ヘルムートの「新・騎兵隊」がヴァイセン軍の列車砲を撃破する=「軍靴のバルツァー」16

19世紀の帝国主義まっさかりの頃、こちらの世界でいうとヨーロッパ大陸の北東部に位置する軍事国家・ヴァイセンの軍人「ベルント・バルツァー」が隣国「バーゼルランド」へ軍事顧問として派遣され、大陸の強国と弱小国の間で繰り広げられる戦争と謀略に巻き込まれながら、士官学校の生徒とともに国際政治の中心に乗り出していくプチ異世界戦争物語『中島三千恒「軍靴のバルツァー」(バンチコミックス)』シリーズの第16弾。

前巻ではヴァイセン亡命政府とバーゼルランド連合軍の守る塹壕を巡って、携帯型のロケット砲を携帯した精鋭歩兵による塹壕奪取作戦を、マルセルたち歩兵の活躍で防戦を果たしたバルツァーたちバーゼルランド軍だったのですが、今回は、エルツライヒの援軍も到着し、ヴァイセン本国軍との決戦が迫る中、騎兵のヘルムートが新境地を開きます。

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あらすじと注目ポイント

構成は

第94話 ヘルムートの懊悩
第95話 上回る砲
第96話 立場と役目
第97話 定石、感情、信頼。
第98話 恐怖との向き合い方
特別番外編 万博

となっていて、前巻でシュトライヒ将軍率いるヴァイセンの誇る最強騎兵集団「胸甲騎兵師団」が気球による爆撃によって撃破されたり、バーゼルランドの解放戦でも、騎兵が新技術を使った作戦のもとの騎兵隊が崩れ去るのを目撃していた、貴族出身の騎兵隊長「ヘルムート」は、騎兵と自らの存在価値について悩み込んでいます。

そんな時に出会ったのが、エルツライヒからヴァイセンの独立政府とバーゼルランド軍の援軍にやってきたエルツライヒの女帝マリアの孫娘ヘレナとエルツライヒの砲兵の父と呼ばれ、バーゼルランド解放戦ではさんざんバーゼルランド軍を苦しめたレンデュリック大佐です。

彼女はこれからの騎兵の生き残り策として、彼の指揮する「騎馬砲兵」にその可能性を感じているようなのですが、レンデュリック大佐の意見では、馬が牽引する砲には限界があり、馬の世話を維持するのも相当な労力が必要なため、早晩、時代遅れになるだろうという意見です。そして、彼がこれからの「騎兵」となるのでは、とヘルムートに見せたものは・・という展開で、その詳細は原書のほうで。
当時としてはかなり「新奇」なものなのですが、これに抵抗なく飛びつき、乗りこなすあたりが彼女の非凡なところです。

で、エルツライヒの援軍と新型の75ミリ砲が数門到着し、ここからバルツァーたちの反撃が始まります。長距離の飛距離と駐退機の装着で連射が可能なこの大砲によってヴァイセン本国軍はとたんに劣勢になるのですが、これを押し返すのが、「戦場の女神」と呼ばれる砲兵隊の隊長・ルディ大佐が采配をふるう超巨大列車砲・ギーゼラです。後方に位置するエルツライヒの砲兵陣地を牽制しながら、塹壕を通って司令部へと軍を進める通路をつくるため大砲撃をくわえてきます。

列車砲でつくられた通路を使って大軍を進めるヴァイセン本国軍なのですが、これを迎え撃つのが、ヘルムートの率いる「新・騎兵隊」で・・という展開です。

レビュアーの一言

特別番外編では「万国博覧会」がとりあげられていて、そこには各国政府の展示する美術品のほか、新しい兵器見本が展示されている様子が描かれています。このなかでは、「現政府とそれに対立する地方軍閥の両方が別々の国として展示許可されている」と紹介されていて、羽織袴、帯刀したちょんまげ姿の人々が描かれているので、徳川幕府と薩摩藩が出展した「パリ万博」あたりがモデルと思われます。

で本題のほうは、ここででてくる自動装填機構を装備した小型の斉射砲で、1秒に10発の発射が可能だ、と紹介されています。バルツァーはヴァイセン軍の技術顧問に相談するのですが、彼らの頭は固く・・といった筋立てです。バーゼルランドのアウグスト大統領はバルツァーが興味を持っていることから導入を考えるのですが、バーゼルランドの工業力ではそれを支えることが出来ず断念せざるをえないという状況ですね。

仮にバーゼルランドの導入され、ヘルムートの「新・騎兵隊」に装備されていればすごいことになっていると思われるのですが、残念です。

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