最近珍しい「熱い」ビジネス本 — 金川顕教「すごい効率化」(KADOKAWA)

最近、効率的な仕事を目指すノウハウ本やビジネス本も、働き方改革の時代を反映してか、ソフィスティケートされたものが増えているようなのだが、こちらは

一般的に仕事ができる人というのは、孤独な人でもあるのです。やはり人よりも結果を出せるということは、みんながやらないことをやり続けられるからであって、そういう人はどこかで一人孤独に作業しているものです。  そのため、人が遊んでいる時間や寝ている時間に、家族や同僚と離れ、孤独に耐えて朝活・夜活をするのは、一流になるための第一歩と言えます。(位置253)

とあるように、かなりハードボイルドなビジネス本である。

構成は

1日目 決まった場所と時間を作る

2日目 パソコン環境を徹底的に整える

3日目 操作・入力をほぼ自動化する

4日目 時間を断捨離する

5日目 CAPDでまず検証する

6日目 頭が良くなる「箇条書き記録法」

7日目 しないことリストをつくる

8日目 自分だけではなくチームで効率化する

9日目 50%で見切り発車する

10日目 超効率・情報収集術

11日目 超効率・時間管理術

12日目 睡眠を極める

13日目 食事や運動にこだわる

14日目 コミュニケーションを極める

となっていて、本書によれば「これらを14日間で学び、すべて実戦していただければ、たった2週間で理想の自分まで辿り着くための道筋を描くことが可能となります」とのこと。

まあ、そこまで気張らずともよいが、メソッド的には結構豊富に用意されているのは確か。

例えば、「朝活・夜活」の場所については

どこの店がおすすめというのは特にありません。カフェでも、マックでも、夜なら一人居酒屋でもかまいません。  私は店の形態や場所よりも、自分専用の席を確保できることが重要だと考えています。すなわち、「ここにいつも座る」という「マイ席」を持てる店です。(位置266)

とか

いつも注文メニューは同じにすることです。例えば、朝は常にアイスティを頼み、このサンドイッチを食べる、といったように、毎日ルーティン化します。夜、居酒屋でやるなら、常にビール1杯頼んで、その時間だけ集中するとしてもいいでしょう。  意識すべきは、「ここに来たら常に仕事のための作業をする」、その習慣を身体に覚えさせることです。(位置279)

とか、店にこだわるのではなく、シチュエーションに拘るところが、バリバリのビジネス本らしい。

さらには、2日目の「パソコン環境」のあたりでは「資料は紙ではなくデータでとっておくべきです」(位置361)や「手帖やノートは使わず、メモはすべてパソコン化スマホで取るようにするのです」(位置370)など、とかくアナログな記録がメインの日本の昔ながらの職場ではちょっと勇気のいる提案もあるが、すべて出来ないにしても、できるだけ尖った仕事のやり方を心がけたほうがかえって楽になることもあるのは確かである。

また、もう一つ注目しておきたいのは、最近流行りの「PDCA」ではなく「CAPD」のススメ。というのも

普通にPDCAで計画を立てることから始めるのは非常に危険だというのが私の見解です。理由は、まだやっていないことはそもそも有効な計画が立てられないからです。(位置729)

というのは卓見で、

例えば、試験に受かった人はどうやって勉強していたのか? 一方で落ちた人はどうしていたか? 不合格の人はどこを改善すればよかったのか?──そうした評価の視点から、改善点を理解したうえで計画を立て、実行すれば、より確実に結果に結びつくはずです。  世間で広く知られるPDCAではなく、チェック・検証から始まるCAPDサイクルを回すこと。これこそが、本当に効率的な手法なのです。

というのはなるほどね、と思いつつも、身近に「C(チェック)」の手本のない「先例」のない場合のメソッドは、もうひと工夫いるということであろう。

もっとも、情報収集の一番効率的な方法として「本をよむことを」をあげ、しかも「同じテーマのものを何冊も読む」「メモをとったりSNSに投稿したり、インプットと同じ割合のアウトプットをする」といったオーソドックスなこともおさえてあるので、レイト・マジョリティの人も抵抗はなかろう。

さて、後半部分の「見切り発車力」とか

毎日集中力を保ち、やり続けるにはどうすべきか。究極的には集中力を上げようとしない状態になることです。

ではそういった状態に持っていくためには何をすべきか。まずは覚悟を決めて自分を追い込むことだと思います。(位置1462)

とか、力溢れるビジネス本特有の熱っぽさに、ちょっと引いてしまう人もあるかもしれないが、ビジネス本は、その人がその人なりに読めば良い、というのが当方の持論である。そう思えば、この本の「熱さ」も、良い示唆を鋳いく含んでいると思うのだがいかがであろうか。

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