本願寺挙兵ス — 梶川卓郎「信長のシェフ 17」(芳文社)

さて「信長のシェフ」の17巻目は、「天王寺合戦」の始まりのところ。
調べてみると、本願寺と織田勢との戦で、結構重要な位置づけの「戦争」のようだ。
 
収録は
 
第142話 操るもの、操られるもの
第143話 瑤子の伝言
第144話 戦国の茶会
第145話 野点に裏にて
第146話 伝えるべきこと
第147話 切り裂く刃
第148話 本願寺挙兵
第149話 毛利軍の正体
 
となっていて、戦が開始される前の、嵐の前の静けさ的な、織田と本願寺との茶会の前後から始まる。
おおまかにいうと、「ケン」こと賢一郎と瑤子が「現代」にいた時の給仕長の「松田」に信長暗殺の陰謀に、松永久秀がが加担し、さらに松永を利用しようとする本願寺勢といった様相で、こういうタイムスリップものの時代ものは、史実は史実として、現代人が歴史をどうこうしようとする悪玉と、それを阻止しようとする善玉、そして、そんな事は関係なしに自らの欲望を遂げようとする、その時代人といった、くんずほぐれつの騒動が楽しいんだよね。
 
そして、時代の流れに心を痛める美女(「瑤子さん」だよね)といったお決まりのパターンもまた良いですな。
 
で、今巻の注目人物は、なんといっても本願寺顕如。たいがいの歴史小説では、織田信長に歯向かったせいか、茫漠としたイメージしか与えられていないのだが、このシリーズでは、旧勢力の代表者・リーダーとして見識もあり胆力もあり、といった感じで描かれている。
 
今巻の話の最後は、史実ではまだ出陣してこないはずの「毛利勢」を、信長の命によって、「ケン」が押し止めるために現地に向かうところで終わるのであるが、さて次巻でどういう手立てが講じられるのでありましょうか。

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