女性市長のパイオニアが語る仕事術のキモー林文子「しなやかな仕事術」

ホンダの自動車販売の営業所で当時は「女性」という戦力扱いされていなかった立場を跳ね返し、トップクラスの営業成績をたたき出し、以後、BMW、フォルクスワーゲンの日本支社で辣腕を振るい、ダイエーの再建の陣頭指揮を執り、その後横浜市長に転身した、できるビジネスウーマンのロールモデルでもある筆者が自らの経験をもとに、「人」を大事にした仕事術のキモをアドバイスするのが、本書『林文子「しなやかな仕事術」(PHP新書)』です。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一章 人を好きになる方法
第二章 人とのつながりを考える
第三章 仕事でつまづいた時こそ見つめる
第四章 あなたの見方はきっといる
第五章 女性だからこそ、できること

となっていて、多くの職場で誇らしい実績を積み重ねてきた筆者の「仕事術」とあるので、さぞかしそれぞれの職場でこうやった、とか、こうやって効率化した、といった話がでてくるのかと思いきや、職場やカスタマーといった「人」とどう付き合うか、どうやって人のやる気や好意を引き出すか、といったメンタルなところを中心としたアドバイスです。

◇ビジネスの基本は「人」とのつきあい◇

筆者がビジネス人生の現場で活躍していた時は、今のような「デジタル」な社会ではなく、しかもセールスという人と人との接触がキモの職場であるので、本書でも「基本」として据えられているのは

こうして「ひと声かける」ことこそが、私の仕事人生を貫いて最も大切にしてきた習慣の一つなのです。

であったり

押しつけやゴリ押しでは、物は売れません。
スキルや知識をひけらかしても、人の心には響きません。
ビジネスで大雪なのは、やはり「人」。目の前の人に自分のほうから寄り添っていき、いい人間関係を築くことこそが、仕事がうまくいく秘訣なのだと。

といったことで、「リアル」で人と話をし、心を開くこと、これが基本になってますね。
今、新型コロナの感染拡大で、こうした直接の人の「ふれあい」が制限されている時、この大事さを改めて感じた人も多いのではないでしょうか。

なので、筆者は、メールやSNSを優先する若者に対しては

大切な幼児までメールで済まそうとするのは、人と面と向かって話すことが恐いからでしょう。・・・だから、なるべくなら会わずに済ませたい。その意味で、いまの若い人は敏感すぎるのかもしれません。敏感といっても、相手の気持ちを気遣う敏感さとは、ちょっと違う気がします。どちらかといえば、自分の気持ちに敏感なのです。

と手厳しいですね。

◇逆境の時こそ、「人」が大事◇

なので、筆者の場合、失敗してしまったり、ピンチの時の切り抜け方も「人」を基本に据えています。
たとえば、失敗してしまった部下への慰め方も

私流はやっぱりほめること。
「おかしいな。あなた、あんなに一生懸命やってくれたのにね」
と相手の努力を認めて、共感してあげるのです。

であったり、自分がピンチの時も

たとえリーダーの立場になったとしても、一人で苦労を抱え込むことはありません。部下や後輩に対する体面など気にせず、どうぞ、時には弱音を吐いてください。自分をされけ出して向き合ってこそ、上司、部下の関係を越えた人間対人間の絆が結ばれていくのだと思います。
その意味で。「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は上司から」が私の持論です。
普通、ホウレンソウは、部下から上司に対してするものだと思われています。でも、部下からのホウレンソウを待ち続けてヤキモキするぐらいなら、自分のほうからアクションをしかけてしまったっほうがずっと気が楽です。

といった感じですね。もっとも、あくまでも自分のほうからアクティブに仕掛けるところが筆者らしいところではありますが・・。

さらに、こうやって「人」とのつながりを重視していてもトラブル、クレームといったことは避けようもないのですが、

クレームの対応には、考え方のコツがひとつあるのです。
それは「お客様が怒っているのは、商品に対してであった、私への個人攻撃じゃない」と冷静に受け止めること。そう。お客様は、個人の性格にクレームをつけているわけではないのです。自分のことではないのですから、わざわざ傷ついておたおたすることはありません。

といった「野太さ」は我々も身に付けておいたほうがよいかもしれません。

このほか、女性ビジネスパーソンのロールモデルとして、時代を切り開いていった立場からの

私が働く女性の力を大切だと考えるのは、GDPの数値など、”数”のことだけではありません。注目したいのは、女性がもつ”質”そのもの。女性ならではの特性はビジネスの世界に向いているし、また仕事のやり方を進化させる大きな塚らになるはずだと信じているからです。

といった提言など、女性活躍に話についても注目ポイントがあるので、民間のビジネスパーソンだけでなく、行政関係者も一読しておいて損はないと思います。

【レビュアーからひと言】

新型コロナの感染症拡大で、人と人とが密に話をする、集まる、といったことが自粛気味になっている今なのですが、理念的な意味で、「人と人との直のふれあい」の重要性は薄れていないように思います。
要はこうした「密」で「熱い」ふれあいの機会を、「ソーシャルディスタンス」が必要とされる時代にどうやってつくっていくか、が課題なのでしょう。「密」か「疎」かと極端から極端に振れるのではなく、「しなやか」に解決法策を考えていくことが大事なように思いますね。(もっとも、横浜市も、IRカジノ法関係では、しなやかというより、スッキリとした解決が必要なのでしょうが・・)

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