「正しい選択なんて存在しない ー メンタリストDAIGO「後悔しない超選択術」(西東社)

テレビなどで人気のメンタリストDaigo氏は「時間術」「集中術」「人脈術」などなどビジネス本をたくさん出しているのだが、今回はちょっと耳慣れない「選択」についてのビジネス法である。

以前レビューした「自分を操る超集中力」の中でも、「ウィルパワー」について解説しながら、「選択疲れ」によって集中力が削がれていくといったことに言及されていたのだが、今回はその「選択」」ということについて取り上げられている。

で、本書のタイトルが「正しい」ではなくて「後悔しない」となっているのは

未来に何が起きるか誰にもわからない以上、選択に正解はない。あるのはベターな正解(P8)

という主張に基づくもので、どれだけ選択を間違えないか、どれだけ有利な選択をするかといったことに関するものは見かけることはあるのだが、そもそも、間違えない、正しい「選択」なんてないんだ、というところからスタートするあたりは目の付け所が違いますね。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 選択の仕方にはスタイルがある
第2章 「後悔しない選択」をするための準備
第3章 「後悔しない選択」をするための習慣
第4章 選択力を鈍らせる5つの落とし穴
第5章 「後悔しない選択」をするトレーニング

となっていて第1章は、選択したり意思決定したりするときの「類型論」とそれぞれごとの後悔しない選択の処方箋、第2章以降は趣向が変わって全てのタイプ共通、後悔しないための処方箋や心理学的分析とアドバイス、といった構成になっているので、類型論にあまり興味のない人は第2章から読み始めても差し支えないように思う。

で、まず最初に基本として押さえておかないといけないのは

①正しい選択がある
②今ある成功は、自分の過去の選択でできている
③選択肢は多ければ多いほど可能性も広がる

といったことは「全て間違い」とされているところで、ここをきちんと認識していないと本書を読む効果も激減するので要注意である。

で「類型論」のあたりは、今回のレビューでは飛ばさせてもらうとして、まず注目すべきは

「周りと同じことをしたい」という心理は「社会的証明」と呼ばれ、慣れない場所でより強く働きます(P118)
人は多くの選択肢を検討する前に、人にすすめられ、自分も「いいかな」と感じた方法をなんとなく選択してしまう(P120)

というところで、とりわけ「同調圧力」の強い日本人は気をつけないと、人に流されて後から後悔するという轍を踏みがちなので要注意ですね。さらには、

選択肢が多くなりすぎると、人は選択することを事態を先延ばしにします。ところが、脳は選択を先延ばしにしていることを忘れません。「いつかは選択しなくちゃいけない」と思いながら別のことを考えるため脳は疲弊して、さらに判断する力を失ってしまうのです。
当然、判断する力が弱まった状態での選択は後悔しやすいものになります。(P128)

といったことは誰しも経験のあるところでありましょう。

といったところを踏まえながら、「後悔しない選択」をするための処方箋が数々紹介されるわけで、後悔しない選択をするための3つの行動習慣として

①複数のサンプルを用意する習慣
②難しい選択は午前中に済ませる習慣
③不安への対策をする習慣

といったところの具体的な話とか、

脳は起きてからの約2時間が最もクリアな状態です。中でも朝食を摂ったあとの約30分間がゴールデンタイムだとされています。
(略)
朝食後の30分から1時間を、じっくりと大事な決断をするのに使えるようなスケジュールを組みましょう(P130)
朝の頭がクリアな時間に明確な行動プランを作っておくことで、余計な”選択疲れ”を予防することもできます(P132)

として、具体的な「朝のゴールデンタイムを活用する習慣術」として

①紙に「今日やるべきこと」を6つ、メモする
②その6項目を重要だと思われる順に番号を振る
③このメモの順番に従って作業を進める
④もし全部できなかったら、悔やむことなく忘れる
⑤翌日、新たな6つの項目を新しくメモする
⑥上記を丁寧にくり返す
ポイントは1つの作業が終わるまで、次のことはやらないこと。また、その日のうちに終えることができなかった作業は、翌日に持ち越しても構わない
この方法を実践することで、同時並行の作業であれもこれもと混乱するのを防ぎ、作業を1つに絞り込むことで迷いなく結果をだせるようになる(P149)

といったノウハウが示されたり、このほかにも「プチ断食」であるとか「コア・バリューノート」といったものも掲載されているので、「選択」に関するノウハウの総覧といった感じのノウハウ本となっている。

【レビュアーから一言】

あれこれとたくさんのアドバイスがされているので、それに圧倒されて、どうせ私にはできるわけないよね、となりがちなのがノウハウ本の反作用であるのだが、そのあたり筆者は

「自分を変えたい、生活を変えたい」と思っても、多くの人が途中で挫折してしまう原因は、一気に大きく変えようとしてしまうからです。そこで、提案したいのが「10%ルール」です

自分の生活の10%ぐらいを変えていく。本書で学んだ選択にまつわる知恵のうち、10%程度を導入し、あなたの選択基準を変えていく。そんなイメージです(P250)

といった「優しい」アドバイスをしてくれている。一挙に大幅に変えようとすれば、反発も出るし、挫折してしまう原因ともなる。「休まず、弛まず」に自分の「選択の方法」を変えていくことが大事なようですね。さて、あなたは何から変えますか?

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