健太は野球を諦め、京都でシェフ見習いになる=「舞妓さんちのまかないさん」11~15

一流の舞妓となることを目指して、青森から京都へやってきた「すーちゃん」こと「すみれ」と舞妓さんたちに日々の食事を出し、掃除洗濯など屋形を支える「まかないさん」となった「キヨ」の頑張る毎日が描かれる『小山愛子「舞妓さんちのまかないさん」(小学館)』シリーズの第11弾から第15弾。

前巻までで、新しく入門してきた仕込みさん・理子と姉さん舞妓「つる駒」との仲の良いバトルが展開される中、すみれは着々と芸を磨いていっています。

キヨのほうは相変わらず、のほほんながら、屋形の皆を支える料理をつくっているのですが、健太が京都へ修学旅行へ来たことで、すみれの心がざわつきはじめるとともに、健太に関する新たな動きが出てくるタームです。

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あらすじと注目ポイント

第11巻 屋形の6月の大イベントは「建具替え」

第11巻の収録は

第108話 頼ってくれたら
第109話 この時季のお仕事
第110話 キヨさん、聞いて
第111話 すーちゃんの帰る場所
第112話 夏の準備
第113話 風邪のときに
第114話 二人の道のり
第115話 久しぶりのあれ
第116話 キヨちゃんのお台所
第117話 この街に住むと
第118話 百はなの公休日

となっていて、第109話では、6月の中旬ごろ、障子や襖を葭戸に換え、畳の上にあじろを敷いて、夏向きの設えに屋内を変える「建具替え」の様子が描かれます。京都らしい風情のあるイベントなのですが、実際にやるほうは力仕事の連続なのでかなり大変なことは間違いないようです。こんな日にキヨが用意したメニューは、葱とみょうがを添えた「そうめん」ですね。

第112話では、このシリーズの恒例になってしまった、理子とつる駒との掛け合いです。今回のテーマは、夏の日焼け防止で、面倒なことを李雄に日焼け対策をしようとしない理子に、つる駒のアドバイスが強力です。

なかほどでは、第9巻でインフルエンザに罹ったキヨに続いて、風邪をひいてしまった「すみれ」の故郷で風邪をひいたとき、キヨが差し入れしてくれた「自家製フルーツゼリー」の回想と、京都でキヨがつくってくれら「干し貝柱のおかゆ」がポイントです。ちなみに、ここで「すみれ」の名字が「戸来」という青森特有の名字であることがわかります。

最終話では、ひさびさのお休みの日に一人カラオケに出かける「すみれ」の姿が描かれるのですが、彼女のお仕事熱心さが目立つ話となっています。

このほかにも「パンの耳ラスク」や「ミニ春巻き」のエピソードがでてきています。

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第12巻 祇園祭のお座敷で「すみれ」の想うのは故郷の健太

第12巻の収録は

第119話 夢のようなメニュー
第120話 私のいいにおい
第121話 ひとつ屋根の下で
第122話 キラキラの彼方
第123話 祇園祭 宵山
第124話 夏の熱 第125話 いつもと違う顔
第126話 無言詣り
第127話 川の音
第128話 試合のゆくえ
第129話 健太におきたこと

となっていて、冒頭話では、お座敷が重なっていて、食事もとれない「すみれ」こと「百はな」の姿があります。舞妓さんがお座敷で食事をとるときのしきたりも紹介されていて興味深いのですが、このあたりは批判もおきそうなしきたりかもしれません。

中ほどでは、京都も暑い夏の七月となっています。祇園祭が開催される頃で、「すみれ」たち舞妓さんにもたくさんのお座敷がかかって忙しいときなのですが、「すみれ」の第一関心事は、青森の高校野球の県大会のようですね。ここでは、京都の芸舞妓に伝わっている、願いが叶うおまじない「無言詣り」が紹介されています。

そして、「すみれ」の願いもむなしく、健太の高校は敗れてしまうのですが、健太の身に野球人生に関わる重大事がおきていて・・という展開です。

今話で注目しておきたいのは、じゃこと梅酢で握った「おじゃこおにぎり」と砂糖漬けにしたレモンスライスとシロップをアイスコーヒーで割った「レモンアイスコーヒー」ですかね。

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第13巻 「すみれ」は故郷で「健太」に再会。すみれの想いは届くか?

