蛤御門の変、勃発。薩摩軍の強さが圧倒的=ヒラマツ・ミノル「アサギロ」26

幕末の歴史を、薩摩の西郷隆盛や長州の桂小五郎といった倒幕勢力や土佐の坂本龍馬といった維新志士たちの対抗勢力として、必殺の剛剣をふるって、京都の街を血で染め「浅葱色の狼」として恐れられた新選組の近藤勇や土方歳三、沖田総司の姿を描いた「アサギロ」シリーズの第26弾。コミックのカバー画は、蛤御門の敗戦で京を追われた桂小五郎の逃亡姿です。

前巻で京の町の焼き討ちを行って天子を御所から拉致する計画を立てていた宮部鼎蔵たち攘夷志士たちを撃退した新撰組だったのですが、今巻では御所を襲い、会津藩主・松平容保を討って朝廷の実権を我が手に収めようと長州勢が御所周辺を戦乱に陥れた「蛤御門の変」が描かれます。

あらすじと注目ポイント

第157話 進発
第158話 禁門の変
第159話 其の強さ
第160話 敗走
第161話 褒美
第162話 盛名

となっていて、冒頭では、長州藩の過激攘夷派である「来島又兵衛」とともに、兵を率いて京へ攻め上る「真木和泉」の姿が描かれます。

蛤御門の変、勃発

薩摩藩の志士たちが多数粛清された「寺田屋騒動」や、孝明天皇の怒りをかって御所から長州藩が追放された八月十八日の政変で、破れた側の中心にいた人物なのですが、来島又兵衛や福原越後、久坂玄瑞たち主戦派に加わって「復活」を狙っているわけですね。しかし、亡命公家から託された書簡を破り捨てたり、と相変わらず不遜な態度は変わっていないようです。

ちなみに久坂玄瑞は本心からの主戦派ではないように描かれていて、池田屋事件で犠牲になった吉田稔麿の敵討ちというシチュエーションです。

一方、宮中で朝廷との折衝にあたる幕府方の代表は、後の十五代将軍となる一橋慶喜です。作品によって顔つきや性格の落差の激しい人物なのですが、このシリーズでは「切れ者」ではあるものの性格は悪そうで、しかも会津の松平容保の人気に嫉妬していますね。さらに、薩摩の西郷隆盛とは水と油の関係のようです。

ここで新撰組は伏見街道を守備していた大垣藩の加勢に向かっています。この段階ですでに長州軍の指揮官・福原越後は戦死しているので彼らの出番はなかったわけですが、大垣藩の城代から侮辱をうけて憤慨することとなります。この結果、伏見の戦線を離れて大阪へ向かうのですが、このおかげで薩摩に蹴散らされた後、天王山に立てこもった真木和泉の最期に立ち会うこととなります。

薩摩軍、強し

蛤御門前での戦闘では、途中の中立売門を守る筑前黒田藩が長州藩をスルーさせたり、と幕府軍内部での統制がかなり乱れています。黒田藩は幕末、勤王派と佐幕派の勢力争いが激しく入れ替わったところなので、この背信行為も頷けるところではあります。

中立売門を過ぎて、蛤御門を攻める長州藩は、会津藩、特に藩主の松平容保を標的に定めていて、一点攻撃をしかけてきます。容保の首をとろうと迫る来島なのですが、そこに西郷隆盛率いる薩摩軍が横入りを仕掛けてきて・・という展開です。

当時、最強といわれた「薩摩」の攻撃の凄まじさは、原書のほうで確認してくださいね。

物語の最後半では、この蛤御門の変の功績で、隊長の近藤勇が旗本格となる「与力上席」に取り立てられ、六百両の恩賞が与えられるのですが、このあたりから新撰組の「体質」が変わっていったように描かれています。幕臣として成り上がることを夢見ていた近藤勇の「上昇志向」が色濃くでてきた、というところですかね。

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レビュアーの一言

今巻では、新撰組の内紛事件として有名となる「油小路事件」で粛清される伊東甲子太郎が登場します。彼は江戸の北辰一刀流伊東道場の道場主として安定した暮らしをしているのですが、そこに沸々とした不満を抱えています。特に、妻の贅沢がガマンならないようなのですが、

伊東甲子太郎は養子として伊東道場に婿入りした境遇で、妻の「みつ」は道場主の娘だったのですから、この不満は少々、お門違いでは、と思う次第です。

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