富山での転落事故が全国連続殺人事件の真相解明へとつながる=田村由美「ミステリと言う勿れ」13

天然パーマが爆発したような特徴的なカリフラワーヘアーの持ち主で、人と交わるのが苦手な心理学専攻の大学生・久能整(くのう・ととのう)が、望まないのに向こうのほうから降りかかってくる奇妙な事件を、その丁寧で鋭い観察力と、雑多な博学的知識をもとに謎解きをしていく。Z世代が探偵の新感覚ミステリー・シリーズ『田村由美「ミステリと言う勿れ」(フラワーコミックスα)』の第13弾。

前巻で、風呂光刑事の故郷・富山で起きたかもしれない風呂光の祖母の教え子殺人事件の真相解明のため、富山にやってきた「整くん」だったのですが、この殺人事件(疑)をきっかけに連続殺人事件の真相解明へと巻き込まれていきます。

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あらすじと注目ポイント

構成は

episode17-6 上質な眠り
episode17-7 曖昧なコロシ
episode17-8 熊はどこにいる
episode17-9 獅子の分け前
episode17-10 あの海が覚えてる

となっていて、前巻の最後で風呂光刑事の地元の知り合いの富山署の流刑事を幼い頃から面倒を見てくれた地元のゼンギョー財閥の会長・酒井善行を、孫娘・陽菜が地元を出て東京の大学に行くことを説得した「久能」はその縁で、彼のアパートに厄介になっているのですが、ここで富山で知り合いになった「@旅めし」の専属ライター「望月湊」が氷見市の海岸で凍死しているとの知らせを受けます。

彼も橋から転落して溺死した「水島妙子」を殺った同じ犯人の手にかかったのかも、と疑った久能は、警察庁のHPの犯罪統計をみているうちに、「@旅めし」の取材先で殺人事件がおきていることに気づきます。

さらに東京に還った風呂光のほうも、富山の事故死を予告した「ant」がメールを送り付けた全国いくつかの警察署をたどり、その署の管轄で未解決の殺人事件おきていることにたどり着き、さらに「@旅めし」との関連性に気づき・・という筋立てです。

この後、風呂光は富山ヘ向かい、「@旅めし」のカメラマン・蕪木が橋の上から何かを投げ落とすのを見つけ、潜水してそれを回収するのですが、それは「水島妙子」がお気に入りでいつもつけていたある装飾品で、風呂光の祖母がなぜか無くなっている、と証言したもので・・という流れへと繋がっていきます。

これと並行して、三姉妹とスキー場へ帰る前に、富山市観光をしている「久能」のもとへ蕪木が現れ、ここから「久能」の謎解きが語られるのですが、連続殺人事件の犯人は蕪木ではなく・・という展開です。

ただ謎解きはこの連続殺人事件で終わりではなく、「望月湊」の凍死の真相に至ることで、今回の富山編の一連のエピソードが完結することとなります。
風呂光にとっては少々苦い「富山」での事件となりますね。

ちなみに、殺された「水島妙子」がつけていて、事件後紛失していたブローチは、犯人にとって殺人を行ったトロフィーのようなもので、ほかの連続殺人先でも目立たないちょっとした小物を盗んでいたのですが、その使い道は雑誌のプレゼントにしていた「テラリウム」の材料にされていた、という結構グロい仕立てになっています。

レビュアーの一言

今回の富山編では、このシリーズで「味噌っかす」扱いされていた風呂光巡査がとうとう覚醒して、一人前の「刑事」に成長しています。さらに、水死体を見つけたショックで封印していた潜水も解禁し、体当たりの捜査官に変貌しています。

さらに本巻の最後では富山から帰って登校した大学構内で、あのお調子者の「レン」くんから、「いわくつきの島」へいこうと誘われているので、次巻以降そこが舞台になるのかも、ですね。

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