いつでも、どこでも「デキる」人の行動法則 — 相原孝夫「ハイパフォーマー 彼らの法則」(日経プレミアムシリーズ

どこの職場でも「エース」と言われる人はいるものなのだが、コンスタントに懸案課題を解決したり、実績を出す人というのはいるようでいない。本書は、そうした人材へのインタビューやゔょうさを通じて、恒常的に高いレベルで成果を上げる人についてのレポートである。

構成は

第1章 前向きなあのひとが、なぜ結果を残せないのか

第2章 良くも、悪くも、すべては循環する

第3章 期待の新人は、なぜ「平凡な社員」になったのか

第4章 失敗から学ぶ彼らにとって、「ゲーム」だ

第5章 彼らは、とにかく「小さな行動」を続ける

第6章 彼らは身近な人を支援し、成功を助ける

第7章 彼らは、たまたまの成果を喜ばない

第8章 彼らは、環境が変わっても瞬時に溶け込む

終 章 職業人生を終える時、どういう思いをもちたいのか

となっていて、こうした「デキる人」のレポートは、能力自慢や明るい性格傾向といった、とてつもなく「正」の部分が強調されすぎるきらいもあるのだが、本書は

どんな境遇もポジティブに捉えて前向きに進むことは生きていく上でたしかに重要なことである。それ自体、否定されるべきことではない。しかし、様々な事象を見てみると、ポジティブ思考が必ず良い成果を引き寄せるとは限らない事が多い。(P26)

ネガティブ思考の人は、「もし別の方法を採っていたら、うまくいっていたかもしれない」と考える。この考えは次回への教訓になるため、次のいい結果をもたらす可能性が高まる。ポジティブ思考の人は、「今回採った方法が最善であったに違いない」と考えてやり過ごす。こうした感揚げは、あまり落ち込まずにすむという点においては有効だが、物事を改善し、次回以降のパフォーマンスを高めたい場合にはあまり役にたたない(P26)

「問題解決力に自信」が悪循環を招く(P42)

自分の技術力や交渉力に自身があることがかえって災いしており、問題の予兆を見過ごしている可能性があり、それが悪循環を招いている可能性があった。問題が発生してから対処するので、付け焼刃的な対応になったり、他のプロジェクトに遅れが生じたりする。(P43)

といったあたりは、世間よくある「成功のためのメソッド」へ高らかに反旗をひるがえしており、「うむ、なかなかですな」と頷くところも多い。

そして、結構以外なのが、ハイパフォーマーとされる人の、行動傾向、性格軽傾向で

「プロセス重視」の姿勢や「他者尊重」「周囲との関係性重視」の姿勢は好循環につながりやすく、一方、「過度な結果重視」や「周囲との関係軽視」は悪循環を招きやすい (P74)

ハイパフォーマーの多くは、失敗体験についても躊躇することなく語った。しかも、成功体験を語り場合とほとんど変わりなく、事細かにその時の状況を記憶していた。自分の役割だけでなく、関係していた人たちの特徴や役割についても詳細に語った。

一方、アベレージパフォーマーの多くは、成功体験については雄弁に語るものの、失敗体験となると途端にトーンダウンした。(P99)

ハイパフォーマーたちを分析していて分かったことがある。失敗の受け止めは「楽観性」とセットになっているということだ。深刻になり過ぎずに比較的さらりと受け止めることができる。感情面はスルーし、事実だけ受け止めるため、必要以上にダメージを受けない。

「ビジネスは所詮ゲームだから」という意見をハイパフォーマーの人たちから幾度も聞いたことがある。これも不思議にハイパフォーマー以外の人たちからは聞くことのない意見である。もちろん、不真面目なわけではない。仕事に対して真剣に取り組んでも、深刻にはなり過ぎない。「最悪でも、会社をクビになるくらいなもの」といった割り切った意見が聞かれる。

そのような人たちは、失敗しても、自分自身を否定するわけではなく、その時の状況やその中での自分の判断や行動を客観的に振り返れるのだ。(P106)

といったところは、ハイパフォーマーと呼ばれる人は、能力がべらぼうに高いというよりは、精神的なしなやかさ、強さといったものの特性によることが多いようであり、

自分を環境に即座にあわさせることができる人は、他者から学ぶことにも長けている。他者の経験を聞いて、あたかも自分で経験したかのように疑似体験ができるのだ。「疑似体験力」とも言える能力である。現実感をもってイメージすることが出来るのだ。

そのような人は、ロールモデルといえるような人が近くにいさえすればえ、瞬く間にキャッチアップすることができる。ロールモデルが身近においてもレベルアップを図れない人と、図れる人との差はこの能力の違いにあると考えられる。(P200)

といったところでは、柔軟性の高さをもっと評価すべきでは、という思いにもかられる。

ハイパフォーマーの人たちは、日本企業が元気だった頃の行動原理を忠実に再現している人たち(P222)

個人として組織の中で成功するための行動原理は、昔も今も変わらない(P223)

といったところには、少し「昔は良かった」的なことを感じるのであるが、現代的な成果一辺倒主義、組織運営の面で、少しギクシャクしているのも確か。高度成長期やバブル期のような「人脂」べったりという人間関係はちょっと気が重いのであるが、「人と人とのつながり」をいかに成果主義の中に溶け込ませるか、をもっと研究してみるべきかもしれないですね。

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