バーゼルランドは内戦突入。士官学校は第一王子軍の猛攻撃を受ける=「軍靴のバルツァー」7・8

19世紀の帝国主義まっさかりの頃、こちらの世界でいうとヨーロッパ大陸の北東部に位置する軍事国家・ヴァイセンの軍人「ベルント・バルツァー」が隣国「バーゼルランド」へ軍事顧問として派遣され、大陸の強国と弱小国の間で繰り広げられる戦争と謀略に巻き込まれながら、士官学校の生徒とともに国際政治の中心に乗り出していくプチ異世界戦争物語『中島三千恒「軍靴のバルツァー」(バンチコミックス)』シリーズの第7弾から第8弾。

前巻までで、ホルベックの騎兵部隊を殲滅し、その功績で対バーゼルランド工作の諜報部門の指揮官となり、ヴァイセン・ホルベック紛争の戦後処理を議論する国際会議の開催地で、突如出席を表明したヴァイセン国王を暗殺する陰謀を潰したバルツァーだったのですが、これをきっかけに表面化し、内乱へと発展していくバーゼルランドの第一王子・テオドールと第二王子・アウグストの兄弟対立へ本格的に巻き込まれていきます。

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あらすじと注目ポイント

第7巻 バーゼルランドの二王子の関係は断絶し、国は内戦に突入

第7巻の構成は

第33話 ふたりの相克
第34話 女帝の駒
第35話 崩壊前夜
第36話 最期の授業
第37話 王国の分裂
第38話 少年の導

となっていて、ヴァイセン領事館の大使が仕掛けたヴァイセン国王爆殺の企みを潰したベルツァーは、リープクネヒトに、エルツライヒの冬離宮へと連れていかれます。そこで待っていたのがエルツライヒの女帝「マリア・ルドヴィカ」とバーゼルランドの第一王子「テオドール」です。

大陸の強国を裏から操る女帝の企みはバーゼルランド第二王子・アウグストがエルツライヒの王族と、第一王子・テオドールがヴァイセンの王族と婚姻関係を結び、互いに姻戚関係となることで対立をおさめようというもので、バルツァーは、女帝の姪・ヘレナとの結婚をアウグストに承諾させるよう要請を受けます。

結婚による盟約関係の締結は、古くからの手法なのですが、本当に利害対立した時はなんの支えにもならないことは、日本でも西洋でも実証済みの方法なのですが、マリア女帝としてはこれが一番という信念のようですね。

アウグストと面会するため、マリア女帝の姪・ヘレナ王女がバーゼルランド王宮へとやってくるのですが、アウグストは、彼女を「女帝の駒」と罵倒し、結婚を拒絶します。エルツライヒ嫌いからそういう行動にでるのかと思ったバルツァーだったのですが、アウグストの口から語られたのは、二人の兄弟に関する血筋の疑惑です。

それは、第二王子が産まれた時、アウグストの母親・ソフィアは産後の静養をとるため、故郷エルツライヒに里帰りしたのですが、そこで食料不足に端を発した市民暴動に巻き込まれてしまいます。暴徒たちに乗っていた馬車が襲撃され、王子二人が拉致され行方が分からなくなってしまいます。市民暴動を鎮めるため、立憲君主制へ移行することを決定した3か月後、ある近衛将校が一人の少年と赤ん坊を王子だと連れてくるのですが・・という内容で、二人の王子が偽物ではないかという疑惑を示唆しています。

アウグスト王子は、この王子の偽物疑惑を利用して、エルツライヒに裏で操られている第一王子とマリア女帝との絆を断ち切る企みに協力するようバルツァーに迫るのですが、バルツァーは拒否し、これが原因で士官学校の顧問兼教官を罷免されてしまいます。

そして、王室の実権を握ろうと宮廷に向かい、第一王子を拘束しようとするのですが、リープクネヒトによって阻止されたため、病床にある父王を連れて士官学校へと帰還します。父王を奪われた第一王子は、エルツライヒ軍を国内に引き込み、クーデターを敢行。

ここから、バーゼルランドは第一王子側と第二王子+父王の勢力に分かれた内戦へ突入し、第二王子たちが拠点としている士官学校へ、第一王子率いるバーゼルランド正規軍とエルツライヒの派遣軍が攻撃を開始します。バルツァーが去った後、残った士官学校生徒はどうやってこの攻撃を凌ぐのか・・といった展開です。

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第8巻 第一王子軍は士官学校を包囲し、砲撃を開始する

第8巻の構成は

第39話 観測射撃
第40話 決断の朝
第41話 栄光の一族
第42話 少佐の流儀
第43話 絶望の淵へ
第44話 隠密越境
第45話 降伏勧告
第46話 彼方からの帰還

となっていて、学校に周囲に張り巡らした鉄条網の防御陣で敵の第1次攻撃を退けられた第一王子側は、援軍として来ているエルツライヒのレンデリュック大佐に攻撃を依頼します。彼は軍事先進国エルツライヒの砲兵の父と呼ばれていて、情報と組織体系、数学で砲兵を動かす、科学的な砲兵術の権威です。彼の指揮による砲撃で、士官学校側は、観測基地としていた校内の鐘楼を破壊されてしまい、学校側は一挙に不利になるのですが、砲兵を指揮するディータはすぐさま砲撃方法を見直し、反撃に出ます。これに対してレンデリュック大佐側は軍馬に大砲を牽引させる「騎馬砲兵」を多用して大砲を移動させながら砲撃するという戦法で対抗し、と力任せではない、科学的な戦闘が繰り広げられていきます。

しかし、味方しようとする地方貴族もなく、国軍も様子見の中、孤立していく第二王子側にいるヘルムートのところへ実家から帰還するよう矢のような催促がきます。国の北部で騎馬兵団を抱える父親は、第一王子側について北部貴族の地位を高めようとしているわけですね。

幼馴染からの説得もあり、とうとう士官学校を出ていく決断をしたヘルムートだったのですが、実はこれはフェイク。彼女にはもっと別の目論見があって・・というところで詳細は原書で。彼女の行動は後々、バルツァーと士官学校生徒だけでなく、アウグスト王子の運命も変えていくことになります。

一方、バーゼルランドと同盟関係にあるヴァイセンでは国論が二つに分かれています。参謀総長たち軍部に主導された派兵支持派に対し、これをとめようと国王派は動いているのですが、派兵支持派が優勢なため、せいぜい10日間、派兵決議を先延ばしするのが精いっぱいです。この事態に、ヴァイセン国王は、バルツァーに士官学校内にいる第二王子アウグストの保護を依頼してきます。

国王の要請を受け入れれば参謀総長と対立することとなり、今後の出世は絶望的になるのですが、上昇志向の強いバルツァーの決断は・・といったところですね。

そして、第一皇子軍の学校を破壊する大型臼砲が完成し、学校への砲撃が始まる中、バルツァーたちが学校へと向かうのですが・・といった展開で、詳細は原書のほうで。

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レビュアーの一言

第8巻で、士官学校からの砲撃を交わして、逆に学校への砲撃を行うためにエルツライヒ軍が採用していたのが「騎馬砲兵」なのですが、これは、こちらの歴史ではプロイセンの「フリードリヒ大王」が最初に本格的に採用したのですが、もっとも効果的に活用したのが、自らも砲兵出身であったナポレオン1世です。

皇帝直下の近衛騎乗砲兵隊は全速で駆けつけてから最初の一発を撃つまで1分もかからなかったそうですので、敵にとってはその機動力と速射はかなりの脅威であったろうと思います。この機動性脳から「空飛ぶ砲兵大隊」とも呼ばれていたようです。

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