【ネタバレ】フリーレンとフェルンは「一級魔法使い試験」に挑戦する=山田鐘人・アベツカサ「葬送のフリーレン」5~7

「魔王」を打ち倒し、世界に平和と安寧をもたらしてから50年経過後。パーティーの魔法使い役であった、エルフのフリーレンを主人公に、魔王が滅びた後の「その後」の世界が描かれる異色の冒険ファンタジー「葬送のフリーレン」の第5弾から第7弾。

かつてのパーティー仲間であった僧侶のハイターの弟子「フェルン」と、戦士・アイゼンの弟子シュタルクとパーティーを組んで、「魂の眠る地」のある地を目指して旅を始めたフリーレンなのですが、北側諸国の関所を抜けたところで、「エンデ」に行くには一級魔法使いの同行が求められていることがわかり、急遽、三年に一度開催される「一級魔法使い試験」に挑むことになります。

あらすじと注目ポイント

第5巻 一級魔法使い試験の第1次試験の課題は「隕鉄鳥」の捕獲

第5巻の構成は

第38話 隕鉄鳥
第39話 捕獲作戦始動
第40話 鳥を捕まえる魔法
第41話 覚悟のための時間
第42話 戦う理由
第43話 特権
第44話 隕鉄鳥奪還
第45話 水を操る魔法
第46話 もっと美味しい味
第47話 フェルンと焼き菓子

となっていて、冒頭から「一級魔法使い試験」の第1次試験が始まります。

第一次試験が行わる区域は森林地帯を結界で封印した地域で、「隕鉄鳥」という頑丈で、音速を超える飛行速度をもった妖鳥が棲息しているのですが、この鳥を捕まえ、三人で構成されるパーティーメンバ全員が無事な状態で明日の日没を迎えることが合格条件となります。

この魔法使い試験には、フリーレンとフェルンが参加して、シュタルクは街で留守番ですね。そして、フリーレンは、三級魔法使いのラヴィ―ネとカンネという幼馴染で魔法学校も同じの二人の若い女性と、フェルンのほうは2年前の二級魔法使い試験で試験官の一級魔法使いを殺してしまって失格処分となった三級魔法使いのユーベル、冷静な戦術家の二級魔法使いで分身魔法を使うラントとパーティーを組むこととなります。

もちろん、こういう時のお決まりで、パーティーを組んだメンバーは一癖も二癖もある人物ばかりで・・という設定ですね。頑丈で、音速の早さで異動し、魔力に敏感で用心深い隕鉄鳥を捕まえるため、フリーレンは、鳥が必ず訪れる「水場」の水を凍らせ、そこに魔力を仕込む、という他のパーティーの恨みをかうに違いない捨て身の戦法をといるのですが・・という展開です。

そして、運よくあっさりと隕鉄鳥を捕獲したフェルンのパーティーのほうは、捕獲した鳥を奪おうと襲ってくる他のパーティーとの戦に巻き込まれ・・という筋立てですね。

少し、ネタバレしておくと、第1次試験の終盤のほうで、この魔法都市を牛耳っている大魔法使いゼーリエとフリーレンとの過去の出会いが垣間見えます。

第6巻 第2次試験は、迷宮内での自分の「複製体」との対決

第6巻の構成は

第48話 零落の王墓
第49話 迷宮と魔導具
第50話 水鏡の悪魔
第51話 迷宮戦闘
第52話 作戦会議
第53話 人間の時代
第54話 大体なんでも切る魔法
第55話 第二次試験終了
第56話 フェルンの杖
第57話 第三次試験

となっていて、第二次試験の舞台は「冒険もの」にふさわしく「迷宮(ダンジョン)攻略です。

「零落の王墓」と呼ばれる迷宮の最深部までたどり着いたものすべてが合格、という内容なのですが、実は、この迷宮に入った冒険者のすべてが途中で逃げ帰るか死んでいる、誰も踏破したことのない迷宮です。

