ビジネス本の新しい「読書術」「読書論」の原点 — 本田直之「レバレッジ・リーディング」(東洋経済新報社)

「レバリッジ」という言葉が初お目見えしたのは、本書であっただろうか。2006年の初出であるので、10年以上前の書籍ではある。ただ、「読書」が古びた感じがあった風潮があった中で、実用の「テクニック」としての視点から「読書」を取り上げ、新風を送り込んだことは確か。
 
構成は
 
第1章 ビジネス書の多読とは何か?
 ー100倍のリターンをもたらす究極の読書術
第2章 本探しは投資物件選び
 ービジネス書の効率的スクリーニング術
第3章 一日一冊、ビジネス余を戦略的に読破する
 ー訓練扶養であなたの読み方が劇的に変わる
第4章 読んだままで終わらせるな!
 ー反復と実践によって100倍のリターンを獲得せよ
 
となっていて、冒頭のほうで
 
汗水たらし、血のにじむような努力をした他の人の数十年分の試行錯誤の軌跡が、ほんの数時間で理解できるよう、本の中には情報が整理されている(P22)
 
とあるのだが、本書の良いところは、その「軌跡」を効率よく我が物にするテクニックが披瀝されていること。
 
読書メモをつくっての手法はすでに、このブログの「読んだ本でマーキングした箇所を自分の血肉にする、効果的な方法はこれ」で紹介したので、省略するが、それ以外にも
 
一冊のみを読んで、この著者の意見がすべてだと思う込んでしまう危険を避けるために、多読をする(P48)
 
 
読み始める前にもう一度その本をよむ目的を明確にしておくと、重要なところと、そうでないところの見極めがはっきりつくようになります。したがって、どうでもいいところは捨てることができるので、読むスピードが速くなります。そのうえで目的を意識しながら読むと、内容をよく理解できるのです(P99)
 
といったところは、この本の出版以後、多くの「読書術」の本で言われていることの原点でもあるし、
 
複数の本を読むからこそ、重要なポイントがわかる。つまり、どの本にも同じことが書いてあれば、それは誰もが認める重要なポイントだと判断できるのです(P65)
 
といったところは、斜め目線から見た「多読のススメ」でもある。
 
「斜め読みがレバリッジ・リーディングでは正解(P129)」と、それまでの「精読を最上」とする読書術とは、少々趣を異にする本書の論点は「読書術」を議論する上では、おさえておきたいですね
 

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