第13巻の構成は

第130話 ごはんは源
第131話 わくわくの甘い香り
第132話 存在の大きさ
第133話 一時帰郷・・・青森へ
第134話 いつもの帰り道
第135話 いーち、にー、さん
第136話 夜道に輝く
第137話 心が帰る場所
第138話 パワーアップ
第139話 火伏の神様
第140話 いざ愛宕山へ

となっていて、前半から中盤にかけては、腕を怪我をして県大会も欠場して母校が敗れた上に、今後の野球選手生命も危うくなっている健太と、親戚の結婚式で故郷に帰ってきた「すみれ」とが再会します。健太への想いに押しつぶされそうになっている「すみれ」なのですが、いまいち、その感情は健太には伝わっていないようですね。ここらの切ない詳細は、原書のほうでどうぞ。

第138話から、青森から「すみれ」が京都へ帰ってきて、屋形の日常が復活しています。つる駒のテレビの電源のつけっぱなしの後始末に始まって、姉さん舞妓へのお稽古の曲の世話や、屋形のおかあさんのお使いなど、いつもながらの「すみれ」の完璧さが発揮されています。

後半では、キヨちゃんが、火除けの護符をもらうため、愛宕神社に7月31日から8月1日にかけてお参りする「千日詣」に出かけます。慣れない夜の山道を必死で登る、ちょっとどんくさいキヨちゃんの姿を楽しんでくださいな。

舞妓さんちのまかないさん(13) (少年サンデーコミックス)
第65回小学館漫画賞受賞!! 舞妓さんを目指し、青森から出てきたキヨちゃんとすーちゃん。 キヨちゃんはまかないさんとして、舞妓さんたちを台所から支えています。 故郷で甲子園を目指していた幼なじみの健太が、 怪我を負ってしまったとの報せが入り...

第14巻 お盆のひさびさの長期休暇を「すみれ」と「キヨ」はどう過ごす?

第14巻の構成は

第141話 推しの存在
第142話 おてんとさま
第143話 夏休みの過ごし方
第144話 すーちゃんの場合
第145話 キヨちゃんの場合
第146話 みんなの場合
第147話 特別な半分こ
第148話 お月さん
第149話 青森の秋、京都の秋
第150話 お願いごと
第151話 鴨川にて

となっていて、第143話から第146話までは、お盆の頃の「屋形」の短い夏休みのエピソードです。地方からきている女の子たちは帰郷するのが恒例なので、屋形の中は空になることが多いのですが、今回は「すみれ」は親戚の結婚式で故郷に帰っているので、京都に残り、そのせいでキヨちゃんも故郷に帰らず京都に居残ります。ところが「お休み」とはいっても、料理と稽古のほかに興味のない二人の休日は・・ということで、いつもとかわらぬ二人の生活をお楽しみください。

そして、屋形の居心地がいいせいか、ほかの舞妓たちも早めに京都へ帰ってきていて、普段と変わらない賑やかさが早速復活しています。

そして後半部分、秋の鴨川で、二人は健太と出会います。青森で腕の療養をしているはずの健太がなぜ?、ということで、三人の暮らしに新たな展開が訪れます。

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第15巻 健太は京都の老舗洋食店のシェフ見習いになる

第15巻の構成は

第152話 溢れ出る気持ち
第153話 なに食べる?
第154話 成長と変化
第155話 新しい街
第156話 連鎖する想い
第157話 健太の一日
第158話 白球と白い皿
第159話 赤い自転車
第160話 ほっとけない
第161話 相変わりませず
第162話 この街の雪 番外編 猫のまかない

となっていて、前巻で就職して京都に住むことになった、という健太の告白を聞いて、「すみれ」に動揺が走っています。キヨちゃんのほうは淡々としているようなのですが、心のどこかで健太が京都にいることは認識しているようですね。

中ほどでは、健太が館に自分の勤めている洋食店の場所を記した名刺を置いていきます。そこで早速、その店を訪ねる「すもれ」と「キヨ」だったのですが、その店は京都中心の商店街にある老舗の洋食店で、お値段もそこそこ張っているようです。

そしてそこから数話は健太のシェフ修行の毎日が描かれます。とはいっても、勤めてまだ1カ月で、今まで包丁をもったこともない健太なので、今のところは皿洗いと仕込みの補助ぐらいまでなのですが、期するところがあるようで、相当気張っています。

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レビュアーの一言

健太が京都の洋食屋に就職したということで少し調べてみました。

日本洋食の発祥の地・東京や食い倒れのまち・大阪にくらべ「京都の洋食」というのは地味なイメージがあるのですが、パンの消費量が日本一で、牛肉の消費量も日本のトップクラスであることが証明するように、100年を超える名店があるなど、京都は洋食天国でもあるようです。

作家の柏井壽さんによると、京都の洋食屋は、遊び慣れた旦那衆が、お座敷に上がる前の芸舞妓を伴って繰り出す高級店と住宅街や商店街に点在していて、手頃な値段でお腹いっぱいになって美味しい、普段使いのできる洋食店の二つの系統に分かれるようです。

健太の性格からいくと、後者の雰囲気っぽいのですが、店のたたずまいや屋形のおかあさんも知っていたというあたりからいくと、前者と後者の中間あたりの店ではないかと推測します。

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