オフィスの永遠の課題「整理」に挑む ー 「キングジム超整理術213」

書類の整理やファイリング、パソコンデータの効率的な管理、そして職場の整理整頓・・。誰もが一度は、やってはみたのだが、なかなか継続できず、挫折してしまった経験のある「オフィスの定番」ではなかろうか。
そんなオフィスの永遠に課題について、特徴ある文具の開発・販売メーカーとして名高い、「KINGJIMI」で業務の”見える化”やオフィス環境の改全など、オフィスの業務改善と業務効率向上に着脱ファイリングシステムのコンサルティングを行っている「キングジム ファイリング研究室」によるオフィスの業務改善と効率化の「スキル・ブック」が本書『オフィスのプロだけが知っている キングジム超整理術213-人も組織もうまくまわりだす(KADOKAWA)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

PART01 まずは「頭」と「心」を整える
 PART01のガイドライン
  なぜ整理術が必要なのか?
  ワークスタイルから考える整理術
  考え方を変えれば自由になる
  整理を習慣化させるためには?
PART02 理想の机周りにする
 PART02 のガイドライン
  机周りの整理のコツ
  理想の机のつくり方
  ファイリング術の基本
PART03 時間を生み出すアイテム術
 PART03のガイドライン
  時間をファイリングする
  メモの紛失を防ぐ方法
  名刺の管理
  カバンの整理術
  ファイルを使った整理術
PART04 デジタルデータの整理術
 PART04のガイドライン
  パソコンの文書管理
  安全な情報データ管理
PART05  共有部を整える
 PART05のガイドライン
  オフィスデザインのノウハウ
  オフィス全体の書類管理
  共有サーバの文書管理
PART06 組織の意識を整える
 PART06のガイドライン
  チームで取り組む場合
  リーダーとして取り組むには
  成果を実感し、効果を波及させる

となっていて、内容としては、個人としてのスキルアップの部分と職場全体で取り組む部分の両方についてアドバイスするようになっているのだが、今回のレビューは「個人」としてのスキルを中心にとりあげると、まず第一におさえておきたいのは、「整理」の精神論的なところで、

整理とは、すなわち捨てることです。分類したり、きれいに整えたりしようと考える前に不用品を捨てましょう

といったあたりは、とかくこういう整理術・ファイリング術となるとテクニカルなところに集中してしまう我々への貴重な警告でありますので、心して従いましょう。
で、そういうことを踏まえながら提案されるのは

誰にでも「管理できる量」があり、その範囲内で維持すれば整理上手への道が開けるということ。整理整頓がどんなに下手であっても、持っている書類やモノの量を減らしていけば、管理できる量に行き着きます。
(略)
ファイリングは 几帳面 な人だけの技術ではありません。 使ったらすぐに元に戻す、新しいファイルは管理表に登録するなどと聞くと、「やっぱり無理」と思うかもしれませんが、 このひと手間によって面倒が省けると実感できれば、習慣としてできるようになるでしょう

「整理とは捨てること」と聞くと、自分の選択肢が狭まるようで窮屈に感じる人もいるでしょう。  しかし、そんなことはありません。それどころか、捨てることで楽になり、“持たざる解放感”を得ることができるの です

といった「整理」についての考え方から始まって

モノをドサッと入れられる段ボール箱を用意してください。
やり方は簡単。足元に「見極めBOX」を置き、机周りの整理を始めます。手に取った書類やモノが必要かどうか判断し、不要品はその場でゴミ袋やゴミ箱に捨てます。  そして、判断に迷ったとき、 必要かどうかすぐには決めかねると思ったときは、「見極めBOX」の出番。とりあえずの待機場所として箱の中に入れておきます。見極めにかける期間は、1週間でも1カ月でもかまいません。
それからは、見極めBOX」にあるものが必要になった場合にのみ、箱から取り出して使います。使い終わったら、正規の置き場所を決めて収納しましょう。
見極め期間が終了したとき、はたしてどれだけのモノが箱の中に残っているでしょうか。ほとんど取り出さずに終わるモノも多いでしょう。それはすなわち、それらが「不要」であることを意味しています。残ったものは捨ててください

というモノを捨てるかどうか見極めるための箱「見極めBOX」を使うやり方であるとか、

仕事をしているとき机の上にあるのは「仕掛りBOX」と仕掛りホルダーと、そこから出した「仕掛ホルダー」だけ

という状態で現在進行中の仕事の情報を整理・管理して、業務効率アップを図る「仕掛りファイリング」と

回覧する文書などが外部から部署に届いたら、受付のMAIL BOXに入れられ、そこから各メンバーのMAIL BOXを回っていき、最後は回覧済みのMAIL BOXに行き着きます、
メンバーはそれぞれがMAIL BOXで何か届いていないか常にチャック氏、空の状態を保って書類が停滞しないように気を付けます。

という「MAILファイリング」で構成される「クリアデスク」のシステムであるとか、けっこう骨太の効率的な業務を行うための「仕組み」が提案されています、さらには、「机の上に積んである書類は、ファイルやボックスを利用して立てる」や「ファイルを抽斗の中で並べる順序は、利用頻度が高いものかほど手前におく」といった「小技」的なTipsも豊富なので、デスクワークの改善ネタを仕入れるのに便利ですね。

このほかに、こうしたアイデアを使ってオフィス事務を改善していくための組織的な取り組みのやり方もアドバイスされているので、そういうプロジェクトを担当することが決まったビジネスパーソンは、まずこの本でシミュレートしておくことをおススメします。

総じて、個人的な改善ネタを探している人も、会社の仕事として改善を担当している人、どちらの立場であっても。目を通しておいた方がよい一冊であると思います。

ちなみに、2020.03.09現在、Kindle Unlimitedの対象となっているので、メンバーになっている人はダウンロードしてみてくださいな。

【レビュアーからひと言】

本書によると「片づけられない人」の特徴は
①「忙しい」が口癖の人
②資料が増えてしまう人
③捨てられない人
という特徴があるらしく、ここに当てはまるな、と自覚している人は重点的に、この本を読んだ方がいいですね。もっとも、ほとんどのちゃんと」仕事をしているビジネスパーソンはこれのどれかに当てはまってしまうことが多いと思いますが・・・。

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