「をどりの会」を契機に精進する「すみれ」へのキヨの応援料理は?=「舞妓さんちのまかないさん」7~10

一流の舞妓となることを目指して、青森から京都へやってきた「すーちゃん」こと「すみれ」と舞妓さんたちに日々の食事を出し、掃除洗濯など屋形を支える「まかないさん」となった「キヨ」の頑張る毎日が描かれる『小山愛子「舞妓さんちのまかないさん」(小学館)』シリーズの第7弾から第10弾。

前巻までで、青森から上洛して、すみれは見事「舞妓さん」となり、その才能に注目されて売れっ子の階段を登りはじめ、キヨは舞妓さんには見事に落第したものの、「まかないさん」として屋形を支える中心人物として成長していっています。

このタームでは、新しく「仕込みさん」も入ってきて新たなメンバーが登場するとともに、故郷で高校生活を送る健太の身にも大きな変化が訪れます。

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あらすじと注目ポイント

第7巻「をどりの会」の稽古でへとへとの「すみれ」への「キヨ」の気遣いが素晴らしい

第7巻の収録は

第64話 仕込みさんの髪
第65話 季節のかわりめ
第66話 よく効くお薬
第67話 思い出せない食べ物
第68話 忘れたくないこと
第69話 ごほうびの味
第70話 舞台裏の思い出
第71話 各々のごはん
第72話 お見舞いごはん
第73話 たけのこのおすそわけ
第74話 姉の片思い

となっていて、前半部分では、新しく仕込みさんとして屋形に入門してきた理子が早く店出ししようとフルパワーで動く姿が描かれます。ついでに、キヨのトレードマークの一つになっている「赤いリボン」の謂れも紹介されていますね。

中盤あたりは「をどりの会」の本番も近くなり、稽古で消耗していく屋形のメンバーたちなのですが、人一倍頑張るすみれはその最前線ですね。彼女がへとへとになって帰宅し、疲れて食事もとrないかも、と想像して晩御飯を工夫する「キヨ」ちゃんが素晴らしいですね。

終盤では、たけのこの季節と「をどりの会」が重なって、屋形どうしで贈り合いとなる「おすそわけ合戦」となっています。「市」のお母さんは一番若手なので、大量の筍をいただくことになってしまうのですが、まあ、ここはキヨの手腕をもってすればなんてことはないようですね。

このほか、ホットアップルジンジャー、ほっかほかの肉まん、梅しそカツ、梅茶漬けセット、天ぷらの卵とじ丼、あずきぱっとのエピソードが収録されています。

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第8巻 「屋形」は春のをどりの会とゴールデンウィーク終了で「ロス」状態

第8巻の収録は

第75話 大事なことなので
第76話 この街のハイシーズン
第77話 おうちで足洗い
第78話 おどりの会の後日
第79話 早起きのすーちゃん
第80話 京ことば
第81話 彼が微笑む時
第82話 大切に使いたいもの
第83話 プレミアム〇〇デー
第84話 実家の母へ
第85話 ずーっと気になっていたこと

となっていて、前半ではゴールデンウィークを迎え、多くの観光客が京都へ押し寄せ、中でも市中を歩く舞妓さんは、マスコットキャラクター的存在で、どこにいっても取り囲まれてしまいます。

このあたりはコロナで様相が様変わりした風景ですね。

そして、「をどりの会」も無事終了し、自分の踊りのミスを反省して落ち込む「すみれ」や、大イベント終了後の少し気の抜けた屋形の様子が描かれます。

中ほどでは、新しく入門した理子と、姉さん舞妓になった「メガネさん姉さん」こと「つる駒」とのバトルが演じられています。原因は、関東育ちの理子がなかなか京言葉が覚えられないことにあるようなのですが、さて、「メガネさん姉さん」はどうやって教え込むのでしょうか・・といったところです。

後半部分は、ゴールデンウィークも終わり、平穏ともいえる「屋形」の日常が描かれています。

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第9巻 キヨはインフルエンザにかかり、健太は高校野球春季大会で県大会優勝

