日本の会社の「属人化」をなくすには、職場の「達人崇拝」や「専門家の神格化」をやめることが一番

沢渡あまね氏の「問題地図」シリーズを読んでいて、働き方改革の阻害要因の一つに、仕事の「属人化」ということがよくでてくる。
「属人化」が進行すると、一定の仕事が特定の個人のノウハウとか知識に依存していて、その人がいないと仕事が滞ったりする上に、悪化すると、そのノウハウや人脈が伝承できず、その人を異動させられなかったり、退職されれば、はいそれまで、といったことがおこってくる。

さらには属人化しやすい専門の得意分野の持ち主を、本当なら、その分野のオーソリティといいう存在であるにもかかわらず、日本人の大好きな「〇〇道」という「道」を極めることと同一視して、すべての分野の通じる、対処できるという錯覚をして、多分野の調整業務が必要なポジションや、プランニングのポジションにつけてしまい、全体が機能不全に・・、といった例は、日本企業でよく耳にする例でもある。。

この「属人化」の解消方法として、「職場の問題地図」では

①脱属人化・標準化の取り組み自体を評価する
②ノウハウや知識の公開・共有を評価する
③その人に、育成者としての地位と名誉を与える

といったことがあげられているのだが、当方的に最も重視すべきなのは②であるように考えている。

というのも、海外は知らず、日本の「属人化」の陰には、「その道の達人崇拝」、あるいは、なんでも「術」から「道」に進化させちゃう傾向が隠れている気がするのである。

このため、本来なら、仕事の技術というのは、ほとんどが「テクニック」の部分で、スポーツの技のようなものと考えるべきなのだが、どうかすると、妙な「精神論」がくっついてきて、時と場合と相手方も考えず、いつでも有効な手法として祭り上げられ、その使い所と使い方は「秘伝」のごとく、家元のもとに秘められたままということになる。

で、この解決策は、とにかくオープンソースにすることが有効だろう。しかも、そのノウハウが適用された相手、シチュエーションも含めてオープンにできるように、一定のフォーマットは決めておく、そして、誰でも簡単にアクセスでき、追記できるシステムを開放する、といったことが大事なように思う。

出典は覚えていないが、司馬遼太郎がイギリスとスペインの植民地支配を比較して、イギリスはその支配のノウハウを外にオープンにしなかったのに対し、スペインはそれを開放した。これが帝国主義が進む中、イギリスの隆盛とスペインの衰退につながったということを言っていたような気がするのだが、一つの組織内において、特定の個人のノウハウ独占が招き弊害は大きい。人事的な処遇や報奨制度も含めて、組織内にノウハウをオープンにしたほうが得になるシステムをつくれるかどうかが、組織の浮沈を分けると思いますな。

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