辺境駐在員

ワークスタイル

サラリーマンにいつか訪れる「定年後」を機嫌よく生きるための処方箋 — 楠木 新「定年後 50歳からの生き方、終わり方 」(中公新書)

自営業やフリーランスの人、あるいは経営者の方々には、「定年」なんて他人に決められた物事に様々なことを左右されるなんて、といった思いがるだろう。しかし、今のところ、日本の多くの人は「勤め人」であることに間違いはないし、ましてや、高度成長からバ...
和田はつ子

昔ながらの「骨っぽい」時代小説の幕開け — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 雛の鮨」(時代小説文庫)

初版が2007年と10年前の時代小説であるせいか、今時の時代小説の「ふわっ」とした感じは薄い。主人公は、長崎奉行を務めたこともある名門・鷲尾家の家臣であったが訳あって出奔し、今は料理屋の板前をしている季蔵(武家の時は、「堀田季之助」という名...
坂井希久子

「ぜんや」は今日も大賑わい — 坂井希久子「居酒屋ぜんや ふんわり穴子天」(時代小説文庫)

江戸の町中の居酒屋を舞台に繰り広げる、人情時代もの「ぜん屋」シリーズの第2弾 今回の収録は 「花の宴」 「鮎売り」 「立葵」 「翡翠蛸」 「送り火」 となっていて、第1巻を読んだ方は、その最後のほうの「お妙さん」を妾にしようという企みのその...
坂井希久子

「奢侈禁止」でも美味いものは食いたいのが人情というもの — 坂井希久子「居酒屋ぜんや ほかほか蕗ご飯」(時代小説文庫)

時代小説の主人公は二色に分かれる。一つは、剣客小説や捕物帳に描かれる、風采は別にして剣術などに秀でたマッチョなタイプと、市井の人情ものに描かれる、力仕事は頼りにならないが、変わった特技や温厚な人柄の主である。 本書は後者に属していて、主人公...
ビジネス

「現場の力」を発揮する方法論とは — 遠藤功「未来のスケッチ」(あさ出版)

企業や組織の成功譚に起因するビジネス書というのは、一種の危険性を有していて、その企業なりが時間の経過で業績を凋落させたり、不祥事で非難を被ったりすると、そのビジネス書で推奨した手法なりも、もろともに葬られてしまう。 その点、本書でとりあげる...
読書

ビジネス読書には「教養書」が必須 — 山口 周「外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術」(中経出版)

<br /> 帯に「MBAに行かずに独学だけで・・・」「1000冊読んで・・・」といった言葉が踊るので「多読の読書術」と思うむきもあるかもしれないが、むしろ「精読の読書術」といった趣があるので注意しておいたほうがいい。 構成は 第1章 「仕...
ビジネス

「論理的思考」は究極の仕事術ではないかも — 山口 周「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」(光文社新書)

「美術」といえば、当方の学生時代は、よほど成績が良くて、しかも絵心のあるというかなり特殊な、語弊を恐れず言うと、コミックの中でしかないようなものだったのだが、どうやら、エリートというか組織の決定権を持つ人にとっては、重要な価値判断は「美意識...
ビジネス

「礼」に始まり「礼」に終わる「掃除」で評判を勝ち得た会社の真髄は? — 遠藤功「新幹線お掃除の天使たち」(アサ出版)

最近、偽装やら違法な検査体制などが続発して、日本企業の美点といわれていたものが、かなり揺らいでいる。しかも今まで評判の高い企業でおおがかりな不正がでてくるものだから、企業の成功物語や好事例をとりあげると、あとから「あらら〜」となることがある...
伊東潤

「野望」に憑かれた男たちの物語 — 伊東 潤「王になろうとした男」(文春文庫)

「英雄」というものは遠目から見ている分には、燭光のように輝いて、あたり照らしているように見えるのだが、近くにいればいるほど、その熱量の強さに耐えきれなくなるものであるような気がしていて、その強さは英雄度の高さに比例していると思っている。そし...
ビジネス

「23年」という時間のもつ重み — 国谷裕子「キャスターという仕事」(岩波新書)

本書の冒頭を読んで「23年か・・」という言葉が思わず出た。長寿テレビ番組は数々あるが、ほぼ毎日、デイリーでトピックな話題を、より客観的な視点から取り上げ、世論の潮流をつくってきた、「名物キャスター」国谷裕子氏への賛辞でもありつつ、良きも悪き...