すべての「新人の卵」に捧げる、ビジネスの「基本中の基本」– 河野英太郎「99%の人がしていない、たった1%の仕事のコツ」(Discover)

「井戸を掘った人の功績」を忘れてはならないのはビジネス本も同じで、そうした「古典」を再読すると、以前読んだ時とは違うところに感心したり、その時は気づかなかったことに出会ったり、ということがあるもの。
この「99%の人がしていない、たった1%の仕事のコツ」は2012年の発刊でもあり、「99%の人がしていない、たった1%のリーダーコツ」と並んで、仕事術の「ノウハウ本」としては、もう古典の部類に入るのかもしれず、「ホウ・レン・ソウ」という言葉もかなり手垢がついた感がするのであるが、何かの折に再読すると、初出のときの新鮮さを確認できる一冊でもある。
構成は
CHAPTER1 報連相(ホウレンソウ)のコツ
CHAPTER2 会議のコツ
CHAPTER3 メールのコツ
CHAPTER4 文書作成のコツ
CHAPTER5 コミュニケーションのコツ
CHAPTER6 時間のコツ
CHAPTER7 チームワークのコツ
CHAPTER8 目標達成のコツ
となっていて、多くの人にはすでに常識中の常識となっているかもしれない
仕事をしていて最も困るのが、上司やクライアントによる急な方向転換です。
それが締め切り直前だと絶望的。しわよせは全部自分にやってきます。
これを避けるための方法があります。
ホウレンソウを早め早めにすることです。
自分からチェックポイントを設け、上司やクライアントとコンタクトを取り、」常に認識を一つにしておく。これができると大きな悲劇を避けられます。
とか
「優秀なヤツは、若手中堅ベテランにかぎらず、議論の最中に立ち上がってホワイトボードに書き始める」というものでした。
この「優秀な人たち」がホワイトボードを使ってやろうとしているのは、言葉だけが行き来して、なかなか議論が進まない「空中戦」を避けることです。つまりホワイトボードで論点を整理し「つまり、こういうことですか?」と会議参加者の認識を揃えることです。
といったこともあるし、メールの作法など、SkypeやChatツールの発達した今ではメールそのものが古びてきているものあるのだが、さて、じゃあ、自分や部下が、それができてるか、というと心もとないことが多い。
さらには
KISSの原則ーーKeep IT Short & Simple
パワーポイントの資料は、ワンスライド ワンメッセージ
といったふうに、およそこれを体現した資料を見たことはないな、と思うこともあるし、
私は会議終了後15分以内に、紙の資料は必ず廃棄することにしています。いまどきデータで存在しない資料と言うのははありませんので、必ずどこかにデータはあります。・・・紙の資料しかない場合は、すぐにスキャンしてPDF化することで、データでパソコンに保管します。こうすれば紙資料しかない場合でも、紙を破棄することが可能です。
紙資料と電子ファイルを探すのではまったくスピードが違います。紙ではなくデータで資料を持っておけば、資料のありかにとらわれない上、いつでもどこでも仕事ができます
のように今現在、紙で氾濫している自社の仕事環境を思い浮かべて「うーむ・・・」と唸ってしまうものも。
加えて
かつて先輩が聞かせてくれた話があります。「『あいつ使えない』という表現は、『あの人は役に立たない』という意味ではなく『私にはあの人を使う能力がない』という意味だ。『あいつ』と指差した手のうち3本は自分に向かっている。」
といった仕事術ではなく、人を使う基本のようなことも記してあるのが、単なるノノウハウ本とは一味違うところで、ここらあたりがベストセラーとなった所以かもしれない。
ビジネスの社会を常に新人が補給されるもの。新卒のフレッシュマンもあれば、転職後のフレッシュマンもある。そして、「LIFE SHIFT」の時代、自らが「新人」となって転職したり、再就職したり、第二・第三の職業人生を歩んだり、ということが日常となっている時代である。すべての「新人の卵」は、「基本中の基本」を常日頃から確認しておくのがよろしいですね。

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