堀 正岳・中牟田洋子 「モレスキン 「伝説のノート」活用術」(ダイヤモンド社)

文房具や情報処理の方法論は流行りすたりがあるのだが、デジタル系で流行るものが出ると、それに対抗するようにアナログ系のものが台東してくるっていうのが持論であるのだが、2014年・2015年あたりにアナログ系のノート術・情報整理術で気を引くものがでてこないのは、スマホブームも落ち着いて、デジタル系の尖ったものがでてきていないせいなのかも、と先だってのエントリーでも述べた。
本書は「モレスキン」ブームの中心本といっていいのだが、初出は2010年で、この年はEvernoteのWeb版が日本語化された年でもある。デジタル・アナログ双方とも賑やかであった年のリリースである、
構成は、
第1章 なぜ、モレスキンノートが選ばれるのか
第2章 モレスキンノートに人生を入れる
第3章 モレスキンノート「3ステップ活用法」
第4章 モレスキンノート「ビジネス活用術」
第5章 モレスキンノート「生活活用術」
第6章 モレスキンノート「DIYカスタマイズ術」
第7章 モレスキンノートと相性のいい文房具
となっているのだが、一般には馴染みのなかったモレスキンという高級ノートを、「あこがれのノート」に押し上げた割に、モレスキン売らんかな、という調子の紹介本ではない。勉強や会議の備忘録、スケジュール帳としての利用が中心で、どちらかといえばシステム手帳の脇にいた「綴じノート」を、人生の記録、ユビキタス・キャプチャーの主役として据えようという提案が中心の本である。
例えば、時系列で記入する、記憶したいことがあったその場で記録する、「こんなことは書いても意味が無い」というハードルを下げる、といったユビキタス・キャプチャーの基本論であるとか、ノートに記入されたものへの「毎日レビュー」「週次レビュー」によるふりかえりと追加の書き込みの仕方、ページとページとのリンクやタグつけや、GTDシステムの構築などの方法論が熱く語られている。
こうした使い方をする場合、持ち歩き頻度や、開け閉め、追記の回数が増えるから、通常の綴じノートより、モレスキンのような堅牢なノートであるほうがたしかに良いことは間違いない。ただ、如何せん、「お高い」。ブームの頃はダイソーのダイスキン、Seiriaのセリスキン、Ceinzのカイスキンなどなど、お安い類似品が世にあふれた、というのも無理はない。
ただまあ、本書の肝のところは、人生を「ノートに入れる」、ノートを人生の友とする、ということであろうから、大ブームの去った今、手触りや堅牢性を好んでモレスキンを使うも良し、代用品や普通の綴じノートにするもよし。
「モノ」を愛着をもって何度も見返し、手書きする、というアナログならではの良さを堪能すべきであろうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました