【ネタバレ】ヴァイゼを黄金化したマハトと無名の大魔族ソリテールとの戦い開始=山田鐘人・アベツカサ「葬送のフリーレン」10

「魔王」を打ち倒し、世界に平和と安寧をもたらしてから50年経過後。パーティーの魔法使い役であった、エルフのフリーレンを主人公に、魔王が滅びた後の「その後」の世界が描かれる異色の冒険ファンタジー「葬送のフリーレン」の第10弾

前のタームで「神技のレヴォルテ」などの将軍級の魔族を斃したフリーレンとフェルンだったのですが、今回は城塞都市・ヴァイゼを黄金に変え、大陸魔法協会も彼を封印し監視することしかできず、フリーレンも過去に敗れた「黄金郷のマハト」の過去と最終対決が描かれます。

あらすじと注目ポイント

第10巻の構成は

第88話 ソリテール
第89話 罪悪感
第90話 グリュック
第91話 表舞台
第92話 ヴァイゼの終焉
第93話 大結界
第94話 解析
第95話 無名の大魔族
第96話 師弟
第97話 観測

となっていて、冒頭は人間を黄金に変えながら放浪している「黄金のマハト」が人類について研究をしている変わり者といわれている魔族「ソリテール」と出会うところから始まっています。ここからは、マハトの回想とフリーレンが始めた彼の記憶の解析が入り混じって描かれます。

「人類を研究している」ということで、人類に親和性があるかというとそうではないことに注意すべきですね。「親和性」という意味では、「マハト」のほうが人類との共存の道がないかを模索しているのですが、それを掴むために多くの人間を殺しているわけで、危険性の意味では両者に優劣はないですね。

さらにここで、フリーレンたちのパーティーが魔王と戦う前に、南の勇者のパーティーと戦って相打ちとなった魔族「シュラハト」が出てきます。ここらは。フリーレンたちの戦いや現在の旅に対する魔族の動きが推察されるところです。少しネタバレしておくと、シュラハトはこの段階で「フリーレンには、南の勇者との戦いを見せるわけにはいかん」と言っているのには何か意味が隠されているかと思います。

中盤からは、このヴァイゼの領主であるグリュックとマハトとの出会いが描かれます。グリュックはこの地域の領主ではあるものの実権は反対派の貴族に握られているらしく、息子も不審死を遂げていて、その復讐と実権を取り返すために、人類のことを知ろうとしていたマハトと手を握ったという経緯のようです。

ここからマハトはグリュックの忠実な臣下として、反対派貴族を始末し、フリーレンたちに魔王が斃された後は、ヴァイゼに迫ってくる魔族の軍隊を片付ています。この時期に両親を魔族に殺された少年時代の「デンケン」に出会って領主の依頼で、彼に魔法を教え始めたはわけですね。ついでに言っておくと、彼の妻・レクテューレはこの領主の娘ですね。

そして、デンケンの妻・レクテューレが病死し、デンケンが宮廷仕えとなり、ヴァイゼを離れたときに、マハトによるヴァイゼ黄金化がされるのですが、この経緯については原書のほうで。さらに、ヴァイゼの黄金化の後、大魔法使い「ゼーリエ」が訪れ、ヴァイゼを封印した時の様子が描かれています。ここによると、マハトは人や町を「金」に変えることはできても、それを元に戻すことはできないようですね。さらに、ゾルトラーク(人を殺す魔法)の防御魔法も作り出していることが描かれていて、フリーレンたちが彼を斃すことがかなり難しいことがわかりますね。

中盤部分でマハトの記憶の一部をフリーレンが解析し、ヴァイゼが黄金化された経緯がわかったのと相前後して、今度は魔族「ソリテール」が「大結界」の解析を始めています。

彼女は人類の歴史には残っていない「無名の大魔族」で、シュタルクは「小者」扱いするのですが、実は「無名」なことは「記録に残されている有名魔族」より危険だとフリーレンが言っています。その警告どおり、二ヶ月後、ソリテールは大陸魔法協会が作り上げた鉄壁の大結界の術式を解読し、崩壊させています。

そして後半ではいよいよ、フェルン+シュタルクvsソリテール、デンケンvsマハトのバトルが始まります。シュタルクが注意をひきつけてのフェルンの高圧縮ゾルトラーク、デンケンの第一級魔法使い試験合格の恩賞でゼーリエから譲られた「ミズティルジーラ(呪い返しの魔法)」もソリテールやマハトを動揺させてはいるのですが、やはり力の差はかなり大きいようです。

レビュアーの一言

「無名の大魔族」が有名魔族より、危険である意味は、大魔族は長い年月を生きてきて魔力を蓄えてきているにもかかわらず、人類側の記録が無いということは、遭遇した人間がすべてその場で殺されている、ということで、その強さはフリーレンやフェルンが今まで斃してきた「アウラ」や「レヴォルテ」よりも上のような感じがします。

彼女の浮遊する剣を使った戦闘魔法は、今巻の後半部や次巻で詳細が語られているので、原書のほうで確かめてくださいね。

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