有名文具企業の社員の渾身の「整理アイデア」の数々をご覧あれ ー コクヨ株式会社「コクヨのシンプル整理術」

便利そうなものや、ちょっと目新しいものが出ていると試してみたくなる、という文具好きの傾向は、多かれ少なかれ誰にでもあるものだ。
特に、学生時代にそういう傾向がなくても、実社会に出てビジネスの現場にいると、自分の机の上に書類が積み重なっていったり、資料や資料が入ったCD-ROMとか仕事関連の捜し物が多くなったりして、否応なしに「整理」の必要性に駆られるようになるのはビジネスマンの”定め”というものである。
そういうビジネスマンのあなたに、文房具やオフィス用家具を企画・販売する「コクヨ」の社員たちが、日々の仕事の中で生み出してきた「整理術」の数々を紹介するのが、本書『「コクヨのシンプル整理術」(KADOKAWA)』である。

【構成は】

PROLOGUE 仕事の生産性を上げる「整理」とは?
SECTION1 コンパクトに収める メソッド30
SECTION2 検索性にこだわる メソッド30
SECTION3 モチベーションを上げる メソッド20
SECTION4 仕事の自由度を上げる メソッド20

となっていて、100のメソッドが取り上げられている。
ただ、「コクヨ式1分間で伝わる話し方」や「たった1分間ですっきりまとまる コクヨのシンプルノート術」など、その活動範囲や注目範囲が、文具関連にとどまらない「コクヨ」であるから、その整理術も

「キレイ」にこだわる必要はありません、整理においては、見た目の美しさと使い勝手の良さは、必ずしも一致しないのです。(P10)

だったり、

かつては、書類を大量にストックすることが多かったため、書類の整理といえば、インデックスやバインダーを駆使するファイリングが一般的でした。
現在は、整理を行う目的が「スピード化=生産性向上」であるため、「コレ」という整理法はなく、各自の仕事の内容と好みに合わせて整理をしています。
また、いったん収納したら終わりではなく、たとえば、
・近いうちに捨てる予定の書類は、穴をあけてとじない
・どこでも書類を見られるように、データ化する
というように、捨てやすさを意識して、保管したり、モバイルで活用できるように加工したり、柔軟に移動や廃棄を行いやすい整理法が適しています(P13)

と、一味違うので、読み応えがありますね。

【注目ポイント】

本書は「コンパクトに」「検索性」「モチベーションUP」「仕事の自由度の向上」という4つの観点から、社員それぞれに整理アイデアや実践例をとりあげていて、ジャンルごと、またメソッドごとに特徴があるので、「これ一択」というような押し付けがましさはない。なので、読者の方も、自分の興味や一番自分が解決したモノを頭におきながら、メソッド間をさまよいながらチョイスしていくような読み方が一番適しているように思える。

例えば、「モノを捨てる」ということをとりあげても、なんらかのルールを決めたほうがいいのはもちろんだが、本書中でも

モノを捨てる際の基本は、時限爆弾方式。
仕事の資料の場合は、「①直近で使っている、②いつか使うかも、③使わない」の3つに仕分けして、②は箱につめて、中身を使わないまま、時機がきたら、中も各人せじうに廃棄する。
この3つの仕分けを行うには、まず、職場のロッカーやデスクの引き出しから収納物をすべて出して、床や会議室のデスクに並べます。
そして、並んだファイルや物品を俯瞰して、必要なものをピックアップ(①)、不要なものを廃棄(③)、グレーゾーンにあるものを箱に詰めます(②)とにかくすべて出して並べることが重要です。(P22)

とか

5つのルールを決めて、自動的に書類を減らす
①捨てるルールを決める
②2年間閲覧なし&利用しなかったモノは廃棄
③躊躇なく捨てる
④定期的に机上をチェック
⑤ファイルボックス1個に収める(P55)

とか、「捨てる」メソッドでも微妙に違うモノがあるし、クリヤーフォルダーを使った書類整理や収納でも、

書類はクリヤーホルダーに入れてまとめる。その際、マスキングテープをラベルとして使って、日付を記入して貼る。
そして、そのクリヤーホルダーの束を取引先ごとの個別フォルダーに入れる、この個別フォルダーは、マチ付きのファイルを使う(P86)

とか

クリヤーフィルダーにインデックスをつけるときは、主にふせんを使う。ふせんをインデックスとして使う際は、・・・のりのついている面(粘着面)のほうに案件名やタイトルを記入して、クリアフォルダーの内側から貼る(P88)

といった風で、さまざまに流儀があるので、ここは読者それぞれが好みのものを選んだほうがいいだろう。そのためにも、こうした整理のアイデアは多いほど、選択の幅が広がるというものである。

【レビュアーから一言】

本書の最初のほうに

かつては、書類を大量にストックすることが多かったため、書類の整理といえば、インデックスやバインダーを駆使するファイリングが一般的でした。
現在は、整理を行う目的が「スピード化=生産性向上」であるため、「コレ」という整理法はなく、各自の仕事の内容と好みに合わせて整理をしています。
また、いったん収納したら終わりではなく、たとえば、
・近いうちに捨てる予定の書類は、穴をあけてとじない
・どこでも書類を見られるように、データ化する
というように、捨てやすさを意識して、保管したり、モバイルで活用できるように加工したり、柔軟に移動や廃棄を行いやすい整理法が適しています(P13)

とある。仕事の環境も、やり方も時代の変化によって変わっていくもの。さらには、それぞれの職場環境や業種によっても様々。
ではあるのだが、できるだけ便利に、とかできるだけストレスなく、といった基本はどの仕事も同じ。こうした、「働き方」のレベルを上げていくTipsは、たくさん仕入れて試してみるってのが大事なようですな。

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