【総解説】キングダム41〜42「趙・黒羊丘侵攻篇」その1=秦軍は、趙・慶舎の策略に苦戦する

中国の春秋戦国時代の末期、戦国七雄と呼ばれる七カ国同士の攻防が続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズ第41弾~第42弾を総解説します。

前巻までで、秦国を根底からひっくり返す怖れのあった内乱を鎮圧し、最大の政敵であった「呂不韋」を母の趙大后とともに失脚させ、名実ともの秦の王となった「政」は、本格的に中原統一に向けた戦略行動をとりはじめます。まず、その小手調べで始まるのが、趙の黒羊丘の攻略で、ここを攻める桓騎軍に、信の飛信隊が援軍と派遣されます。

あらすじと注目ポイント>秦軍は、趙・慶舎の策略に苦戦する

第41巻 桓騎軍+飛信隊、黒羊丘侵攻。

第41巻の構成は

第438話 雄飛の刻
第439話 六将の行方
第440話 暗殺の首謀者
第441話 宰相の席
第442話 似た者同士
第443話 化け物達の出陣
第444話 城無き占領
第445話 翻弄の末に
第446話 意表をつく策
第447話 総大将動く
第448話 戦場の匂い

となっていて、呂不韋との政治闘争に勝利した後、政はあらためて「中原統一」への決意をします。

しかし、昌平君の計算によると秦国の国民の高い士気と財政負担をつぎ込み続けられるのは15年が限界。その間に六カ国を統合しなくては秦国のほうが瓦解してしまいます。政は秦の命運をかけた勝負にでることを信に告げます。

ここで、政の中原統一に立ちはだかるであろう「楚」で大きな政変がおきます。それは楚に長らく君臨してきた「孝烈王」が死去し、その子・幽王が即位したのですが、新王の伯父・李園が春申公を殺害します。幽王の母親はもともと、春申君の愛妾で、幽王も春申君の子ではと言われていたので、それに関連した権力争いかと推測されるのですが、本シリーズでは、シリアルキラーであった王弟が即位し、国を傾けることを防ぐ、愛国の行動であった、とされています。

そして、この楚国の大転換期に、楚をさらに超大国とするために、媧燐将軍に「共同宰相」となってほしいと持ち掛けてきます。李牧、媧燐と軍略に優れる人物がそれぞれ秦の強敵となる「趙」「楚」の宰相となって、報告を受ける昌平君の顔も厳しくなっています。

この媧燐の宰相就任によって、楚攻めに行くはずだった「信」たちも、急遽、趙の「黒羊丘」攻撃へ派遣されることになります。

この「黒羊丘」攻略戦の指揮をとるのが、野盗あがりの癖の強い「桓騎」将軍です。信は王騎や麃公とは全く毛色の違う桓騎の指揮のもとで戦うこととなります。

その動きは、信と桓騎が顔合わせをしたすぐ後からおきていて、桓騎軍からは側近の一人である千人将・那貴が飛信隊へ、飛信隊からは古参の尾平が桓騎軍へ、連携を強化するための、連絡将校として入れ替えすることになります。

一方、迎え撃つ趙のほうでは、黒羊地帯から80㎞の距離にある離眼城で、城主・紀彗が出陣の準備をしています。ここのシーンで、この城主が住民から慕われている、地元出身の城主であることがうかがえますね。

そして、今回、趙の総大将を務めるのは、三大天の一人「慶舎」です。この二人が慶舎軍四万、紀彗軍二万の兵を率いて、秦の桓騎軍+飛信隊と激突することになります。

この黒羊丘は広大な樹海に覆われていて、落とすべき城塞はありません。この地の5つの丘を占拠することが、この地域を攻略することになります。桓騎軍の参謀・摩論がたてた作戦は、信の飛信隊と桓騎軍の雷土の部隊で、青手より先に、中央の丘より奥に前線をつくること。
この作戦のもと、樹海の中を進む信たちなのですが、秦軍側にある一つ目の丘のところで、趙の紀彗軍の急襲をうけます。この攻撃事態は、敵軍の斥候部隊がしかけてきたレベルなのですが、一つ目の丘が紀彗の腹心・劉冬によって占拠されるという重大事がわかります。

これに慌てた信と河了貂は、まず第一の丘の奪取を優先し、丘へと攻め込むのですが、そこで待っていたのは藁の「かかし」です。信たちは敵将・劉冬にまんまと乗せられて第一の丘におびきよせられ、登っている間に、中央丘よりこちら側、秦側に相手の前線をつくられてしまいます。

