17歳プロ棋士は、タイトル戦で一歩成長する=羽海野チカ「3月のライオン」3〜4

両親と妹を交通事故で失い、プロ棋士に家に引き取られ、孤独を抱えながら成長し、中学生でプロ棋士となった少年「桐山零」を主人公に、彼が下町でもんじゃ焼き屋を経営する祖父とともに暮らす「あかり」「ひなた」「モモ」の三姉妹と出会い、さらに彼を取り巻く高校の元担任教師・林田や、同期のライバル・二海堂などの棋士仲間と接しながら成長していく、ハートフル将棋マンガのシリーズ『羽海野チカ「3月のライオン」(ジェッツコミックス)』の第3弾~第4弾。

あらすじと注目ポイント

第3巻 獅子王戦トーナメント始まる。零は勝負への想いの強さで敗れる

第3巻の構成は

Chapter22 ゆく年
Chapter23 くる年
Chapter24 対岸にあるもの
Chapter25 黒い河 その1
Chapter26 黒い河 その2
Chapter27 扉の向こう
Chapter28 まぶしい闇
Chapter29 ほんの少しの水
Chapter30 月光
Chapter31 自我のカタマリ
Chapter32 夜を駆ける

となっていて、冒頭では年内まで行われていた順位戦の疲れがでたせいか、「零」はひどい熱をだして寝込んでしまいます。肉体的な衰弱というよりは、順位戦で倒した松永七段や安井六段から浴びせられた「鬱憤」によって精神が弱ってしまったのが原因だと推測します。

こんな時にありがたいのが「あかり」たち三姉妹で、「零」のマンションにやってきた彼女たちに拉致られて、そのまま大晦日と正月を彼女たちの暮らす「もんじゃ焼き 次郎」で過ごすこととなります。

中盤ではいよいよ「獅子王戦」の挑戦者決定トーナメントです。王者である「宗谷」への挑戦権を獲得するため、棋士たちが死力を尽くすのですが、「零」の場合は勝ち上がれば、義姉・香子の不倫相手の後藤と対戦することとなるので、思いはまた複雑ですね。

ただ、物語のほうは、先に後藤vsスミス、零vs島田という対戦で、零は二海堂の兄貴分である島田に勝たないと後藤に挑戦できないのですが、残念ながら「島田」の壁はとてつもなく厚かったようです。

後半部分はスミスを降した「後藤」と零を降した「島田」との対戦です。この勝負は3回戦までもつれ合う混戦となるのですが、どうやら「勝ち」に対する想いの強かったほうが勝利をおさめたようですね。
これを見て、零も自分の勝負に対する「甘さ」を実感したようです。

第4巻 17歳棋士・零は、挑戦者の付き人で一歩成長する

第4巻の構成は

Chapter33 坂の途中
Chapter34 銀の糸
Chapter35 水面
Chapter36 青い夜の底
Chapter37 奔流
Chapter38 経る時
Chapter39 夜を往く
Chapter40 京都①
Chapter41 京都②
Chapter42 京都③

となっていて、島田の「勝ち」に対する想いの強さに影響された「零」は彼の主宰する研究会に参加することを決めた零は、島田の弟分である二海堂や二海堂と奨励会同期の重田との対戦で腕を磨いているのですが、ここで二海堂のタイトル奪取にかける想いの強さを思い知らされることになりますね。

中盤では義姉の香子と「あかり」「ひなた」が静かなバトルを繰り広げていますね。まあ、将棋の対戦とはちょっと違ったシチュエーションなので、ここは箸休め、と理解しておきましょうか。

後半にかけては、成り行きから、島田の「付き人」的な役割をもらった「零」が彼に付き添って、獅子王のタイトル保持者・宗谷との対戦地である京都へ向かいます。

もともとストレスに弱く、胃弱な島田の体調はぼろぼろなのですが、故郷の期待や、弟子たちの思いにのっかって、力を振り絞って「絶対王者」宗谷に立ち向かっています。まあ、勝負の結果は別として、島田はもっと大きくなるきっかけを掴んでいったようですね。

レビュアーの一言

一人ぼっちで「将棋」の世界に逃げ込んでいた「零」が将棋のライバル&友人もでき、だんだんと人間らしさを獲得していっているのが、このタームです。もちろん、これは三姉妹のおかげでもあるのですが、実は三姉妹のほうも「零」によって力づけられていることがわかるタームでもあります。
今回は将棋の対戦シーンが多くて、その勝負の酷薄さを見るのですが、あわせて人のつながりを感じる巻でもありますね。

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