京より帰還し、建武政権への反旗を「逃げ若」は掲げる=松井優征「逃げ上手の若君」8

150年続いた鎌倉幕府を滅ぼし、北条一族を敗死させた後醍醐先帝と足利尊氏に対して、信濃の神官・諏訪頼重の一族の力を借りて逆襲を図る、北条得宗家の後継ぎで「逃げ」の名手である、後の中先代の乱の主謀者「北条時行」の逃走と活躍を描く『松井優征「逃げ上手の若君」(JUMP COMOCS)』の第8弾。

前巻までで、戦上手の小笠原貞宗に逆転を許し、さらに足利尊氏・直義の送り込んできた天狗党を欺くため、叔父とともに京を上った「逃げ若」北条時行は、そこで佐々木道誉の娘や楠木正成に出会い、都の政治情勢や「逃げの極意」を学び取ったのですが、尊氏の暗殺失敗後、諏訪に帰還し、鎌倉幕府の故地である「鎌倉」の奪取に乗り出します。

【スポンサードリンク】

コミックシーモアのおすすめポイントをまとめてみた
新型コロナウィルスの感染拡大以来、マンガを読む手段としてすっかり「王道」のポジションを獲得した「電子コミック」サービス。2021年のHon.jpのデータによると、電子コミックの総販売高は4114億円で、コミック市場の占有率は60.9%になっ

あらすじと注目ポイント

構成は

第62話 鎧1355
第63話 御柱1335
第64話 背中1335
第65話 本戦1335
第66話 神1335
第67話 影1335
第68話 戦車1335
第69話 破魔1335
第70話 名乗り1335

となっていて、諏訪に帰還して直ちに鎌倉奪還のための兵を起こした時行だったのですが早速に、当時の「大鎧」の重さに音を上げ、軽量化した「鎧」に変えています。防備の中心の「礼板」を減量して動きやすくした当時の鎧の最新の動きにのっかったわけですが、逃げと移動攻撃を中心とする彼の戦闘方法に適した防具を選択したわけですね。

そして兵をあげた時行は、瘴奸改め「平野将監」と最初の戦闘を始めます。「平野将監」は正史では、楠木正成の郎党の一人として、上赤坂城に立て籠もった武将で、幕府軍に水脈を絶たれて降伏し、幕府方の軍奉行・長崎高貞によって六波羅探題に引き渡されて処刑されたことになっているのですが、ここでは信濃の西豊科庄の地頭に任じられているようです。

このバトルの決着は原書で確認してほしいのですが、盗賊あがりの彼にとって最期の花道となったようです。

そして、瘴奸の軍勢を撃破した時行と諏訪頼重は、諏訪の国司軍と足利方の小笠原貞宗軍と対峙します。この段階では、建武政権へ反旗を翻す旧幕府軍の旗頭となる、「北条時行」の存在はまだ明らかにされておらず、あくまで、建武政権によって圧迫をうけている諏訪勢の国司への反逆としての態です。
国司軍は、地元民を盾にしながら、牛車や仏堂を魔改造した「戦車」を正面に出し、搭載した弩で諏訪勢を攻撃してくるのですが、これに諏訪頼重神力と時行の「弓の腕」が対抗し・・という展開です。

レビュアーの一言

この巻の最後で、北条時行はその姿を正式に見せ、建武政権への反乱のシンボルとして名乗りを上げます。

一般的な感覚では、鎌倉幕府、特に北条得宗家の横暴に怒って、後醍醐天皇や足利尊氏、新田義貞らが兵をあげ鎌倉幕府を倒した後、一挙に建武政府が全国を統治したかのように思われているのですが、実はそうでもなく、鎌倉占領後もあちこちで鎌倉幕府側の反乱が相次いでいます。

というのも、この当時の争いの根本原因は、相続争いなどによる土地の所有権争いにあるわけで、欲得絡みの対立はそんなに理屈どおりには解決しませんよね。

【スポンサードリンク】

完結シリーズや人気シリーズのマンガの一気読みには、まとめ買いがお得です。シリーズ全巻を一挙に揃えるなら「漫画全巻ドットコム」で。

コメント

タイトルとURLをコピーしました