ツンデレ美女の「釣り」三昧 ー とうじたつや「おひ釣りさま 1」

釣り

釣りマンガの代表格といえば、矢口高雄さんの「釣りキチ三平」ややまさき十三さんの「釣りバカ日誌」というところがあげられるのですが、その主人公は、山村の自然の中で生まれ育った「三平」や大企業のダメ・サラリーマン、ハマちゃんこと「浜崎伝助」で、、女性の登場人物といえば、三平の幼馴染の「かすみ」(この名前は、矢口作品の女性キャストの定番的な名前ですね)ちゃんや、ハマちゃんの奥さんの「美知子」さんぐらいで、釣りに参画するのは一平じいさんや魚紳さんにしろ、鈴木建設の社長兼釣り仲間の「スーさん」にしろ、「男性」ばかり、という状況です。

そんな男性優位の「釣りマンガ」の中、女性の地位を向上させようという訳でもないのでしょうが、都心の会社の営業セクションに勤務する「ツンデレ系」で、就職して2年目で、仕事はできるが、付き合いと愛想は悪い、美人系の女性(上条星羅)をメインキャストに据えた釣りマンガが「おひ釣りさま」シリーズです。

【収録と注目ポイント】

収録は

第1話 ズル引き(ブラックバス)
第2話 外道(ナマズ)
第3話 釣り堀(鯉)
第4話 キャスティング
第5話 テクトロ(シーバス)
第6話 サビキ釣り(サバ)
第7話 穴釣り(カサゴ)
第8話 反射食い(川バス)
第9話 リールとルアー
第10話 アジング(アジ)
第11話 管理釣り堀①(ニジマス)
第12話 管理釣り堀②(ブラウントラウト)
第14話 初めての一匹①(ウグイ)
第15話 初めての一匹②(ウグイ)

となっていて、題名が「おひとりさま」のモジりになっていることでわかるように、彼女の釣りはほとんどが「単独行」で、このあたりに、「孤高の釣り師」の姿がでています。

で、その釣りの様子は海や川での第6話の尺サバのサビキ釣り

などのおなじみの「釣り」以外にも、第3話や第11話~第12話の釣り堀での釣りに至るまで場所を問わず、魚種については、スポーツ・フィッシングの代名詞ともなった「ブラックバス」から

「シーバス(鱸)」のテクトロ釣り、

極小ジグヘッドリグを使った「アジ」釣りまでをカバーする範囲の広さは並大抵のものではありません。ここまで幅広く釣りを楽しめるのは、ある種、「釣り師」の理想の姿といえるのかもしれません。

なにより、彼女が魚を釣り上げた時の

といった至福の表情は、すべての釣り師に共通するものではないでしょうか。

もっとも、彼女の自宅の様子は描写されておらず、推測するに都会での一人暮らしのようなので部屋もそんなに広くないと思われるのですが、釣り竿や釣り道具の保管はどうしているか、気になるところではありますね。

最後のほうの第14話~第15話では、彼女が釣りにハマっていった原因が描かれています、どうやら「血筋」という言葉がぴったりくるようなのですが、詳細のところは本書のほうで。

【レビュアーからひと言】

「釣りキチ三平」の場合は、世界中の大魚や怪魚への挑戦へと向かったり、「釣りバカ日誌」の場合は、釣りの縁で万年ヒラ社員であったのが仕事のほうの縁も広がっていったり、という感じに展開していったのですが、このシリーズは、ちょっと方向が違うようです。

今の段階では、釣りの技術を慕う後輩は出現しても、そういう方向へは行かず、「釣り」の道を深掘りしていく方向へ進んでいっている感じがするので、「一人釣り」の魅力を堪能したい人にはおススメのシリーズでありますね。

Bitly

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