麗華の煙館、壊滅。ユダヤ人街を舞台に紅幇との戦闘激化=「満州アヘンスクワッド」14

第二次世界大戦前、中国東北部に徒花のように成立した国家「満州国」を舞台に、その闇を支配しようとする日本陸軍の「関東軍」、中国の闇組織「青幇」に対抗して、独立した犯罪組織をつくろうとする「日下勇」や「麗華」「リン」たちの活躍を描くクライム・ストーリー『門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」(ヤングマガジンKC)』シリーズの第14弾。

ビジネスの規模をさらに拡大するために上海に上陸し、自らの拠点を拡大し始めたところで、既存のビジネスや上海の秩序に障り始めたため、地元ギャングの紅幇や地元の自主警備組織の工部警察に睨まれ始めた勇と麗華たちだったのですが、ユダヤ人街に拠点を移しながら、上海の既存勢力との対決が激化していきます。

あらすじと注目ポイント

構成は

第123話 煙館炎上
第124話 強力者
第125話 乾杯
第126話 日本人街
第127話 最低の人間
第128話 流れる血
第129話 虹口の架け橋
第130話 上海の守護者たち
第131話 開戦の銃声
第132話 地下水路

となっていて、冒頭では、紅幇たちの経営する煙館を潰してつくりあげた、真阿片を商う「煙館」が、紅幇のボス・蘭玉の用心棒によって破壊され、勇たちが新しい客筋をつかむために入った上海一の大キャバレー「新世界」へは工部警察が臨検に出向き、勇と麗華の上海における拠点潰しを始めています。

さらに紅幇の刺客たちが、マルク・ベッカーが記事を書いている新聞社へやってきて、新聞社の編集長をリンチにかけて、麗華たちへの警告文を腹に刻んだ後、両足を切断して殺し、街角に晒します。しかし、この脅しはナチスによって家族を奪われ、上海では人間扱いされてこなかったマルクの反感を買うことにつながってしまったようですね。

麗華たちは、マルクの案内でユダヤ人街の地下住居に匿ってもらい、マルクは亡命ユダヤ人たちを煽動して、紅幇との対決姿勢を強めていきます。

一方、勇は麗華と一緒に上海の有名料亭「六三花園」で「日本人会」の有力者に面会し、彼らの助力をかち取ることができたのですが、その帰り道、以前、キャバレー「新世界」に潜入した時についてくれた踊り子の「春鈴」に見つかり、勇たちが「真・阿片」の密売人であることに気づかれてしまいます。このままでは自分たちの情報が紅幇にばれてしまうことを恐れ、麗華は勇に春鈴の抹殺を命じるのですが・・といった展開です。

後半部分では、勇の「仏心」が原因で、ユダヤ人街のアジトが紅幇にばれてしまい、彼らとの武力衝突が始まるのですが詳細は原署のほうでどうぞ。

レビュアーの一言

上海へのユダヤ人の来訪は、発端は19世紀半ばにロシアに住んでいたユダヤ人が商売のためにやってきたのが際よとされているのですが、大挙して上海にやってきてユダヤ人街を形成するようになったのは、ドイツにナチス政権が誕生し、ユダヤ人への迫害を始めたことが原因です。

迫害を逃れるために、東中欧のユダヤ人が数多く亡命し、1933年から1941年までの間におよそ3万人が逃れてきたと言われています。彼らの亡命を助けたリトアニアのカウナス日本領事館の杉浦千畝領事やウィーンの中華民国領事館の何鳳山領事が有名ですね。

当初は生活条件も劣悪だったユダヤ人街なのですが、1930年代終わりから1940年代初めには、コミュニティーの運営によって学校が設立され、新聞も発行されたり、劇場やキャバレーまでできるほどになっていました。

しかし、太平洋戦争の勃発により、ドイツが日本に対しユダヤ人の引き渡しを求めてくるなど国際情勢が悪化し、ユダヤ人街に住むユダヤ人も行動を制限されたり、多くの制約が加えられるようになってきています。

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