歴史

へうげもの

織部正は「豊徳合体」に向け、秘策を繰りだすのが・・ ー 山田芳裕「へうげもの 十二服」(講談社文庫)

茶人大名「古田織部」を主人公に描かれる歴史マンガ「へうげもの 十二服」では年代的には1606年8月から1608年3月までの約2年間がとりあげられる。 関ヶ原の戦から6年後、大坂冬の陣の6年前ということで、大きな歴史的な事件はないものの、陰で...
へうげもの

関が原は、茶人大名をどう変えていったか ー 山田芳裕「へうげもの 十一服」(講談社文庫)

数寄大名として戦国末期から江戸初期にかけて一世を風靡した「古田織部」を主人公にしたマンガの講談社版の文庫の第11弾。 千利休といった先人の死や、戦乱を乗り越えて、風格を増してきた「織部」なのであるが、関ヶ原という時代の景色を大きく変える事態...
信長のシェフ

弾正爆死から中国攻めへ。そして、ケンが「本能寺」を防ぐ鍵は? ー 梶川卓郎「信長のシェフ 23」

現代社会から戦国時代末期にタイムスリップした、フランス料理のシェフ・ケンが、織田信長の専属シェフとなって、料理だけでなく、信長の命を受けて、彼の天下統一に協力していく「信長のシェフ」シリーズの第23弾。今回は、第22巻で、松永弾正から、助命...
戦国時代

本能寺の変の陰に国際情勢と旧勢力の反撃があった ー 安部龍太郎「信長はなぜ葬られたのか」

日本史の謎には、古くは邪馬台国の場所などなど数々あるのだが、暗殺ものの謎の大物といえば、坂本龍馬を暗殺した犯人と並んで、織田信長が非業の死を遂げた「本能寺の変」の黒幕は?といったところもがその一つであろう。その謎を「世界の中の日本」と「中世...
歴史

現代きっての歴史研究者が「司馬史観」を語る ー 磯田道史「「司馬遼太郎」で学ぶ日本史」(NHK出版新書)

経営者の愛読書ランキングで、一番多く出てくるのは、ドラッカーなどの経営学の大御所を除けば、司馬遼太郎氏の作品ではないだろうか。しかし、司馬遼太郎氏が「歴史家」として歴史の専門家から扱われたことはほとんどなかったのが実態であろう。 そして、現...
信長のシェフ

旧勢力は去れ、と信長は言った ー 信長のシェフ 22

前巻で、信長と謙信との面談を画策すべく、上杉陣営に行き、謙信に料理を提供したが、当時はアク抜きをする方法を寺社しか知らないため、毒芋といわれたこんにゃくの料理を出したため、牢に入れられた主人公の料理人・ケンのもとに上杉謙信が訪れるところから...
歴史

「平成時代」の序章として1980〜1990年代を読み解く — 堀井憲一郎「若者殺しの時代 」(講談社現代新書)

先日、1990年台の終わりから2010年頃にかけての時代風景について論じた、同じ筆者の「やさしさをまとった殲滅の時代」をレビューしたところなのだが、時代風景というものは戦争とか内乱・革命のない限り、ガラッと一挙に変わるものではなくて、連続性...
歴史

「平成」の時代は何だったのか — 堀井憲一郎「やさしさをまとった殲滅の時代 」(講談社現代新書)

昭和の時代が昭和天皇の生物的な衰えと死という終わり方をしたのに対し、平成の時代が「退位」という形で、とても「人工的」に終わろうとしている。「平成」は年数的には、1998年に始まり、2019年に終わる約31年間の、明治より短く、大正より長い、...
信長のシェフ

織田と上杉の激突、いよいよ決戦前夜 — 梶川卓郎「信長のシェフ 21」(芳文社)

<br /> 歴史の中には闇の中に埋もれたままで、後世には残っていないことはたくさんあるはずで、そのあたりに妄想を巡らすのも、後世の歴史愛好家の特権であろう。信長のシェフ21巻は、そういった風情で、戦国時代の歴史愛好家の「ひょっとすると」を...
信長のシェフ

天下の情勢は急変、越後の龍・謙信起つ — 梶川卓郎「信長のシェフ 20」(芳文社)

タイムスリップものは、主人公が活躍して、その時代で重きをなしていくにつれて、タイムパラドクスをどう取り扱うか、といったことが重要になってきて、主人公の活躍も歴史に組み込まれたものとしていくか、あるいは全くの架空史にしていくかの瀬戸際に、そろ...