「習慣」を味方にしてビジネス人生を激変させるコツ ー 小川晋平・俣野成敏「一流の人はなぜそこまで、習慣にこだわるのか」

一流の人はなぜそこまで、習慣にこだわるのか?~仕事力を常に120%引き出す自己管理~

タバコや飲酒といった悪癖だけでなく、早起きや日々のエクササイズなど「人は習慣でできている」といっても過言ではないのだが、では「良い習慣」で構成されているのか、というととてもそんな状況になくれ、日々の誘惑や意志の弱さに負けて、ついつい惰性で過ごしてしまうのが、一般人というもの。

そういった多くの人の「悩みのタネ」である「習慣づけ」について、「朝」「昼」「夜」「毎日」「毎週・毎月」「毎年」「一生」と、時間のレンジを分けながら、二人の筆者が、自分の経験に基づいて、「一流の人になるため」のアドバイスをしてくれるのが本書『小川晋平・俣野成敏「一流の人はなぜそこまで、習慣にこだわるのか」(クロスメディア・パブリッシング)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 一流と二流を分ける「朝の習慣」
第2章 仕事が最速で動く「昼の習慣」
第3章 人脈と可能性を広げる「夜の習慣」
第4章 脳と体のキレを上げる「毎日の習慣」
第5章 成長を加速させる「毎週・毎月の習慣」
第6章 視座を高める「毎年の習慣」
第7章 志を貫く「一生の習慣」

となっていて、基本のところは「経営者」「管理者」というよりは、「一般社員」「中間管理職」向けのアドバイスが多いので、そのあたりは注意しておいてほしい。

また冒頭のところで

人生で成し遂げたい何かがある。  そこまでとは行かずとも、1年、1ヶ月以内にやりたいことがある。   もしそうなら、明日から、朝4時起きを1週間続ける理由を作ってください。
この本で紹介していく話は、ときに過激に映るかもしれません。ただ、大変なこと、他人から見たら過激に映ることほど、習慣にした方がラクになることは、本書を読み進めればわかるはずです。

という「お断り」がしてあるので、そこは注意しておいてくださいね。

で、そんなところを踏まえて、いくつか本書のアドバイスをネタバレすると、まずは面談などで時間がとれないと言っている人には

スケジュールをビッチリ埋めることに価値はありません。
むしろ、予定は余裕を、持たせることが理想です。

としたうえで、そうした予定で自分の時間が確保できないことには

普段タスクに追われて自分にとって重要なことができないなら、自分の時間もタスク化してしまえという発想です。 そもそもどうでもいいアポが、他人だからという理由で優先順位が勝る理由が分かりません

と一刀両断しているところは天晴れであるし、

おすすめするのは、集中力の持続時間を計測してみることです。
実際にストップウォッチで計ってみるのです。予想以上に長いなら喜んでいいと思いますが、短いからといって悲観する必要もありません。計るという行為が集中力を生む仕掛けです。
もし集中力が 15 分続いたのなら、それは自分にとって新しい武器を手に入れたのと同じことです。 あと 15 分で会議が始まるといったときに、今までなら中途半端な時間だと思っていたのが、「ラッキー! 15 分もある。何しようかな」と思えるようになります。

といったところは、集中できる時間を計測しようというのはよくあるアドバイスなのだが、それを把握することによって、隙間時間、切れ端時間の使い方もわかってくるというのは、「ほぉ」と思わせるところである。

さらには、異業種の交流会などに参加する場合は、「仕事につながった件数はオンの交流会の5倍くらい」という経験から、相手との接点は「価値観の共鳴や関係性ありき」と割り切って、

名刺を100枚配るより、魅力的な人をひとり見つけて話し込んだ方が、はるかに価値がある

というところは、これも一つの見識だよね、と頷くとしても、

独身時代、私は家でダラダラすると睡眠時間が削られてしまうので、その誘惑を絶つためにテレビとソファとベッドを捨てました。 なぜベッドまで捨てたかというと、ソファがなくなったらベッドでくつろぐ自分がいたからです。(マットレスを買って立てかけておくようにしました。)

については「・・・・」という気がするのだが、まあ、マネするかどうかは「あなた」次第でしょうね。

このほか、メモの取り方や「会議の時には、自分の意見に対する対極軸は必ず擁しておく」といったオーソドックスなものから、

年配の上司ほど「毎朝、日経新聞を読んでこい」と言いますが、 2次情報に鮮度を求めても効果が弱いので、日中でも夜でも空いた時間に読めば十分です。 むしろ、アウトプットをするのに最適な朝を、新聞を読む時間で使ってしまうのは非合理的だと言えます。ちなみに、私は新聞を一週間分まとめ読みしています

といった過激なものまで多種多様のアドバイスが満載なので、これ以上は原書で確認をしてください。

【レビュアーからひと言】

硬軟とりまぜたアドバイスの数々もさることながら、途中のコラムもなかなかユニークで読んでおいて損はない。例えば「指定席にお金を払う」のは一流の習慣なのか」で

指定席は不自由席。
自由を得たいなら自由席。
みなさんも出張で新幹線に乗ることが多いでしょうが、小川は基本的に自由席に座ります。
単純に指定席に座るメリットよりデメリットの方が大きいからです。  まず、決まった時間に乗らないといけません。乗車直前に大事なお客さんから電話がかかってきたらと考えるだけも怖いです。また、席も決められていますから、「あの席空いたから席をうつろう」と思ってもできません

と主張しているところは、通常の時間管理本とは違った視点で面白い。過激なところも含めつつ、お得な「ビジネス指南書」と思います。

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