日本の架空の都市、岡島県町山市の市街地から離れた田舎にある町山署の町山交番に勤務する、安定した職場と収入を求めて警察官となった新人巡査・川合麻依をメインキャスト、警察官にふさわしくない美貌と、男性警察官を上回るゴリラ的精神をもつ川合の指導をするペア長・藤聖子巡査部長、抜群の取り調べの才能とチャラさを併せ持つ刑事課の源誠二巡査部長、源に忠誠を誓う山田武司巡査をサブキャストに、警察の内部情報に溢れたポリス・ストーリーのシリーズ『泰三子「ハコヅメ 交番女子の逆襲」（モーニングKC）』の第１弾から第３弾。
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あらすじと注目ポイント
第１巻 新人のおかっぱ警察官、交番の美人ゴリラ女性警察官とペアを組まされる
第１巻の構成は
その１ ハコから逃げろ アンボックス
その２ サンドバッグ
その３ ビギナーズラック
その４ ポリス・ジャングル
その５ エース登場！
その６ 遺体は語る
その７ 拝啓お犬様
その８ ランナーズ・ハイ
となっていて、シリーズの最初は、安定した職と収入を求めて警察官となり、岡島県の町山署の町山交番へ配属された川合麻合が、ペア長となる美人のゴリラ女性警察官・藤聖子と出会い、最初のパトロールにでかけるところから始まります。
この最初のパトロールで連続空き巣犯を検挙したり、と藤巡査部長のキレ者さが発揮されるのですが、彼女が部下へのパワハラで刑事課のエースであったのが交番勤務に左遷された人物であることをあわせて川合は知ることとなります。
この巻では、藤巡査部長や町山署刑事部の源巡査部長によって、警察官のイロハを学んでいくことになります。
第２巻 源巡査部長の「人たらし」の取り調べの技に注目しよう
第２巻の構成は
その９ 深夜のパトロール
その10 VS.チカン
その11 暴走ポリス
その12 尾行選手権
その13 人たらし
その14 合コン狂騒曲
その15 正義の暴走
その16 筋肉バカ
その17 逮捕術
となっていて、前半では、チカン行為を金で示談にしようとしている会社役員の男をいかにして自白させるために、町山交番の藤、川合、刑事課操作一係の牧高が現場再現の取り調べを行って、その男を陥落させてしまいます。男の羞恥心と罪悪感を目一杯煽り立てる彼女たちの技を御覧ください。
中盤では薬物捜査は、源＋川合、藤＋山田のコンビでアベックに偽装して尾行捜査をするのですが、ここで相性の悪さが見事に発揮されています。
その後の「人たらし」では、検挙した薬物の売人の情婦・ユカリの取り調べを「源巡査部長」が行うのですが、取り調べの名手の言われている彼は、事件の本筋にふれることなく、延々と身の上話を聞き続けます。そして、被疑者からは何も本筋の情報が得られないまま勾留最終日を迎えるのですが、この日も焦る川合を前にして、源は「好きな男のしたことを警察に話すの、できないでしょ」と言って取り調べを終わろうとします。そして、この後の源のセリフがユカリの心を溶かすもので・・という展開です。源の「落とし」の技は原署のほうでどうぞ。
後半では、次巻以降で重要な役回りをする副署長の奥さんが登場します。彼女も元警察官のようなのですが、ここでは彼女の観察眼の鋭さを覚えておきましょう。
第３巻 麻合は、似顔絵捜査官として才能を見出される
第３巻の構成は
その18 UFO
その19 大麻と似顔絵
その20 似顔絵狂騒録
その21 再現人形
その22 捜査一課
その23 勝負は一瞬
その24 コマよ走れ
その25 警察手帳
その26 新任の秘密
となっていて前半では、路地裏に引きずり込んで女子高校生に乱暴した犯人の捜査で、「似顔絵」の才能が川合にあることが判明します。
「絵」としては上手いわけでないのですが、容疑者の特徴が見事に強調されたもので、捜査員たちの想像力と記憶力をかきたてるものですね。
さらに、犯行のことを忘れたがっている女子生徒から詳細を聞き出す必要が出てくるのですが、ここで「牧高」の誠実さが試されます。
そして最後を締めるのは、主犯を追い詰めていく川合を後ろから追い上げ、息が上がり始めた川合に変わって犯人を追い詰める「源巡査部長」ですね。
レビュアーの一言
「藤聖子」役に戸田恵梨香さん、「川合麻合」に永野芽郁さんのキャストで2021年にTVドラマ化された「ハコヅメ」ですが、作者の秦三子さんが10年間現職警察官であった経験がそこかしこに散りばめれた、秘話系ネタもはいったリアル・警察官物語でもありますね。
今回レポートした第１巻から第３巻のタームでは、「辞めたい」と何度も思いながら、ペア長の藤巡査部長や署の先輩たちに囲まれて、新米警官・川合麻合が警察官として成長していくシリーズ幕開けにふさわしい話が続いてますので、これからこのシリーズを読む人がぜひ最初から読んでほしいですね。
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