近藤勇の説得で、伊東甲子太郎一派が新選組に加わる=ヒラマツ・ミノル「アサギロ」27

幕末の歴史を、薩摩の西郷隆盛や長州の桂小五郎といった倒幕勢力や土佐の坂本龍馬といった維新志士たちの対抗勢力として、必殺の剛剣をふるって、京都の街を血で染め「浅葱色の狼」として恐れられた新選組の近藤勇や土方歳三、沖田総司の姿を描いた「アサギロ」シリーズの第27弾。

前巻では、蛤御門の変をおこしたものの薩摩の出兵で長州勢が敗走したのですが、新選組は主戦場を「武家」ではないと追われ、真木和泉たちが自死するところに立ち会うことしかできず、敗北感にかられています。そんな折、池田屋事件鎮圧の褒美で旗本上席格への取り立てを断った近藤は、隊員の補充と新風を入れるため、関東で募集することにし、藤堂平助の師・伊東大蔵に目をつけます。

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あらすじと注目ポイント

構成は

第163話 帰宅
第164話 水と油
第165話 局長の座
第166話 砲と剣
第167話 総長と一兵卒
第168話 薩摩の舵

となっていて、前半は、多摩の試衛館道場から始まります。池田屋での新選組の活躍の噂が関東まで伝わったため、道場破りをして名を上げようと、腕に覚えはあるが、京まで上洛して新選組に加わる度胸まではない、という「剣客」たちがおしかけてきています。

ただ、中には腕のたち剣客も混じっていて、腕利きの門弟たちが京へいってしまっている留守番部隊では歯が立たないこともあるようです。今回、そんな剣客がやってくるのですが、偶然、近藤の使いで江戸へ帰還していた藤堂平助が出くわして・・という展開です。藤堂の小柄で風采のあがらない様子に、剣客たちは小馬鹿にして立ち会うのですが、京での修羅場経験は藤堂を相当成長させているようです。

この風采のあがらなさは、近藤の使いで、伊東道場を訪ねるときでもしっかり発揮されていて、伊東大蔵の妻「みつ」からかなり不審がられています。
しかし、彼の持参した近藤からの手紙を見た、伊東大蔵はかつては疎んじていた平助を道場内にあげ態度が変わります。近藤からの手紙には、大蔵だけでなく道場の門人すべてを新選組へ迎え入れたい、ということが書かれていて、その言葉に心惹かれたとうですが、誘いがあったことを単純に喜んでいるわけではないようですね。
それは、八王子に帰還した近藤に立会を申し込んできたあたりと近藤の誘いにのって上洛したあたりで、ある程度明らかになりますね。

ただ、伊東甲子太郎(「大蔵」から名前を改めてます)たちが不遜な気配を醸し出したというわけではなく、新選組に入隊してからは一兵卒として、威張り屋の谷三十郎の配下となって小間使いのような仕事にも従事しています。このあたりが後に伊東が新選組内で一派を形成していった理由かもしれません。

レビュアーの一言

今巻では、他藩のほうでは、長州が高杉晋作の働きで四国艦隊の賠償金請求を回避したり、西郷隆盛が坂本龍馬の紹介で勝海舟と対面して長州恭順の調停をしたりと不穏な気配が漂い始めています。今巻ではここらまでなのですが、次巻以降、幕府を追い詰めていく動きが出てきそうですね。

ちなみに恭順の調停で西郷と会ったのは、長州の支族で岩国領の領主であった吉川恒幹です。吉川家は関ケ原の戦で宗家の毛利家を取り潰しから救ったのですが、自領の岩国が支藩と認められなかったことから本宗家とは疎遠だったのですが、恒幹が融和路線に変換したようですね。

吉川家が江戸初期と幕末期に、本宗家の毛利家の滅亡の機会を救ったということになりそうですね。

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