バイクのスピードレースに隠された大規模犯罪を暴け ー 佐藤青南「白バイガール 最高速アタックの罠」(実業之日本社文庫)

神奈川県警交通機動隊所属のタレ目ぽっちゃり型のいやし系キャラ「本田木之美」とレイダーテクニック抜群のツンデレ美人「川崎潤」の二人をメインキャストにすえた、「ポリス」ストーリーの第4弾である。

今回は念願の交通機動隊に配属された3年目となり、ベテランの域に入りつつある「木乃美」に初めて後輩ができるのだが、その後輩がかなりの「生意気」な後輩で、なにかと木乃美を押しのけて前へ出ようという性格。さて、この後輩を操縦しながら、バイク暴走事件の謎を解いていくのか、というのが本巻。ちなみに、この後輩の名前は、ご推察どおり「本田(HONDA)」「川崎(KAWASAKI)」「山羽(YAMAHA)」のライバルである「SUZUKI(鈴木)」であります。

これに加えて、前巻で、箱根駅伝の先導を、「潤」に先を越されてしまった「木乃美」なのだが、さてこれから夢に向かったどう走っていきますか、ってなところも気なるところですね。

【あらすじと注目ポイント】

今回の事件は、神奈川県警の交通捜査課からSNSで公開されている神奈川県内の「暴走映像」の数々についての捜査協力がくるところから始まる。前巻までは交通機動隊にいた「梶」は交通捜査課に異動になっていて、そこの「交通捜査のホームズ」といわれる「宮台」という刑事とコンビを組んでいますね。

動画は、横須賀街道や綱島街道など県内の一般道で時速100Kmを超える速度で暴走するもので、「公道でマシンの性能を限界まで引き出せるか」という遊び「最高速アタック」ではないか、という推理が優勢になる中、班長の山羽は、最高速アタックをライダーがしているとは思えない違和感、「ライダーが楽しんでいない」「なにかに追われているようだ」といった感覚を抱く。ここらは、今巻の謎を解いていくのに大事なところなので、覚えておいてくださいな。

その後の序盤で、「沢野」という男がバイクの飲酒運転で捕まるのだが、その数日後、横浜で歩行者と乗用車の接触事故が起きるのだが、その歩行者は接触事故を起こす前にバイクにひき逃げされた可能性が高い。そして、そのバイクの所有者とされているのが、この「沢野」だった、といった展開をしていく。ひき逃げの容疑のかかった「沢野」はそれ以後行方をくらましてしまい、木乃美や潤たち交通機動隊のメンバーは交通捜査課の梶や宮台とともに捜査にあたっていくことになる。

木乃美と組まされた、新米白バイ・ポリスの「鈴木」は持ち前の生意気さと傲慢な喋り方で、沢野の元暴走族の友人たちをうるさがらせたり、怒らせたりし、その都度、木乃美がハラハラ・オロオロしながらカバーしていく様子がコミカルに描かれますね。この聞き込み捜査の中で、鈴木がなぜ暴走族や交通ルールを守らない奴にとことん厳しいのかがわかってきます。

事件のほうは、最高速アタックをしている動画に出ているバイクが盗難車であることが判明し、おおがかりなバイク窃盗団の存在が明らかになる。沢野もそれに関わっていていることが判明し、捜査の主体は県警の捜査一課のほうへ移管する・・・、と思いきや、窃盗団がバイクを隠している現場に踏み込むあたりから、逃走する窃盗団のバイクとのカーチェイスが始まり、潤や木乃美、鈴木はその主役になる。そして、追い詰められた窃盗団のボスが、沢野の別居中の妻の家に侵入し、幼い娘「みれい」を人質にしようとするのだが・・・、と展開していくのである。

人質にされた「みれい」ちゃんは、木乃美たちが毎年、移動交通安全教室を開いている幼稚園の園児なのだが、この子が助かったのも、木乃美が教えたバイクの車体のかたむきい以上に状態を倒しながらコーナーを曲がる「リーンイン」というバイクテクニックのおかげなのだが、詳細は原書で確認願います。子供が苦手なはずの「潤」の機転がすばらしいですね。

【レビュアーから一言】

最後の「エピローグ」の舞台は、みなとみらい分駐所で開かれている今年の「全国白バイ安全運転競技大会」の県予選の協議会の現場。競技を追えた木乃美が結果を待っているシーンである。潤や班長、同期の刑事・坂巻たちの見守る中、木乃美は結果発表を掲示したホワイトボードへ近づく。彼女が近づくと周りを土地囲んでいた人だかりが、真っ二つに割れて・・・、というところで、次巻以降、木乃美の念願の夢が叶うかどうか、楽しみに待ちたいですね。

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