「お客を主語にする」の本当の意味とは何か?

先だってレビューした「社長の「まわり」の仕事術」で組織運営に関して、「おっ」と思った記述があったので、ちょっと引用。それは、中川政七商店のデジタルコミュニケーション部部長の緒方恵さんのインタビューで
 
「会社にはいろんな仕事が発生するわけですが、『これは社長はどう思うかな』という主語で議論がなされたりしたら危ないですね。お客さまを主語にしないといけない。内向きの話が多くなる企業は、組織として黄色信号です」
「あそこの人材配置悪いよね」「あっちのチーム、ラクしてない?」なんて声がでてくると、危険だという。
「それは、お客さまを主語にすることで、けっこう防げたりするんです。大事なことは、工芸を元気にすることであり、社長を納得させることではない」
 
というところ。
 
これは特にトップダウンで進んで、うまくいっている組織の落とし穴として気をつけたいところですね。もちろん、トップダウンで組織を活性化し、時代をとらえて躍進したことは、トップの眼力とリーダーシップによるところが大きいのだが、一時期をリードした人でも、時を経ると奢りもでるし、時代とのズレ・ブレがでてくることは避けがたいこと。組織全体から見ると、その価値判断の基準を、いつまでもトップのものだけに頼ってしまうことで、時代の変化を取りこぼして、組織が衰退してしまう恐れがでてくる。
 
この時代とのズレが出ていないかどうかを、「お客さま」という視点から点検するということなのだが、ここは、ありきたりの「お客さま」目線で、といったことではなく、「多様な価値観でとらえること」の重要性としてとらえるべきだろう。
というのも、状況悪化が少ないときに、従来の価値観に基づいた「お客さま目線」では、時代や世間の変化に気づかない事が多い。この段階で異変の兆候をつかむには、いろんな目線で物事を捉える、分析するといったこと、すなわち、「はぐれた」視線から今の状況を分析するといったことでしか発見できないものである。
 
好調なときには、人知れず衰退の種が忍び込んでいるもの。そんなときほど「越境」した視点から捉え直すことが必要なんでしょうね。

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