涼子サマ、都心の高層ビルで大暴れで伝説の獣退治 — 田中芳樹・垣野内成美「薬師寺涼子の怪奇事件簿 摩天楼」(マガジンZKC)

田中芳樹氏のミステリー「薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ」をコミック化したものの一冊。もとは「摩天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿」かな。
小説のコミック化と実写化は、その出来が極端に出るもので、仮に変なものにあたると、主人公のイメージやらが、固定化されて、どうかすると作品の魅力を損なってしまうことがるのだが、本作の場合は成功例といえる。
なぜかといえば、まあゲスな話ではあるが、薬師寺涼子がとてつもなく色っぽく魅力的に仕上がっているから。こうしたコミック化の成功の要因は、読者の想像力、造形力を超えた魅力的なキャラを見せることができるかということであるのだが、本作の場合、「涼子さま」の我儘さも気位の高さも含めて、まあなんとも見事な造形であります。
筋立ては、インターポールの出向から警視庁に帰還する辺りから始まる。
事件は、ベイシティホテルでの政治パーティーの参加者の集団監禁と連続殺人である。しかも、大理石の石の中を走る、怪しい影というところで、
まあ犯人は?となると「怪奇」事件簿という名のとおり、普通の人間ではありませんわな。
まあ、このシリーズの醍醐味は、謎解きがどうこうというところではなく、涼子さまの傍若無人な大活躍と、このやろーと思う大悪党をたたきのめすカタルシスである。すっきりすることは請け負いますね。

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