聡四郎は「竹姫」付きの用人となるが、伊賀の刺客は増えるばかり ー 上田秀人「御広敷用人 大奥記録 3 小袖の陰」(光文社文庫)

徳川吉宗と竹姫(2019年3月にフジテレビ系列で放映された「大奥 最終章」で浜辺美波ちゃんが熱演したキャラ)の悲恋物語と吉宗に大奥を取り仕切る御広敷用人に任命された水城聡四郎の活躍を描く、江戸中期を舞台にした上田秀人ワールド満載の時代小説の第3弾。

前巻で吉宗に命じられて、「竹姫」が江戸をやってきた理由を探るに京都に行った道中で、伊賀の郷から派遣された伊賀の忍を倒したため、御広敷伊賀者ばかりでなく伊賀の郷まで敵にしてしまった聡四郎であったのだが、江戸へ帰って、今まで無任所であったのが、「竹姫」づきの御広敷用人となったことで、今度は大奥の天英院にも睨まれるようになるのが本巻。

小袖の陰~御広敷用人 大奥記録(三)~ (光文社文庫)
小袖の陰~御広敷用人 大奥記録(三)~ (光文社文庫)

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光文社 (2016-11-25)
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【構成と注目ポイント】

構成は

第一章 大奥の男
第二章 因習姑息
第三章 女の恨み
第四章 闘の準備
第五章 巡る天下

となっていて、まず、将軍・吉宗の退位を狙う六代将軍・家宣の弟で館林藩主の松平清武の江戸家老が暗躍をはじめ、大奥に自分の配下を下男として送り込んで下準備を始め、天英院との接点を強化し始める。ただ、主君の松平清武が将軍位を望んでいないところがちょっと難として残りますね。

大奥の月光院と勢力を二分していた天英院は、もともと八代将軍に「吉宗」ではなく、「清武」を推していたので、この二つの勢力が結びつくのは必然でありますね。しかし、前シリーズの「勘定吟味役異聞」では月光院のほうが色ボケの敵役であったのだが、今シリーズでは天英院がラスボス的な位置づけですね。

一方、聡四郎を狙ってい御広敷伊賀者の頭領・藤川は、一族のはぐれ者で、今は柳生新陰流の剣士となっている柳左伝を、聡四郎への刺客として準備を始める。左伝は、伊賀の三名家の一つ、百地家の跡取りだったのが、体がでかいために「忍」失格とされていたもの。「体」がでかいと駄目ってのは、競馬のジョッキーみたいな話ですな。ただ、この巻では下っ端は聡四郎にやられるが、左伝はうずうずと「調べて」いるばかり。ここらを許してしまうのが、御広敷伊賀者の頭領の力不足の現れかもしれんですね。

また伊賀勢の刺客の新たな一派として伊賀の郷からは女忍者4人が派遣されてくる。今までは男相手の「道端」での争闘が中心であったのだが、今度は大奥内で襲撃される可能性もでてくるので、力技が目立つ聡四郎はちょっと苦戦するかもしれんですね。郷からやってくる女忍者は、「袖、澪、弥會、孝」の四人なのだが、このうち「袖」はとんでもない美人であるそうなので覚えておいてくださいね。

最後の悶着は竹姫の実家の静閑寺家の本家・一条家から派遣される中臈の「鈴音」で、お目見えの時に大奥の実力者の年寄・高倉にたてついたり、意地悪をした、ご錠口番を脅しつけたり、とかなり気の強いのは明らかですね。そして。竹姫と初対面のときに行った言葉が・・といったところは原書で確認してください。

【レビュアーから一言】

この巻でもちょこちょこ顔を出すのが吉宗の「食えない」ところで、御広敷の広間で、聡四郎に向かって「勘定奉行が使えぬ」と愚痴をこぼして、彼がその後継になるのでは、と大奥や商人に予断を与えて牽制を図ったり、御広敷伊賀者の目を水城聡四郎のほうへ向けておいて「竹姫」を守ったり、と結構「悪どい」公方様であります

そんな吉宗も「竹姫」には一目惚れでぞっこんで、あれやこれやと心配して守ろうとする姿は、将軍といえども「人の子」であるのをさらけ出してますね。

ちなみに「竹姫」は2019年3月25日に放映された「フジテレビ開局60周年記念特別企画」で放映された「大奥 最終章」で「浜辺美波」ちゃんが演じて、とても「可愛い」と評判になってましたね。

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