バスティーユ襲撃に飽き足らないサン・ジュストは国王暗殺を企てる=「断頭のアルカンジュ」3

バスティーユ監獄の襲撃によってはじまる「フランス革命」で、もっとも過激な恐怖政治を敷いた、ジャコバン党のリーダー「ロベスピエール」の右腕として、ルイ16世やマリー・アントワネットを始めとするフランスの王族や貴族を断頭台に送り込み、「革命の大天使」あるいは「死の天使長」という異名をとった、フランス革命期の血塗られた政治家「サン・ジュスト」を主人公に描く”フランス革命”コミック『花井ソラ・メイジメロウ「断頭のアルカンジュ」(ゼノンコミックス)』の第3弾。

前巻で民衆を蜂起させ、国王や貴族を血祭りにあげるため、廃兵院に貯蔵されている武器を奪うため、廃兵院の院長・ドルマンセを処刑したサン・ジュストだったのですが、今回は、直接、国王ルイ16世を狙った暗殺計画の顛末とその後が描かれます。

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あらすじと注目ポイント

構成は

第12話 幕開け
第13話 共鳴
第14話 さよなら聖人Ⅰ
第15話 さよなら聖人Ⅱ
第16話 さよなら聖人Ⅲ
第17話 復活

となっていて、冒頭では、前巻でサン・ジュストが院長を始末し、民衆が武器を持ち出しやすくし、収監されているサド伯爵にアジテーションさせ、民衆の一斉蜂起を狙うのですかそれにはなにかきっかけが必要となります。

サン・ジュストは自分が表に立つのは避け、知り合いのデムーランを火付け役に仕立てます。

目立ちたがり屋で、おだてになりやすい彼を、うまく使った、というところです。

このバスティーユ監獄の襲撃によって、パリの市長が革命派に交代するなど、王国は変化を始めるのですが、民衆の王室への信頼は揺るぎません。妹マリーが安心して暮らすフランスを実現するためには、王室打倒が必要と考えるサン・ジュストには、不満が溜まっていきます。

その様子を見たロベスピエールはサン・ジュストと国王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットとの面談を仕立てます。

しかし、国王と貴族の特別さを主張する国王の発言に反発した、サン・ジュストは単独で、ルイ16世の暗殺を企てるのですが・・・という展開です。

当然、これは国王を狙った重大事件で、王室の権力がまだ確かだった時期であるため、国家反逆罪に問われる重罪であるため、サン・ジュストと彼の忠実な従者であるジャンの運命を大きく変えていくことになり、少しネタバレしておくと、ジャン・ジュストはその後、地方国民衛兵隊の将校となるのですが、これに至る詳細は原書のほうでどうぞ。

この「国民衛兵」はフランス革命期に、従来の常備軍や国王警備隊に代わって国内各都市で組織された民兵組織で、後にナポレオンによって武装解除され海産させられたものの、ナポレオン失脚後復活し、19世紀の7月革命と2月革命の時には重要な卓割を再び果たしています。当初は中産階級に支持拠点を置く、立憲君主制を支持する組織だったのですが、1992年に革命派のサンテールが実権を掌握してから過激な革命軍としての動きが強まってきたと言われています。

次巻以降は、この組織内でのサン・ジュストの煽動行為も明らかになってくるのではないでしょうか。

レビュアーの一言

物語の後半、ジャンを襲った過酷な運命へのショックで、サン・ジュストはバスティーユ襲撃事件からほぼ一年後の1790年7月にパリでロベスピエールに再会するまで、故郷のブレランクールに逼塞しています。

この1年間の間に、パンの高騰に不満をもった女性を中心とする民衆が、ベルサイユ宮殿に押しかけ包囲し、国王一家をパリのテュイルリー宮殿に転居させた「ベルサイユ行進」事件や、第一身分(聖職者)と第二身分(貴族)が廃止されたり、と革命の波は着実にフランスを変えていっていて、バスティーユ監獄襲撃時には確かにあった国王一家への敬愛の雰囲気もだんだんと変化していったのだと思われます。

さらにこれは1791年6月に国王一家が国外逃亡を企て捕まったことで、決定的に悪化するのですが、これは次巻以降の展開ですね。

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