時代小説・歴史小説

和田はつ子

江戸城御用達の甘い罠。一番悪どいのは「御上」かも — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 大江戸料理競べ」(時代劇文庫)

さて、調理人季蔵シリーズの第14弾は、江戸城への料理御用を独占している有名料亭「八百良」と並んで、江戸城へ料理を納入する店を決める料理勝負がメインテーマ。   収録は   第一話 新年福茶話 第二話 大江戸料理競べ 第三話 ごちそう大根 第...
和田はつ子

小猿を従えた美少女くノ一の登場 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 祝い飯」(時代小説文庫)

シリーズが定着してくると、キャストも固まってきて、話の展開も安心して読めるのは一つのメリットなのだが、マンネリ感が滲み出してくるのはどうしようもなくて、その弊害から逃れるのは、いかに魅力的で気を引く、短期的なキャストを用意するか、であると思...
和田はつ子

お茶屋の小町娘が手折られる話は悲しいね — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 涼み菓子」(時代小説文庫)

シリーズも12弾目となると、登場人物に少々の変更というか、環境変化が欲しくなるところなのだが、本作で、季蔵の弟分・豪介の身の上に変化が起きる。 収録は 第一話 涼み菓子 第二話 婿入り白玉 第三話 夏の海老 第四話 乙女鮨 となっていて、ま...
和田はつ子

陰惨な事件は「獣肉」料理で口直しをしよう — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 ひとり膳」(時代小説文庫)

季蔵捕物控シリーズの第11弾は、季蔵の師匠・長次郎の残した「三段重提げ弁当」に関わる話。 収録は 第一話 梅見鰤 第二話 饅頭卵 第三話 吹立菜 第四話 ひとり膳 2月の声が聞こえるようになると、塩梅屋でも「梅」にちなんだ「梅見弁当」をつく...
西條奈加

菓子の甘さに隠された江戸の「家族」の人情話 — 西條奈加「まるまるの毬」(講談社文庫)

親子三代で営む、小さな江戸の菓子屋「南星屋」を舞台にした時代小説。   収録は   「カスドース」 「若みどり」 「まるまるの毬(いが)」 「大鶉(おおうずら)」 「梅枝(うめがえ)」 「松の風」 「南天月(なんてんづき)」   の7編。 ...
和田はつ子

10年前の殺人が発端となる、隠された秘宝をめぐる大量殺人 — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 思い出鍋」(時代小説文庫)

第9弾で、秘宝探しにまつわっておきた事件の解決編が第10弾。9弾目の「菊花酒」の最終話「黄翡翠芋」の続きといったところ。 収録は 第1話 相愛まんじゅう 第2話 希望餅 第3話 牛蒡孝行 第4話 思い出鍋 第1話で、塩梅屋が筍の調達で世話に...
和田はつ子

元許嫁・瑠璃の心を騒がせる”男性”が登場するのだが・・・ — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 菊花酒」(時代小説文庫)

最初、短編で始まった物語もシリーズ化してくると、だんだんと中編・長編となることが多いのだが、この料理人・季蔵シリーズも一冊で筋立てが完了するといった態になってきた。 さて、シリーズ第9弾の収録は 第一話 下り鰹 第二話 菊花酒 第三話 御松...
和田はつ子

怪談落語の影には、昔の未解決事件あり — 和田はつ子「料理人季蔵捕物控 へっつい飯」(時代小説文庫)

シリーズ8作目の季節は夏で、6作目と同じ趣向で、落語仕立てである。ただ、6作目と少々異なるのは、収録されているそれぞれの話が完全に独立ということではなくで、太い筋を基本において、一つの話としてまとまりをもっていること。   収録は 「へっつ...
坂井希久子

物語は進行する。けれど謎は深まる — 坂井希久子「居酒屋ぜんや ころころ手鞠ずし」(時代小説文庫)

「ほかほか蕗ご飯」「ふんわり穴子天」に続いての「居酒屋 ぜんや」シリーズの三作目。 収録は 「大嵐」 「賽の目」 「紅葉の手」 「蒸し蕎麦」 「煤払い」  の五話。 林只次郎も「ぜんや」の馴染となってきて、そろそろ女将の「お妙」との仲が心配...
和田はつ子

幕末の落語家の周辺で起きる事件の数々 — 和田はつ子「円朝なぞ解きばなし」(時代小説文庫)

料理人季蔵シリーズとは同じ作者の噺家の三遊亭円朝を主人公にした推理譚。今回の主人公は岡っ引きでもなく、裏稼業をしているわけでもないので、日々の暮らしの周辺で起きる事件なのだが、物語が進行するにつれ、有名な盗賊が絡んでくるのが捕物譚の所以。 ...