総解説>キングダム 17~19「魏・山陽攻略戦」その1=魏・山陽地方の争奪戦始まる=

中国の春秋戦国時代の末期、乱立していた諸国も秦、趙、魏、韓、斉、楚、燕の七カ国体制が長く続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズの第17弾から第19弾までを総解説します。

前巻までで、秦領に侵攻してきた趙軍を、王騎将軍の戦死という犠牲を払いながら、やっとのことで撤退させた「秦国」なのですが、その仇敵・趙国から同盟締結の提案がなされ、秦国は背後から攻められることなく、魏の「山陽地方」へ侵攻を図っていきます。

あらすじと注目ポイント>魏・山陽地方の争奪戦始まる

第17巻 信は百人将となり、ライバルに出会う

第17巻の構成は

第174話 三百将
第175話 李牧、咸陽へ
第176話 提案
第177話 交渉
第178話 祝宴
第179話 五年
第180話 前哨戦
第181話 蟻
第182話 出し抜く
第183話 第三勢力
第184話 太后

となっていて、今までの戦功で飛信隊は300人に増強され、信は三百人長に出世をしたところからこのタームは始まります。

趙の侵攻をくいとめてからそう月日がたっていない時、趙の宰相・李牧が秦都・咸陽へ来訪してきます。李牧の目的は「呂不韋」の人物を見ることで、ここを見てもこの時点では、秦の国を実質的に動かしているのが呂不韋であることは諸国の周知のことと思われますね。

そして、呂不韋側も、王騎を葬った李牧に興味深々なのですが、呂不韋、王騎の副将・騰たちは場合によっては李牧を暗殺することを考えています。
この交渉を間違えると自分の命が危ない局面で、秦趙同盟を提案するのですから、李牧の度胸はスゴイものです。
李牧の提案した同盟の中身は、同盟の間は秦が魏を攻めても、趙は魏に援軍を出さないことを約束するもので、趙が燕を攻撃している間、秦が趙に攻め込まないことを条件にしています。秦、趙それぞれの国の直近の課題に対応するために、昔からの因縁をひとまず棚上げするものですね。

この同盟の提案に秦の重臣たちの中には反発する者も多いのですが、呂不韋は、趙南部にあり魏との国境に近い「韓こう」という城を割譲してくれることを条件に同盟を受諾します。この城は李牧によって要塞化が進んでいる城で、ここを同盟の見返りに手に入れることができれば、趙、魏に睨みを効かすことのできる絶好の拠点で、さすが呂不韋の「ふっかけかた」も目のつけどころが違いますね。

残念ながら、「政」はこの交渉の場面では「傍観者」。二人の会談を玉座の上で見守っているしかありません。ここは余計な動きをせず、彼が成人となる「加冠の儀」までの5年間の間に実権を握る思いを沸々とたぎらせているのだろうと思います。

こうした虚々実々の駆け引きがある中で、信は、同盟成立の宴席で、李牧に対し「お前をぶっ倒すのは飛信隊の信だ」とケンカをふっかけます。実際にこの場で戦うわけではないが、後の戦場での戦線布告には間違いなくて、この空気の読めなさは、信らしいところです。

この盟約の後、戦場に戻った信なのですが、飛信隊が攻め込む前に先回りして敵をせん滅している秦の他の部隊がいるという事態に遭遇します。その先廻りをしているのが、玉鳳隊を指揮する三百将「王賁」です。彼は王騎も属していた王一族の本家筋の嫡男。彼の父親は王翦大将軍。王一族は、王騎、王齕など有名な将軍を輩出しておりまさにサラブレットの一族。彼は貴士族出身であることや、才能があることを誇り、下僕上がりの信を上から目線で見下してきます。
王賁の才能は感じつつも、感情的に反発する「信」は貴士族出資の王賁がまねできない泥臭い戦法で戦功をあげていくのですが、ここは原書のほうで。

ここで話は宮中の「秦王・政」のほうへ移り、政の腹心となっている「肆氏」のもとへ、趙太后を中心とする後宮勢力が接触を図ってき、後宮を牛耳る「政」の母・趙太后から、王印で封緘をした白紙の書簡が届きます。

趙太后の後ろには、昔から後宮で権力をふるう「氾」「介」「了」という三宮家も控えており、彼らが「秦王・政」側に味方すれば、呂不韋との勢力差を五分五分近くまで高めることができるのですが・・といった展開です。

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第18巻 信はライバル「王賁」「蒙恬」とともに魏へ進軍

第18巻の構成は

第185話 母子
第186話 美姫の面影
第187話 向、伝える
第188話 揃い踏み
第189話 奇貨居くべし
第190話 攻城
第191話 玉鳳の武
第192話 侵略の現実
第193話 俺の戦り方
第194話 その男、廉頗
第195話 近利関の夜