こういう迷宮攻略の場合、試験に参加しているメンバー全員が協力して役割分担できれば、踏破する可能性は高まるのですが、自信家が多く、周囲の人間を信用しない「魔法使い」たちばかり揃っているので、そううまくはいきませんね。

ひとまず、フリーレンはフェルンをパーティーを組んで、ダンジョン攻略に挑むこととまります。

しかし、最深部に近づいた受験者たちを待っていたのは、魔法によってつくられた受験者と同行している試験官の複製体です、魔力も技量も全く同等の複製体たちを斃して、最深部の部屋にいる「水鏡の悪魔」を斃さないと無限に生み出されてくる複製体によってやられてしまうことになり・・・という展開です、

ここでは、規格外の能力をもつユーベルとユーベルの複製体、そして試験官・ゼンゼの複製体との戦いとフリーレン+フェルンvsフリーレン複製体との戦いが圧巻です。

第7巻 魔法使い試験も終わり、フリーレンたちは北部へ向かう

第7巻の構成は

第58話 ゼーリエの直感
第59話 小さな人助け
第60話 旅立ちと別れ
第61話 封魔鉱
第62話 旅立ちの理由
第63話 南の勇者
第64話 剣の魔族
第65話 エトヴァス山の秘湯
第66話 好きな場所
第67話 穏やかな時間

となっていて、冒頭では、第2次試験の迷宮の試練を潜り抜けた者たちが最終試験に臨んでいます。

最後の試験は、この魔法都市を支配する第魔法使い「ゼーリエ」による面接試験なのですが、その面接というのが受検者を人目みて直感によって合否を決定するという、かなりの乱暴なものです。フリーレンに言わせると「ゼーリエの直感はいつも正しい」そうなのですが、うーん、なんともなーという設定ではあります。ただ、受験者全員がその面接結果には納得しているようなので、良しとしましょうか。

これによって合格となったのは、フェルン、宮廷魔法使いのデンケン、第1次試験でフェルンとパーティーを組んでいたユーベルとラント、そして大陸北部で魔物と戦っている北部魔法隊隊長のヴィアベル、精神操作魔法を使うメトーデといったところなのですが、果たしてフリーレンは合格できるのか・・といった展開です。その結果については原書のほうでお確かめを。ついでに、合格のご褒美で、好きな魔法をもらえるのですが、フェルンがもらった魔法というのが、これまた極度に実用的な代物です。

中盤以降は、この試験で一緒になった登場人物たちのエピソードが紹介された後、フリーレンたちは、北部へ向けて旅立ちます。

そこでは、あらゆる魔力を封じる効果のある「封魔鉱」の大鉱脈や村人を食い殺す「剣の魔族」、かつてヒンメルたちと訪れた山の中の「ちっぽけな」秘湯のエピソードが語られます。この巻の大半は、次巻以降展開される北部への旅の「箸休め」といった感じで楽しんでおいてください。

レビュアーの一言

第7巻の後半部では、フリーレンたちが魔王を斃した時、彼らに先行して魔王軍の前線部隊を全滅させ、魔王の部下の七崩賢の三人を討ち取り、魔王の片腕と言われた魔物と相討ちになった大功績をあげた「南の勇者」のエピソードが語られているのですが、その勇者のことは世間のほとんどの人が忘れ去っていて、という筋立てです。フリーレンの旅の随所に、汚れはて、忘れられた「英雄」や「冒険者」の銅像を磨き上げるエピソードがでてきていて、このシリーズの隠しテーマの一つは、「忘れられた英雄たち」ではないかな、と思う次第であります。

まあ、フリーレンの旅自体が、知っているようで知らなかった「ヒンケル」と会話をするために、「魂の眠る地」を目指すというものなのですから、「気づかなかった過去」を探すのがこの風変わりな「冒険物語」の主テーマといえるかもしれません。

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