歴史

へうげもの

禁令の出た時の立ち居振る舞いに、人の本質は顕になるものであるな — 山田芳裕「へうげもの 第四服」(講談社文庫)

さて、引き続き、古田織部のコミックもの「へうげもの」に文庫版第4巻をレビューしよう。 年代は1586年~1587年。歴史的な出来事としては、家康の上洛、秀吉の九州攻め、禁教令の発布、聚楽第の完成と大茶会といったところで、秀吉の天下がこれから...
へうげもの

太平になりそうになると、なにやら蠢くのが世の常か — 山田芳裕「へうげもの 三服」(講談社文庫)

このところ、続けてエントリーしている、古田織部シリーズの文庫版第三巻。 時代的には1582年6月〜1586年6月。本能寺の変の後、秀吉の中国大返し、そして光秀が破れて秀吉の天下となるところ。市井の説による、明智光秀が天海僧正となる話は、どう...
へうげもの

茶人大名の「本能寺」 — 山田裕裕「へうげもの 第二服」(講談社文庫)

茶人大名 古田織部を主人公にした歴史コミックの文庫版第二巻。 構成は 第十四席 mt.富士レストラン 第十五席 レイン フォール ダウン!? 第十六席 今宵はイートイット 第十七席 幻惑されて 第十八席 天下を憐れむ歌 第十九席 未来への讃...
へうげもの

茶人大名という異色の人物を主人公にした戦国歴史もの — 山田芳裕「へうげもの 第一服」(講談社文庫)

歴史コミックの構成は、もちろん、歴世の英雄をもろにとりあげる「良い子の伝記」モノのようなものもあるのだが、コミックとしてきちんと読めるものは、英雄の側に異物(例えば、未来からタイムスリップした高校生なんてのだよね)をすべりこませるか、歴史上...
歴史

古代中国の、歴史上埋もれてしまった「中原と草原」のもう一つの大戦争 — 臏(ビン)〜孫子異伝(ジャンプコミックスデラックス)

<br /> 岩波文庫版の史記列伝をみると、龐涓によって、膝から下を切断する刑を受けたということや、田忌将軍に雇用され、将軍が王子・貴族達との馬車レース、さらには魏の趙への侵攻を退けたり、龐涓との因縁の戦闘のあたりは記述があるのだが、残念な...
歴史

司馬史観にちょっとブレーキをかけてみる — 一坂太郎「司馬遼太郎が描かなかった幕末 松蔭・龍馬・晋作の実像」(集英社新書)

司馬遼太郎氏の著作は、大物経済人や政治家などなど多くの大物の方々が、座右の書としているどころか、坂本龍馬や高杉晋作に関する著作、例えば「龍馬がゆく」とか「世に棲む日々」とかは、多くの若者が熱狂するものでもあるのだが、そういったことに、横から...
関 裕二

たまには「日本古代史」はいかが — 関 裕二「沈黙する女王の鏡」(ポプラ社)

古代史っていうのは、定説が定まらないか、異論があるところのものが一番面白くて、邪馬台国あたりの「日本の成立秘話」のところがその最たるものであろう。 といっても、宇宙人がどうこう、とか、ユダヤ人が日本の古代に、といった話までいってしまうとつい...
歴史

いろんな読み方のできる経済小説。組織運営論としてもお勧めであるな — 百田尚樹「海賊と呼ばれた男」上・下(講談社文庫)

昨年、昭和シェルとの合併をめぐって、創業家がどうこう、と騒ぎになった「出光興産」の創業者、出光佐三をモデルにした企業小説である。 構成は、上巻が 第一章 朱夏 昭和二十年~昭和二十三年 第二章 青春 明治十八年~昭和二十年 下巻が、 第三章...
歴史

古代日本の「不統一」の世界 — 三浦佑之「風土記の世界」(岩波新書)

直木賞作家の三浦しおんさんのお父さんである、三浦佑之氏による風土記を中心として、古事記、日本書紀の、統一される過程での日本、ヤマトについてまとめられたもの。 三浦先生とは、仕事の関係で宴席を供にさせていただいたことがあるのだが、温厚な人柄で...
歴史

アームチェア・トラベラー向けの「出雲の旅」のガイドブック — 平野芳英「古代出雲を歩く」(岩波新書)

島根県の八雲立つ風土記の岡、荒神谷博物館などに勤務していた(いる)地元の研究家による、古代出雲の今を訪ねる地理志。 出雲大社の遷宮、「縁結び」などで若い女の子を中心に人気が衰えることにない、「出雲」であるのだが、「ご縁」の陰で、ヤマトにふく...