古くて新しい「ムダな会議のなくし方」を考える ー 斎藤孝「会議革命」

「会議」というのは、日本のビジネス環境の中で「効率化」が求められるものとして、真っ先に上がるものであることには間違いない。
実は本書の初出は2002年で、ほぼ20年前の本であるのだが、日本式会議の特徴や改善点をみると、今なお多くの会議で見かけるところが多くて驚いてしまうのだが、つまりは、そうした」ホワイトカラー部分の「カイゼン」はまだまだ掘り込む余地があるということであろう。

【構成と注目ポイント】

構成は

序 会議革命とは

第Ⅰ部 会議革命を起こす十の法則

法則一 とにかくアイデアを出す
法則二 「結果の出やすい」テーマ設定をする
法則三 三色に色分けして、聞く・話す
法則四 インスパイア・アイテムを用意する
法則五 身体のモードを切り替える
法則六 他人の脳みそを使う
法則七 ホワイトボードに書き込む
法則八 スポーツ感覚で臨む
法則九 全員の顔がみえる位置に座る
法則十 何かを決めてから会議を終える

第Ⅱ部 会議革命

第一の革命 ポジショニング
第二の革命 キーワードシート
第三の革命 マッピング・コミュニケーション

となっていて、第一部が、日本の会社で見かける「日本式会議」の欠陥、第二部が筆者の提案する「会議」の劇的な改善方策といった構成である。

当方が本書で注目しておくべきと思うのは、せっかく抜本的な改革手法を提案してくれている筆者には申し訳ないのだが、第Ⅰ部のところ。ここで、二十数年経過しても変わらない古式ゆかしい「会議」と自社の今の会議を比較して「青ざめる」といった使い方が本書にあるように思っている。

それは例えば

アイデアを批判する人はあたかもそのアイデアを出した人間よりも優位にたっているような印象をまわりに与えますが、じつは何もしていないのと同じだというのが、私の考えです

であったり、

「日本的会議」の弱点はアイデアを出さない人でも偉そうにしていられるところにあります。
本来、会議においてえらいということは、課題状況を乗り切る具合的アイデアを出せることを意味します。質の高い愛でを次々に出せる人がその会議では序列が高くあるべきなのです。
ところが現実にはそうはなっていません。あらかじめ序列が決まっていて、アイデアを出せる才能とは無関係に発言権が分配されてしまいます。
そういう現実がなぜ延々と引き起こされてしまうのかというと「会議はアイデアを生み出す現場である」という認識が共有されていないからだと思います。これをまずみんなで共有するところから会議革命は始まります

といったところで、このあたり、心当たりのあるビジネスマンも多いのではないだろうか。
さらには

レジュメは、説明内容をひとつひとつ読み上げたりしなくても目で見ればわかるために配るというのが、その機能のひとつです。ですから、それをひとつひとつ読み上げて、より細かく説明しているようではレジュメを用意する意味がありません

日本の会議が不毛なのは、ひとつには会議の基本モデルが”宮中御前会議”になってしまっているからではないでしょうか

であったり、「連絡会議は元来、会議ではない」といったあたりを読むと、赤面して穴があったら入りたい管理職もいるのではないだろうか。

ただここで気をつけておかないといけないのは、こうした「会議の改善点」が長い間、悪弊と認識されながらも生き残ってきている強固さで、ちょっとした改善活動や、事務改革ではなかなか撃退できない代物だと考えて取り組んだほうがいい、ということであろう。

そして、こうした「会議のムダ」の撃退法をアドバイスしてくれる本は、本書をはじめとして数多く出版されているので、丁寧に自社の環境にあうものを探していくのが結局は近道なのかもしれないね、と思う次第である。

【レビュアーからひと言】

なかなか撃退できないのが「会議のムダ」というものなのだが、「事件は会議室では起こらない」のは事実ではあるが「会議でないと解決できない問題もある」というのも事実である。
そして、会議は、様々な部署が寄り集まって知恵を出し合う場である、運営さえうまくいけば効果的な手法であるのは間違いない。地味ではあるが、本書のようなアドバイスをコツコツ収集して、実践してみることが一番なのかもしれないですね。

 

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