第9巻の収録は

第86話 お夕飯の支度どき
第87話 真夜中の幸せ
第88話 夢の丼
第89話 同じ顔をしている
第90話 出前で三食
第91話 たまのお休みに
第92話 着物のことも
第93話 私のお姉さん
第94話 青森から届いたもの
第95話 神様にお願い
第96話 エールと共に贈るもの

前半のほうでは、ステーキの付け合わせのフライドポテトが頭から離れない「すみれ」や屋形の舞妓たちが希望してやまないステーキ丼の「肉調達」に突撃するキヨの姿が描かれるのですが、これが祟ったのか彼女がインフルエンザに罹ったことで、屋形の食事が大変化します。病気療養中は出前がほとんどで、最初は喜んでいた舞妓たちなのですが・・という展開です。

中ほどからは、高校野球の春季大会も近づいて、三人それぞれの子供の頃の想い出話が多くなっています。ちなみに、健太の活躍で通学している東高校は県大会で優勝し、東北地区大会への出場を決めているようです。このへんから、すみれの健太への恋心がどんどんつのっていくことになるのですが、コミック的には、祇園のことをもっと書いてくれ、という注文が多くなっていた頃ですね。

今回はキヨがインフルエンザに罹ったせいか、屋形ごはんとしては小粒なのですが、「コーヒーショップナカタニ」の各種サンドイッチ、や「祇をん う桶や う」のう桶、BLUE FIR TREEのハートのホットケーキなど、出前ものや喫茶店スイーツが登場してきます。

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第10巻 屋形は梅雨に入り、市のお母さん、キレる。そして健太は修学旅行で京都へ

第10巻の収録は

第97話 傘の季節
第98話 雨の日の思い出
第99話 おかあさんの役目
第100話 キミを訪ねて半年ぶり
第101話 あいつの住む街
第102話 この格好の時
第103話 会いたい人に似てる
第104話 京都のおみやげ
第105話 姉と妹がいることで
第106話 この時季の風物詩
第107話 いつものとおり

となっていて、季節は梅雨に突入しています。前半では、和傘の点検や屋形の中を走る舞妓たちをどやしつける「市」のお母さんが描かれるのですが、ほっとさせるのは幼い頃のキヨとすみれ、健太の「てるてるぼうず」の想い出ですね。そして、この時期に獲れる青梅と氷砂糖を付け込んだ「梅シロップ」づくりで、シロップがいつできるか、と屋形のお母さんに聞かれて、「梅次第」と答えるキヨの回答がなんとも深いです。

そして、中盤では、健太が就学旅行で京都へやってきています。偶然に、街で「百はな」となったすみれと健太の様子は原書のほうでお確かめを。

そして、健太は、夏に再び甲子園への切符を手に入れて関西へやってくると二人に宣言するのですが、その結果は次巻以降に持ち越されます。

今回は、甘酒、ミルクたっぷりのカフェオレ、ミネストローネといった液体物のエピソードの多い巻となっています。

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レビュアーの一言

第8巻で京都の街を歩く「すみれ」たち舞妓さんを日本人だけでなく、多くの外国人観光客が取り囲んだり、屋形の前で待ち構えている様子が描かれているのですが、この巻が発刊されたのが2018年と、コロナ前の京都へどんどん外国人観光客が押しかけていた頃ですね。

統計によると2019年の京都を訪れた観光客数は5352万人、そのうち外国人が886万人と、世界的にも人気の観光地となっていたのですが、2020年、2021年はコロナの影響で観光客数は激減、観光業界は大打撃を受けています。

京都の花街も例外ではなく、緊急事態宣言の発令の中で、太平洋戦争以来の大規模な営業自粛を迫られることとなりました。(この時期には、完全貸し切り制の「プライベート舞妓茶道」とか「オンライン舞妓茶道」とか新たな取り組みもでてきていたそうです。)

コロナ後が本格化してくる中で、コロナ前に戻るだけが前面にでているような観光業界なのですが、コロナの教訓と新風は、「花街」「舞妓」の世界に訪れるのか注目したいところです。

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