アイドルにつきまとうストーカーの冴えた撃退法 ー 東村アキコ「美食探偵 4・5」

東村アキコ

イケメンながら妙なデザインのジャケットと時代遅れのループタイを見につけ、美食家ではあるが、普段の昼食がデリバリーの弁当という探偵「明智五郎」が、行きつけのデリバリー弁当屋の若いオーナー「小林苺」とともに、明智が生み出してしまった「殺人狂」マグダラのマリアの犯行に挑む「美食探偵」シリーズの第4弾と第5弾。

第1巻で「美食探偵」シリーズのアンチヒーローである「マリア」の殺人癖を呼び起こし、カップルを毒殺したリンゴ農家の娘「リンゴ」、第2巻では、グルメサイトに店の悪口ばかりを投稿する投稿マニアを殺した「シェフ」、第3巻では、姑から送られてくるてづくり品をきっかけにマザコンの夫を刺殺した「れいぞう子」といった「マリア・ファミリー」を生み出したのだが、今回は「地下アイドル」グループがメイン・キャストとなる。

【あらすじと注目ポイント】

第4巻は、主筋とは離れて、地中海で優雅にイケメンとデートする「マリア」の様子から始まります。「マリア」の”想い人”は「明智五郎」のままのようですが、背が高くてワインに詳しい若い男を「つまみ食い」した、というところでしょうか。

で、この青年が既婚者であることに気づいた彼女は、彼にサラダを食べさせて殺害します。ただのサラダではなくて、マリアが道端でみつけて、あのきれいな花を咲かせる植物の「葉」を混ぜた特製のものですね。

今回のメインキャストとなるのは

というアイドルグループで、「爆音エンジェルズ」というアイドル名ですね。そしてこのメンバーのうち向かって左の「ココ」に

といったストーカーのファンがついてます。この男は、「ココ」の自宅のアパートの場所までつきとめている上に、ストーカー行為に注意したメンバーの一人を階段から突き落として怪我までさせてしまいますね。

ここで、彼女たちの救援に乗り出したのが、「苺」に引っ張り出された明智五郎です。苺は、ココの高校時代の友人という設定ですね。そして、苺に頼まれた明智は、「爆音」のメンバーを彼の探偵事務所に泊めるのですが、ここで、思わぬハプニング。「ココ」が「マリア」からの手紙を発見して、殺人のサジェッションをする「マリアの部屋」にアクセスし、彼女の「誘い」にのってしまうことになります。

で、ここで、リンゴ、シェフ、れいぞう子のマリア・ファミリーが、マリアとともに、「ココ」のストーカー殺しをアシストします。
その大事な道具となるのが、青森で収穫し、スペイン製のオリーブ油で漬けた

というものです。この正体は本編で確かめてくださいね。
で、事件のほうは5巻へと続きます。ストーカーの男は、公園で倒れているところを発見されるのですが、胃の内容物とかを調べても毒物や麻薬とかは見つかりません。そして意識を回復したところを、マリア・ファミリーによってどこかに拉致されてしまうのですが、そこで、マリアが

と打ち明けるのですが、果たしてその意味するところは・・、という筋立てですね。犯行の真相をつかんだ明智が「ココ」を問い詰めた場面で、メンバーたちが

というところは印象的です。

第5巻の後半部分は、明智が苺のお弁当を気に入っていると知った、マリアが苺の抹殺に乗り出します。

といった感じで近づいて、苺にクルーザー上での出張料理を依頼するのですが・・・という展開です。船上で

とマリアに気づいた苺を襲う運命は、そして明智は彼女の危機を救えるか?ってなところは原書のほうで。

【レビュアーから一言】

このシリーズの「美食」の売りは、レストランで出てくるグルメもあるのですが、意外に魅力なのが、若きデリバリー弁当屋の小林苺のつくる料理の数々。
今回でてくるのは同級生が殺されて失意の明智を慰めるためにつくる「ジャパニーズ・コブサラダ」と

「爆音エンジェルズ」を明智の探偵事務所に匿っている時に彼女たちに出す「特製ナポリタンオムレツ」

いかがでしょうか。美味しそうですねー。「苺」の弁当屋が人気なのもわかるような気がします。

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