「”片付け”好き」が好物のTipsが満載であるな — 美崎栄一郎「仕事が速いひとほど無駄な時間を使わない! 超速片づけ仕事術」(かんき出版)

働く環境の整備は、勤務体制や勤務時間、あるいは職場内のコミュニケーションのあり方など、根本の話をやりはじめると、個人の力の及ぶところを超えてしまって、うまくいかない時は、モヤモヤ感が貯まってしまうもの。その点、本書のような、個人のデスクワーク周辺の環境改善や整理などのHackネタは、じぶんの裁量と権限の範囲内でできることが多い上に、あれこれと自分固有の環境に応じてカスタマイズできるのが面白いところ。
 
構成は
 
第1章 机まわりとモノの整理編
 片づけ仕事が半減し、仕事が10倍速くなる
第2章 タスクの片づけ編
 先延ばしや仕事の洪水がなくなる
第3章 デスクトップの簡易掃除ワザ編
 細かいフォルダ管理から解放される
第4章 超速メール術
 驚くほど仕事がはかどる
第5章 SNSと人間関係の片づけ編
 仕事も気持ちもすっきりする
第6章 情報管理ワザ編
 超速で情報を集め、最大限活用できる
 
となっていて、机の周囲、パソコンのファイルといったハードについての片づけHacksから、ToDo、タスク処理、情報収集といったソフト面のHacksまで幅広いジャンルを扱っている。
 
なかでも、自分の裁量で導入可能なのが、ハード的なTipsで、たとえば
 
書類管理の2つの鉄則(P24〜)
①すべて立てて管理する
②3つのレーン(リーディングレーン<右側>、ファストパスレーン<中央>プロジェクトレーン<左側>)に分けて保管する
・プロジェクトレーン<左側>=進行中のプロジェクトに関する書類
  クリアファイルは1案件にひとつ。
  クリアファイルは同じものを使わない。統一すると見つけにくくなる
・ファストパスレーン<中央>=優先的に処理すべき書類を立てておくレーン
・リーディングレーン<右側>=とくに締切は設定されていないけれど、「読もうかな」と思っているような書類
 
この3つに入らない書類はその場ですべて廃棄する(P29)
 
  
引き出し活用法(〜P36)
<いちばん下の引き出し>
・書類の「たまに使うモノ」を収納
・すべてをボックスファイルで埋めずに、ボックスファイル、書類、ボックスファイル、書類と交互に置いていく
・一度閲覧した書類は元の場所ではなく、いちばん手前にしまう(P32)
・仕事中疲れて一息つきたい時に、少しづつ捨てる習慣をつくる(P33)
<2段めの引き出し>
書類以外の「たまに使うモノ」を収納
一時的に保管するモノ
<1段目の引き出し>
たまに使う文房具などを収納
1段目の引き出しは、トレイなどを使って困っ買う収納場所を決める必要なはない
 
といったあたりは、どなたでも、自分の机のスタイルに応じてカスタマイズしながら導入できるものばかりであろう。
総じて、こういう「片づけ術」の提案というのは、意外に新しい「モノ」や「道具」を用意しないといけなものだが、本書の提案はほとんどそういったものが必要ないのが優れているところで、その分、カスタマイズの範囲も広がるので、「片付け」好きには創意工夫する楽しみもでるというものだ。
このほか、カバンや財布の整理術も掲載されているのだが、全てをレビューすると営業妨害なので、ここらは本書で確認あれ。
 
さらには、ソフト面でも、タスク処理のためのノート術であるとか
 タスクには「オープンタスク」と「クローズドタスク」という2種類がある。
オープンタスクとは、やるべき項目が増えていく可能性のあるタスク
クローズドタスクとは、やるべき項目の数が決まっているタスクのかたまりのこと。
 
いつまでたってもタスクが終わらないのは、オープンタスクのまま仕事を処理しようとしているから、クローズドタスクにすれば、「終わらない」ということがなくなる(P71)
 
といった「タスクの性格」に着目してのタスク管理のやり方などは、「ふむ」と頷かせる。
 
さて、こうした「片付け術」を含めたLifeHackというものは、情報を手に入れただけでは意味はなくて、自分でやってみて、その上で、自分の環境にあわせてカスタマイズしてこそ効果がでてくるもの。全部をやってみる、というのは無理でも、いくつかのTipsを実践してみれば自ずとカスタマイズしたくなってくるもの。ぜひ、それぞれに取り組んでみてくださいな。
 

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