辺境駐在員

和田はつ子

陰惨な事件は「獣肉」料理で口直しをしよう — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 ひとり膳」(時代小説文庫)

季蔵捕物控シリーズの第11弾は、季蔵の師匠・長次郎の残した「三段重提げ弁当」に関わる話。 収録は 第一話 梅見鰤 第二話 饅頭卵 第三話 吹立菜 第四話 ひとり膳 2月の声が聞こえるようになると、塩梅屋でも「梅」にちなんだ「梅見弁当」をつく...
西條奈加

菓子の甘さに隠された江戸の「家族」の人情話 — 西條奈加「まるまるの毬」(講談社文庫)

親子三代で営む、小さな江戸の菓子屋「南星屋」を舞台にした時代小説。   収録は   「カスドース」 「若みどり」 「まるまるの毬(いが)」 「大鶉(おおうずら)」 「梅枝(うめがえ)」 「松の風」 「南天月(なんてんづき)」   の7編。 ...
和田はつ子

10年前の殺人が発端となる、隠された秘宝をめぐる大量殺人 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 思い出鍋」(時代小説文庫)

第9弾で、秘宝探しにまつわっておきた事件の解決編が第10弾。9弾目の「菊花酒」の最終話「黄翡翠芋」の続きといったところ。 収録は 第1話 相愛まんじゅう 第2話 希望餅 第3話 牛蒡孝行 第4話 思い出鍋 第1話で、塩梅屋が筍の調達で世話に...
ビジネス

「一日」を分で計算してマネジメントする — ケビン・クルーズ「1440分の使い方」

「1440分」とは1日を「分」で表示したもの。確かにこれぐらいの数字で見ると、多いようで少ない、微妙な分量感を覚えるから不思議だ。 本書は、その「1440分」の時間管理術ではあるのだが、アメリカの時間管理本らしく、成功者へのインタビューから...
和田はつ子

元許嫁・瑠璃の心を騒がせる”男性”が登場するのだが・・・ — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 菊花酒」(時代小説文庫)

最初、短編で始まった物語もシリーズ化してくると、だんだんと中編・長編となることが多いのだが、この料理人・季蔵シリーズも一冊で筋立てが完了するといった態になってきた。 さて、シリーズ第9弾の収録は 第一話 下り鰹 第二話 菊花酒 第三話 御松...
テクノロジー

「AI]に追い抜かれるのはいつなのか、と「親」のような気分で考えてみる — 斎藤和紀「シンギュラリティ・ビジネス ーAI時代に勝ち残る企業と人の条件」(幻冬舎新書)

新しい技術というものは当然。光の部分と影の部分があって、どちらにその目を向けるかがくっきりと分かれるものだのだが、「AI」については、職が奪われるという否定的な側面が結構強く主張されているような気がする。 もちろん「AI」が人間の知能を追い...
出口治明

「教養」という言葉で何を連想しますか? — 出口治明「人生を面白くする 本物の教養 」(幻冬舎新書)

「教養」という言葉ほど、日本の近現代の中で、明治から昭和初期の頂上のあたりから、バブル崩壊後グローバリズム全盛期の底辺期まで、毀誉褒貶のアップダウンが激しかった言葉もないような気がしている。  そして、現在の混沌期も「教養」というものに対す...
和田はつ子

怪談落語の影には、昔の未解決事件あり — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 へっつい飯」(時代小説文庫)

シリーズ8作目の季節は夏で、6作目と同じ趣向で、落語仕立てである。ただ、6作目と少々異なるのは、収録されているそれぞれの話が完全に独立ということではなくで、太い筋を基本において、一つの話としてまとまりをもっていること。   収録は 「へっつ...
坂井希久子

物語は進行する。けれど謎は深まる — 坂井希久子「居酒屋ぜんや ころころ手鞠ずし」(時代小説文庫)

「ほかほか蕗ご飯」「ふんわり穴子天」に続いての「居酒屋 ぜんや」シリーズの三作目。 収録は 「大嵐」 「賽の目」 「紅葉の手」 「蒸し蕎麦」 「煤払い」  の五話。 林只次郎も「ぜんや」の馴染となってきて、そろそろ女将の「お妙」との仲が心配...
ビジネス

立身出世だけにとらわれない、汎用的な「リーダー論」の基本書の一つ — 河野英太郎「99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ」 (Discover)

前著「99%の人がしていないたった1%のコツ」で仕事の段取り関係のビジネス本で評判をとった著者の今度は「リーダー論」。 「リーダー論」というと、どうしても会社などの組織上の「地位」と密接不可分なところがあって、例えば佐々木常夫氏の「そうか、...