もう片方の雷土の部隊のほうも樹海の中を進軍していくのですが、信がヘタをうったのを見て、桓騎は、慶舎軍が中央丘を占拠するのを阻止するため、北方の盗賊団あがりで桓騎軍の中で一番凶暴なことで知られる「ゼノウ」隊を投入します。中央宮をめぐっての、桓騎vs慶舎という「大将クラス」の戦いが始まります。

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第42巻 紀彗の軍師・劉冬の策を、飛信隊副長・渕が打ち破る

第42巻の構成は

第449話 蜘蛛の罠
第450話 野盗の意地
第451話 黒羊の夜
第452話 強襲の成否
第453話 進軍の執着地
第454話 軍師の底力
第455話 主攻なる助攻
第456話 副長の責任
第457話 執念の渡河
第458話 離眼の御印
第459話 闘志の伝染

となっていて、前線確保のため、趙の岳嬰隊とぶつかっている、雷土・ゼノウ隊を後目に、慶舎は秦の第二列を攻撃し、第一列と第二列を分断、雷土・ゼノウ隊を孤立させ、包囲して摺りつぶす作戦に出ます。

完全に慶舎のはりめぐらした罠にかかって全滅か、と思われたのですが、ここで桓騎軍のとんでもない「特徴」が発揮されます。

それは、合図の笛が鳴らされると、雷土・ゼノウ隊は我先にバラバラの方向へ逃走を始めるというもの。殿軍として隊長を守る者もなく、無秩序に逃げる姿に、趙軍の岳嬰もあっけにとられるのですが、これが野盗時代の力が一番発揮され、生存率も高い、桓騎軍ならではの逃走方法のようです。

一方、斥候にでた羌瘣は、劉冬の夜営の備えが万全なことを見、部隊による夜襲を諦め、単身で劉冬暗殺を狙って敵陣へ忍び込むのですが、

という言葉とともに、彼のしかけた防衛陣が発動します。羌瘣の攻撃で劉冬に傷を負わすことに成功するのですが、羌瘣も負傷してしまいます。

ここで、黒羊丘の戦いは二日目に入ります。中央丘をめぐって、それぞれの中央軍がぶつかり合う中で、飛信隊は右手から趙軍を突き上げる役目をするのですが、進軍していく飛信隊の前に中央丘の前に流れる川岸に陣を張る馬呈の軍が現れます。

この川辺には橋も船もなく、川底が浅い道を渡る方法は、敵軍の軍師・劉冬がしっかり見抜いて防衛策を講じています。そこで、軍師・河了貂の考えた渡河する策は、

ということで、飛信隊の古参の副長・渕の「責任感」にかけた作戦です。「渕」の命をかけた三番目の「架橋」作戦で、劉冬に「無手(渡る方法がない)」と言われた川を渡河し、趙の馬呈を圧倒し、趙軍の前線をズタズタにする戦果をあげます。

さて、中央丘の右下での戦いが、飛信隊の渡河で秦軍有利に進みはじめる中、中央の主力軍同士の戦いではにらみ合いが続きます。

桓騎将軍が趨勢を見極める「見」の状態を続ける中、中央丘では、左半分は桓騎軍の軍師・摩論と趙の慶舎軍の副官・金毛の力が拮抗状態、右半分では桓騎軍副官の女性五千人将・黒桜が指揮を執り、一時、かなり押し込むのですが、趙軍の紀彗率いる、離眼の騎兵隊による攻撃で反撃され後退、という戦況で二日目の戦いが終了します。

戦い自体は互角の状態なのですが、一番気になるのは桓騎がこの目つきで何を謀んでいるかですね。

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レビュアーの一言>「黒羊丘」の樹林地帯って実在したの?

キングダムシリーズの第41巻〜第45巻(第442話〜第484話)にわたって描かれる「趙・黒羊丘攻略篇」は趙国西部にある「黒羊丘」という樹林地帯が舞台となるのですが、この場所は筆者の設定した架空の場所とされていて、たしかに現在の地図上に黒羊丘を想定させるようなところは見当たりません。

というのも現在の黄土高原は乾燥化が進んでいて、キングダムで描かれているような「樹林」は見当たらないのですが、戦国時代から千年ぐらい前の「殷」王朝の時代、現在より温暖な亜熱帯気候で、山西省や陝西省のあたりは森林に覆われ、アジア象も生息していたといわれていますし、秦の時代になっても、森林率は50%ぐらいあったという推定もあるので、キングダムの時代にはこういう鬱蒼とした樹林地帯があちこちにあったのかもしれませんね。

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