満を持しての新作「マクベス」の評判は? ー 「七人のシェイクスピア(Part2)6」

七人のシェイクスピア

大英帝国が絶頂を迎えたエリザベス一世の時代に、イギリス・ルネッサンスの本場ロンドンで、劇作家として世に出現。以後、演劇の世界に大きな影響を及ぼし続けている「シェイクスピア」の半生記と彼の創作の秘密を描く「七人のシェイクスピア」Part2の第6巻。

前巻の後半で実施することが決まった「劇場戦争」がいよいよ本格化し、海軍卿一座がその実力を見せつけてきます。この劣勢を、ストレンジ卿一座の花形・理チャードの演技と、シェイクスピア・チームの新作「マクベス」がどう突破するのか、といったところが本巻です。

【構成と注目ポイント】

構成は

第48話 開戦
第49話 姿見
第50話 乱世の英雄
第51話 束の間の灯火
第52話 勘違い
第53話 やがて王となるお方
第54話 渡り切るのみだ
第55話 マクベス夫人の死①
第56話 マクベス夫人の死②

となっていて、まず、海軍大臣一座の俳優で今やロンドン一の人気俳優である「ネッド・アレン」が女王陛下からもらった「鏡」を楽屋に持ち込んで、ストレンジ卿一座の俳優・リチャードにプレッシャーをかけたり、海軍大臣一座の人気芝居である「タンバレイン大王」の第2部では、金に物をいわせたスカウトした他の劇団のトップスターを「端役」で使うなど、エゲツない手を遠慮なく使って、海軍卿一座の優位さをみせつけてきます。

この時点では、人気俳優と人気芝居を有する海軍卿一座がやはり興行収入でも上回っているのですが、プレッシャーを受け続けた「リチャード」が、ここで大化けし、役柄のキャラが乗り移ったかのような「名演技」を連発します。

いままで、才能の片りんは見せていても、今一つ脱皮しなかったリチャードが、とうとう大空へ舞い上がり始めた瞬間ですね。

そして、いよいよ、シェイクスピア・チームが精魂傾けてつくりあげた新作「マクベス」の上演です。

「三人の魔女」のシーンとか、

ロビンの考案した舞台セットなどもあって、

「マクベス」は大歓声をもって観客から迎えられるのですが、ここで、海軍大臣一座の卑劣な妨害工作が始まります。

なんと、彼らは自分たちの一座の役者をこっそり、このマクベスの芝居に忍び込ませていて、彼らに本来の筋にはない、マクベスの命令でマクベス夫人が暗殺される場面を演じさせます。舞台の役者たちは、不意の出来事に大混乱に陥るのですが、シェイクスピアはなんと・・・

といった展開です。ネタバレはここまでにして、詳細は本書のほうで。

【レビュアーからひと言】

このシリーズでは、大根役者の「ロビン」が、斬新な舞台セットを考案することになっているのですが、エリザベス一世時代の劇場の多くは、客席も舞台も明るいままで演技するのが通例で、幕もなく、観客のただなかに役者がでてくるといった構造のものだったようです。ほんの目の前で役者が演技するのですから、現在の舞台より以上の臨場感があったと思います。

7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT(6) (ヤングマガジンコミックス)
ストレンジ卿一座と海軍大臣一座による合同興行という名の劇場戦争が始まった!&...

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