トヨタ流の仕事術である”紙一枚”の「思想」のところが学べるビジネス本 — 浅田すぐる「トヨタで学んだ「紙1枚」にまとめる技術」(サンマーク出版)

ひと頃、仕事術は「猫も杓子もトヨタ、トヨタ」の時があって、それは、「猫も杓子もアップル、アップル」「猫も杓子もGoogle、Google」「猫も杓子もサムスン、サムスン」と同じ「流行り廃りもの」であるのだが、少なくとも、このA3ないしはA41枚で仕事の書類をまとめるという手法は、なかなか真似出来ない「カイゼン」に比べ、個人レベルでも導入できる、仕事術のスキルとして評価してよい。
本書の構成は
Chapter1 なぜ、トヨタはナンバーワンなのか
Chapter2 トヨタで学んだ「紙一枚」にまとめる技術〜基本編〜
Chapter3 トヨタで学んだ「紙一枚」にまとめる技術〜応用編〜
となっていて、Chapter1は、仕事のもろもろを「1枚の紙」にまとめるメリットが説明され、Chapter2では「エクセル1」というフォーマット、Chapter3では、エキセル1の応用形でもある「ロジック3」のフォーマットと実際の活用方法が解説されるという構成。
先だってレビューした「高橋政史「すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術」」と少々被るところもあるのだが、そこは同じ「紙一枚にまとめる」というコンセプトを扱ったビジネス書ゆえ致し方ないところか。
ちょっと意外だったのは
トヨタでは通常、A3用紙を横にシて使います。ふだんお業務ではA4サイズの用紙を使うことが大半でしたが、企画症やスケジュール管理等の複雑な案件に関しては、より一覧性に優れたA3サイズを用いました
というところで、トヨタ式の書類作成というと必ず「A3」ということが喧伝されているのだが、そこはやはり柔軟に場合・状況に応じてだよな、と安心してみる。
で、ちょっと注意を要するのは、「まとめる技術」とあるように、本書は、トヨタのプレゼン資料のまとめ方とか、ビジュアルな構成の仕方をレクチャーするものではなく、あくまでも発想を「トヨタの紙一枚にまとめる方式」の理念にそってまとめる方法のレクチャーである。
「エクセル1」にしろ、「ロジック」3」にしろ、フォーマットそのものは複雑なものではなく、その使い方が「ほぉ」とうならせるもので、しかもいくつかのビジネスシーンでの実際の使い方が紹介されているところが肝である。
その意味で、本書を読んだだけでは、あくまで手法の知識を得たというレベルに留まるので、実戦で磨きをかけないと本物にはならんわな、と「畳の上の水練」にならないよう気をつけねばなるまい。
ま、「エクセル1」や「ロジック3」のフォーマットを細かくレビューするのは、営業妨害になろうから、詳しくは原書で確認願いたいのだが、特に「エクセル1」はちょっと試してみようかなと思わせる、手軽でありながら実効のありそうな仕事術である。お試しあれ。

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