第102話 台湾、ヒストリー&ミステリー&アイデンティティ③

となっていて、前半の「スイス編」では、レマン湖の近く「モントルー」でホテルを経営する若き経営者「ロルフ・シュミッド」からの依頼です。彼が、本拠地のホテル以外にバーゼル郊外で経営しているホテルで、「自殺を斡旋している」という噂の真相究明を頼まれ、百合は、目的は不明ながら彼女と同じように、自殺ツーリングのことを調べているディディエというフリーの警察官あがりの探偵と共同調査を始めることとなります。

バーゼルにある二号店ともいえるホテルはロルフの妻・カミーユが運営しているのですが、彼女もロルフ同様、ホテル経営に熱心で、そういう怪しげな噂に加担しているとは思えないのですが、イタリアやフランスのマフィアの幹部たちがときおり利用していることや、ホテル内の部屋のいくつかが監視カメラのエリア外で、非常口からの出入りも可能なことなど不審な点をいくつか見つけます。そして怪しい人物たちが利用するとき、いつも元保護観察官で、ホテルのアドバイザーになっているマルコ・ビアンキという元マフィアの男が出入りしていることを突き止めるのですが・・という展開です。

ドイツ・フランス・スイスという3か国の国境が交わるバーゼルという特殊な立地環境にあることや、ホテルの経営者・ロルフがホテルマンの仕事に忠実で、宿泊客の顧客情報がしっかり守られる、ということが逆に利用された事件となっています。

後半の「台湾編」は、百合の「アナリスト」的な役割をいつも果たしてくれるS・P・Aの同僚「アレックス」の頼みで台湾へと向かいます。LGBTQである彼は、故郷の母親や親戚の偏見の目を逃れてイギリスにやってきたのですが、彼を台湾から送り出してくれた祖父父が危篤だというので、しぶしぶ帰国したのですが、付き添いとして百合を連れてきた、という経緯です。百合は、この祖父がうわごとのように口にする「人形を探してくれ」という言葉の意味を、アレックスとともに調査を始めます。祖父は学生時代「布袋劇団」という人形劇を上演する劇団の人形師をやっていたそうで、それが何かの手がかりになりそうなのですが・・という展開です。

この話は祖父の通っていた学校の廃墟に潜入したところで、次巻につながっていきます。

紛争でしたら八田まで(12) (モーニングコミックス)
イギリスを軸に、フリーの地政学リスクコンサルタントとして世界中で働く八田百&...

レビュアーの一言

このシリーズの売り物の一つである「地政学コンサル・八田百合の食べる民族食」は、夕食のほかに朝食系も豊富に紹介されているのですが、コロンビア編では、バナナ・マンゴー・パプリカ・ココナッツなどを入れた飲み物「サルピコン」、豚の皮を揚げたチチャロン、チョリソ、目玉焼き、アボガド、バナナ、煮込んだ豆、ご飯などを持った朝食のソウルフード「バンデハ・パイサ」、スイス編では、子牛の肉に豚肉をまぜてつくったソーセージ「オルマ・ブラートブルスト」などのソーセージの数々、台湾編では、パイナップルを豆麹や塩で漬け込んだ「蔭鳳梨」や甘くないクレープと卵を巻いたものでハムやチーズを挟んだ「蛋餅」といったメニューが出てきます。

いずれも、かなりボリューミーなものが多いのですが、それをモリモリ食うのが彼女の力の源泉であるような気がします。

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