面白い本は全体の1%。とにかくたくさん「読書」しよう — 千田琢哉「人生で大切なことはすべて「書店」で買える」

「本」を読みましょうよ、「本」を読むといいことありますよ、成功しますよ、ということを、こんなに熱く語ってくる「読書論」の本は最近は珍しい。
 
構成は
 
プロローグ 僕の出身校は、仙台の丸善と金港堂だ。
第1章 本さえ読めば、どんな時代になって知恵で生き抜いていける
第2章 本が背中を押してくれる「行動力」
第3章 本が教えてくれる本当の「コミュニケーション力」
第4章 本が伸ばしてくれる効率的な「勉強力」
第5章 本が磨いてくれる結果を出す「仕事力」
第6章 本が導いてくてるお金の不安から自由になれる「経済力」
第7章 本が加速させてくれる「成長力」
第8章 人生を変える本の「買い方・読み方」
エピローグ つらいときに群れるな、本を読め
 
となっていて、「読書礼賛」のあたりは、例えば
 
読書している人は同じ環境にいても精神的にタフです。 なぜなら、自分を励ます言葉をたくさん持っているから
 
 
なにか新しいことに挑む場合、読書せずに挑むのとたっぷりと読書してから挑むのとでは、結果は雲泥の差となります
 
といったところでも顕著で、しかも、
 
質の高い読書をしている人は、必ず圧倒的な量の読書をしています。
量と質は相反するものではありません。量と質は比例するものです。 圧倒的な読書量をこなさなければ、質の高い読書ができるようにはなりません
ということであるから、とにかく「本を読め」かつ「大量に読め」というのが本書の「読書術」の基本となる。しかし、とかく大量の読書を勧めるものの中には、「速読」の方向へ行くのが多いのだが、
速読術として僕が行き着いたある結論があります。それはゆっくり読むようにすると、結果として速く読めるようになるということです。「速く読まなくてはいけない」と焦ると、内容が頭に入らない上に遅くなります。
といったところは、むしろ出口治明さんの「わかるまで読む」といった正統的な読書術に近く、さらには、
不思議なことに、模範解答を選んで○をもらうために生きている人たちは揃いも揃ってあまり幸せそうな顔をしていないのです。反対に、好き放題に読み間違えている人たちはみんな幸せそうな顔をしています。 大人の国語では読み間違えたもの勝ちです。「どこにもそんなこと書いていないのに……」と、著者から叱られてしまいそうな解釈をして勝手に一人で興奮してアクションを起こす人が成功します。
といったところには、スピード・効率重視で、生き方そのものも効率を最大限に重要視してしまって、生きることの「味」そのものを喪ってしまいがちな現代の風潮への、穏やかな批判でもあるように感じるし、
いったい成功者は一人で何をしているのでしょうか。 本を読んでいるのです。本を読んで常に自分の活かし方を考え、気づきを得ているのです。群がっていると、本を読むことができません。
 
といったあたりは、とかく集団の中にいると安心してしまう我が身への戒めでもある。
さて、読書の効用はわかったとしても、つまらない本に出会ってしまうのは誰しも嫌なもの。ところが、本書によれば
どんな世界でも面白い作品は1%です。1つの面白い作品に出逢うためには、100の作品を味わえばいいのです。10 の面白い作品に出逢うためには、1000の作品を味わえばいいのです。
とのこと。盛大に読んで、盛大に感動し、「つまらない本」に出会ったことを盛大に感謝しましょう。たくさん読むことは、面白い作品に出会う機会を広げるコツであるようですから。
 

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