上田秀人 裏切り者と呼ばれても「家」を再興した男の物語 — 上田秀人「梟の系譜 宇喜多四代」(講談社文庫) 戦国ものの歴史・時代小説の人気どころは、やはり尾張の織田信長・豊臣秀吉あるいは甲府の武田信玄、越後の上杉謙信といったところで、一段下がって、伊達政宗、徳川家康といったところであろう。 残念ながら、中国地方の武将は、ときおり毛利元就がでてくる... 2018.03.25 上田秀人
上田秀人 瀬能数馬、留守居役としてはまだまだ未熟者である — 上田秀人「百万石の留守居役 5 密約」(講談社文庫) 家綱没後、将軍世子となった綱吉の暗殺未遂事件から将軍宣下のところまでが、今巻。 構成は 第一章 世子の座 第二章 直参と陪臣 第三章 留守居攻防 第四章 密談の場 第五章 寵臣の交代 となっていて、権力が強ければ強いほど、その主役が交代する... 2018.03.24 上田秀人
佐々木裕一 悪党はしっかり信平に懲らしめてもらわないといけないね — 佐々木裕一「公家武者松平信平 9 将軍の宴」(二見時代小説文庫) 前巻で江戸を荒した女盗賊の騒動を収めたところとあって、今巻は江戸中を騒がすような悪党はひとまず鳴りを潜めている状態。ただ、弱い者の血を吸って生きている輩はつきないもので、今回は、そういう事件の解決譚。 収録は 第一話 鉄の証文 第二... 2018.03.21 佐々木裕一
西條奈加 江戸の下町風味の庶民的ピカレスク・ロマン — 西條奈加「善人長屋」(新潮文庫) 騙りや情報屋、あるいは盗品故買といった裏稼業をもちながら、表面的には、「善人」として暮らしている輩が集まった長屋に、裏稼業のない「指物師」の加助という男が引っ越してくる。さて、何が起きるか・・・・。といった設定で始まるのが本書。 収録は 善... 2018.03.16 西條奈加
上田秀人 将軍没後も前田家に降りかかる大老の謀略 — 上田秀人「百万石の留守居役 4 遺臣」(講談社文庫) 第1巻・第2巻では、将軍の後継ぎになるよう大老から持ちかけられ、それを首尾よく断ったと思ったら、第3巻で四代将軍・家綱が死去し、と加賀・前田家に降り掛かってくる揉め事は尽きない。それにあわせて、新米留守居役・瀬能数馬も右往左往させられる。 ... 2018.03.13 上田秀人
上田秀人 瀬野数馬、留守居役デビュー。加賀・前田家に降りかかる難題を解決できるか? — 上田秀人「百万石の留守居役 3 新参」(講談社文庫) 第1巻、第2巻で、四代将軍家綱の後継にという申し出を見せ金にして、加賀・前田家の取り潰しを画策していた大老・酒井雅楽頭の謀略から、からくも逃れた、加賀・前田家。本シリーズの主人公の瀬野数馬は、その際の働きが認められ(?)、藩の重臣・本多政長... 2018.03.09 上田秀人
上田秀人 瀬能数馬のデビュー活劇と将軍家後継ぎ問題の顛末は? — 上田秀人「百万石の留守居役 2 思惑」(講談社文庫) 第1巻で、四代将軍・家綱の後継として、白羽の矢がたった、加賀の国主・前田綱紀。幕府からの難題に国論は二分されるが、賛同派の急先鋒・前田直作が藩主の命によって急遽、江戸を召喚される。彼を守るために、本作の主人公・瀬能数馬も同行し、一行は信濃追... 2018.03.06 上田秀人
上田秀人 江戸時代はいろんな職があって、かなり面白き時代ですな — 上田秀人「江戸役人物語 武士の職分」(角川文庫) 「留守居役」であるとか「勘定吟味約」であるとか、変わった職に就いている武家の活躍を描いてくれる筆者による、江戸幕府の変わり種役職の物語である。 構成は 変わった役職についてのまえがき 第一章 表御番医師の章 第二章 奥祐筆の章 第三章 目付... 2018.02.26 上田秀人
西條奈加 「天保の改革」の本当の姿はどうだったのか — 西條奈加「涅槃の雪」(光文社) 時代小説でよくある時代設定は、江戸時代では、武張ったものでは享保、幕末。町人ものでは、元禄、文化文政といったところが多いのだが、本書は、遠山の金さんこと、遠山北町奉行を登場人物に加えるとはいえ、時代的には少々暗い、天保時代である。 収録は ... 2018.02.23 西條奈加
上田秀人 外様大名家という一風変わった所を舞台にした時代小説シリーズのはじまり、はじまり — 上田秀人「百万石の留守居役 1 波乱」(講談社文庫) 「捕物帳」をはじめ時代小説は、とても中央集権が進んでいるもので、たいていの場合、東京(江戸)のしかも日本橋、神田、深川あたりをうろうろするのが通例で、新宿・品川あたりまで出張ることすらも少ないもの。しかも、武家ものであれば、幕府かあるいは町... 2018.02.09 上田秀人