イサックの銃撃はスペインの攻撃からオランダを守る=真刈信二・DOUBLEーS「イサック」12・13

17世紀初頭から半ばにかけてドイツやオーストリアなどの中央ヨーロッパでカトリックとプロテスタントの間で戦われた宗教戦争「三十年戦争」を舞台に、大阪夏の陣の後、戦乱が収まった日本から、兄弟弟子が師匠のもとから盗み出した銃を取り返すため、傭兵としてやってきた火縄銃の名手「イサック」の活躍を描く戦場物語『真刈信二・DOUBLEーS「イサック」』シリーズの第12弾と第13弾。

前巻までで、ゼッタとともにライン川を渡って、ドイツからオランダへと脱出したイサックだったのですが、ここでオランダへ攻め込もうと考えているスピノラ将軍が当面の標的と定めたユーリヒ要塞の守備隊長に雇われ、要塞の守備軍に加わるのですが、ここで愛銃をとりもどしたイサックとスピノラ軍との死闘が始まります。

あらすじと注目ポイント

第12巻 イサックはロレンツォとスピノラを撃退し、ユーリヒ要塞を守る

第54話 陥穽
第55話 先の先
第56話 狙撃戦
第57話 銃の声
第58話 再会
第59話 恐怖

となっていて、前巻で、馬車の陰からユーリヒ要塞の砲撃の距離や方向を支持していた砲術士官が、イサックによって太陽光の反射を利用して射殺されます。

しかし、攻撃の遂行に大きな痛手を被ったスピノラ将軍は、一斉砲撃の手を緩めようとはしません。

これは、砲撃によって要塞内に立てこもる兵士を誘い出し、一気に葬る作戦だったのですが、イサックはこれを逆用することを思いつきます。敵の罠にひっかかって、オランダへ撤退するとみせかけて、別働隊で大砲に攻撃をしかける戦法です。

しかし、これを見抜いていたスピノラは要塞と外をつなぐ橋に爆薬を積んだ船を激突させ、要塞に退却するオランダ兵が渡る橋を絞った上で、イサックの敵・ロレンツォこと錬蔵の率いる銃士による狙撃をしかけます。

ここには、イサックを誘い出し、そこを錬蔵が狙撃するという二重の仕掛けが施されていたのですが、間一髪それを察知したイサックは、ロレンツォ配下の二人の銃士を射殺した上で錬蔵を逆襲します。二人の息詰まる銃撃戦は原書でお楽しみください。

そして、最終的には錬蔵の逃亡を許したものの、スピノラ軍の新式大砲を無力化することに成功します。

この後、戦線は膠着し、イサックたちは「6ヶ月間、スペイン軍を足止めしろ」というオランダ本国の命令を契約どおり仕上げることとなります。

ちなみに、錬蔵はフランスへ向けて逃亡したようですので、また違う戦争で相まみえることになるんでしょうね。

巻の後半では、ライン川を渡河したところで別れた「プリンツ・ハインリッヒ」と再会し、彼と再び一緒に戦うことを決断します。

次の戦地は、スピノラ将軍が攻撃を準備しているフランドル国境近くの都市・ブレダ、ということで、プリンツとともに重要な攻防地点である「フースデン要塞」に到達するところで次巻に続きます

ちなみに、今回はゼッタはレイデンでお留守番のようですので、彼女の使う天気予報のワザは使えないようです。

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第13巻 イサックはプリンツともにスペイン軍を粉砕する 

第13巻の構成は
第60話 野放図
第61話 驚異
第62話 大砲撃
第63話 戦場で笑う男
第64話 ヴィスコンデを狙え
第65話 肉弾

となっていて、ブレダ攻防戦のカギを握っている「フースデン要塞」近くのアルテナ砦を根拠地に、スペイン軍から要塞を奪い取ろうと作戦を練るプリンツ・ハインリッヒとイサックの姿から始まります。

この要塞を守っているのは「ホラー・ヴィスコンデ」と異名をとる、もともとスペインの名門貴族・サーベラ家の長男です。彼はトルコ遠征の時に、敵軍の捕虜となり、捕虜当時の体験から冷酷な人間となった、と評判の軍人です。彼の軍隊は傭兵中心で構成されていて、ガラが悪く乱暴者揃いという設定です。

これは、オランダ軍の輸送部隊が渡河を試みるときに現れていて馬の頭を中心に荷馬車で半円陣を作り、その周囲に3列の銃兵を配置した最新の戦術「五段反転射撃」に対し、とトルコの騎兵仕込みの乗馬術で銃撃をかわして突進し、相手を切り倒していく残虐な先負で、オランダ兵をなぎ倒していきます。

ヴィスコンデの傭兵たちの騎士道を無視した攻撃に見るに見かねたプリンツが割って入るのですが、逆に取り囲まれて、あわや、という危機に陥ります。まあ、ここでプリンツを救うのは、イサックの射撃で、遠距離からヴィスコンデの傭兵を次々と狙撃するイサックの銃撃に、ヴィスコンデは戦術の練り直しを痛感することとなります。

プリンツとイサックがアルテナ砦の守備隊と合流した夜、ヴィスコンデ軍が砦へ夜襲をかけるのですが、それを予測していてイサックによって砦の兵士はすでに逃げ出した後です。
そこへやってきたのが予定より早く到着した弾薬や火薬を積んだスペインの補給軍艦で、イサックは、オランダ兵をおびき寄せようと罠を張っていたヴィスコンデ軍の輸送筏を狙撃し、砲撃を開始させます。もともと、この輸送筏はイサックを誘い出す囮だったので、ヴィスコンデの作戦は見事成功、と思いきや、イサックの銃撃も実は揺動。砲撃の大音声と爆発にまぎれて、プリンツの指揮するオランダ兵が、火のついた夜襲船をスペイン技官にぶつけ、大破・炎上させてしまいます。囮作戦に囮作戦で応じたわけですね。

このイサックの見事な作戦が、ヴィスコンデの戦士魂を刺激し、刺客が放たれます。プリンツとアルテナ砦守備兵を殲滅しようと押し寄せるヴィスコンデ軍。さらに、その外で「ホラー・ヴィスコンデ」を狙撃しようとするイサック、そのイサックを狙うヴィスコンデは放った刺客・ブルーノ、とめまぐるしいバトルシーンが展開していくのですが、詳細は原書のほうでどうぞ。

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レビュアーの一言

第12巻の中盤のところで、イサックは今までの戦功によって、オランダの総督によって日本からヨーロッパンに渡りるための渡航費などを賄うために結んだ「傭兵契約」を終了することを認められ、晴れて「自由民」となります。もはや戦場に駆り出されることの亡くなったのですが、プリンツ・ハインリッヒとの友情ゆえに彼と一緒に戦地に赴くことを決意するイサックの姿を見守るゼッタの表情が微妙に悲しく見えるのは錯覚でしょうか。

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