西條奈加

ミステリー

「日常」には”忘れたい過去”が隠れているー西條奈加「いつもが消えた日」

神楽坂に住む、祖母と一緒に住む中学3年生の滝本望が、ワトソン役になって、祖母である「お蔦さん」とともに事件を解決するシリーズの第2弾が、本書の『西條奈加「いつもが消えた日」(創元推理文庫)』。 【構成は】 第1章 いつもが消えた日 第2章 ...
西條奈加

主人公の「お末」ちゃん、頑張れと声援をおくってしまう時代小説 — 西條奈加「上野池之端 鱗や繁盛記」(新潮文庫)

時代は、田沼意次が威勢をふるってから50年ぐらい後、徳川十代将軍家斉の治世も最後のほうに差し掛かった頃、半分以上騙されて、田舎から上野池之端の料理茶屋「鱗や」へ奉公にだされた「お末」を主人公にした時代小説である。   収録は   蛤鍋の客 ...
西條奈加

江戸の下町風味の庶民的ピカレスク・ロマン — 西條奈加「善人長屋」(新潮文庫)

騙りや情報屋、あるいは盗品故買といった裏稼業をもちながら、表面的には、「善人」として暮らしている輩が集まった長屋に、裏稼業のない「指物師」の加助という男が引っ越してくる。さて、何が起きるか・・・・。といった設定で始まるのが本書。 収録は 善...
西條奈加

「天保の改革」の本当の姿はどうだったのか — 西條奈加「涅槃の雪」(光文社)

時代小説でよくある時代設定は、江戸時代では、武張ったものでは享保、幕末。町人ものでは、元禄、文化文政といったところが多いのだが、本書は、遠山の金さんこと、遠山北町奉行を登場人物に加えるとはいえ、時代的には少々暗い、天保時代である。 収録は ...
西條奈加

菓子の甘さに隠された江戸の「家族」の人情話 — 西條奈加「まるまるの毬」(講談社文庫)

親子三代で営む、小さな江戸の菓子屋「南星屋」を舞台にした時代小説。   収録は   「カスドース」 「若みどり」 「まるまるの毬(いが)」 「大鶉(おおうずら)」 「梅枝(うめがえ)」 「松の風」 「南天月(なんてんづき)」   の7編。 ...
ミステリー

少年の推理モノと成長物語として読むべきか — 西條奈加「無花果の実のなるころに」(創元推理文庫)

最近、ライトなミステリーを続けて読んでいるのだが、何よりもその魅力は憂き世の辛いことや陰惨なことからちょっと目をそらして、ほんわかとした謎解きに遊んで、一時、心を休ませることができること。 この「無花果の実のなるころに」も、中学生の「望(の...