となっていて、前巻で趙太后からの手紙を受け取った「政」は単独で彼女との会見に臨みます。

彼の目的は、趙太后が持っている「王印の複製」を取り返すことなのですが、リアルでの面談の機会をとらえて、彼女に秦王側に味方するよう頼みます。

趙太后と政には、父親で前王の荘襄王(子楚)が趙を去った後、趙国で苦難を舐めた経験があり、互いの間には溝ができているのですが、我が子の頼みとあってか、この時点では政に味方すると回答してきます。しかし、この回答は実はフェイク。政に協力するとみせかけて呂不韋の不安をかきたて、彼とよりを戻すための、趙太后の企みであったわけですね。

ここから後宮勢力は呂不韋側につき、秦王側とは圧倒的な勢力差がつくことになりますし、呂不韋が趙太后と密通したことが、秦の政府内を不安定化を増す原因ともなってきます。

この趙太后が政を裏切り、呂不韋と通じたことは、後宮の宮女・向によって政へ知らされ、秦王側と呂不韋側は表向きは別として、激しい対立を繰り広げていくことになります。この宮女・向は後に「政」の子供を産むことになるのですが、その子は公主(女の子)であったため、名前とかは伝わっていません。

ここで再び物語は秦と魏の国境地帯へ移ります。趙との同盟は成立し、背後から襲われる恐れがなくなった秦は、山陽地方へ侵攻し、大規模な魏攻略戦に突入します。今回、指揮をとるのは手堅い攻めで定評のある「蒙驁」将軍で、「信」も三百人隊となった飛信隊を率いて攻撃に加わります。

このときに出会ったのが「蒙恬」。「楽華隊」という三百人隊を率いる、蒙驁の孫、蒙武の息子という名門出身の若い武将です。これ以後、信は、王賁、蒙恬たちと深い関りをもっていくことになります。

蒙驁将軍率いる秦軍は、魏の高狼城攻めを開始するのですが、城壁を守る4人の将軍の堅守で攻めあぐめるのですが、ここで登場するのが王賁が運んできた井闌車という巨大な攻城機。これを使って城壁を登って城内に侵入し、高狼城を陥落させます。

この城攻めのところで注目しておきたいのは、住民の略奪と凌辱を働く秦の兵士を止めようとする「信」の行動です。
略奪をすることを自慢する千人将に切りつけ、あわや軍法会議にかけられそうになるのですが、蒙恬のコネに救われていますね。もっとも、少女に乱暴しようとする秦兵を密かに始末している羌瘣はもっと過激ですが・・

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第19巻 趙の亡命将軍・廉頗出動

第19巻の構成は

第196話 飛槍
第197話 武将の空気
第198話 王騎と廉頗
第199話 不思議な癖
第200話 千人将
第201話 信の声
第202話 告げる
第203話 抱擁
第204話 急造部隊
第205話 必殺の槍術
第206話 飛信隊の作戦

となっていて、前巻の終盤で、趙から亡命していた三大天の一人・廉頗将軍が、秦軍に対し魏軍を率いて立ちはだかります。

廉頗は趙の悼襄王と対立して故郷を捨てたのですが、その武威は秦の六将に匹敵する武将。今回の秦軍の脅威となることは間違いありません。
その廉頗の先手攻撃として、彼の四天王の一人・輪虎が、秦の若手千人将の連続暗殺を仕掛けていきます。この狙いは、有能な若手の千人将を暗殺することによって、急ごしらえの千人隊をつくり、秦軍を足下から弱体化させるつもりですね。

そして、輪虎の千人将暗殺のおかげで、千人将の席に空きが出、蒙恬と王賁が千人将へ臨時昇格することになります。これに加えて、昨夜、廉頗の出陣で弱気になっている蒙驁将軍を将軍とは知らず「発破をかけた」功績で、将軍の特別の計らいで、「信」も「千人将」へ昇格します。
もっとも、千人将なら三人、将軍なら一つ以上の首級をあげることが条件で、これがクリアできなければ三階級下の伍長に降格という条件付きなので、これを受けるかどうかはギャンブルっちゃギャンブルですね。まあ、信が断るわけはありませんが・・・

そして、いよいよ「山陽地域の攻防戦」の決戦場の一つである「流伊平野の戦」が始まるのですが、魏軍の総大将は、廉頗ではなく、先の秦魏戦で、呉慶の副将をしていた「白亀西」です。これは本陣に縛り付けられることなく、遊軍的に動こうとする廉頗の作戦のような気がします。

両軍が激突する中、急造の千人隊の玉鳳隊に輪虎が襲いかかり、輪虎vs王賁の激烈なバトルが展開されるのですが、その詳細は原書のほうでお楽しみくださいね。

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レビュアーの一言>廉頗将軍に注目

このタームで注目しておくべき人物は、魏から趙へ亡命していた「廉頗」将軍ですね。このシリーズで藺相如、趙奢と並んで趙の「三大天」の一人とされています。「三大天」というのは、史書にこの制度があるわけではなく、このシリーズのフィクションなのですが、趙の国を支える重要人物であることを示していると考えればいいでしょう。

廉頗以外の二人が文官あがりであったのとは対照的に、廉頗はねっからの「武人」で、外交官としての活躍が目立つ「藺相如」とは一時、対立関係にあったのですが、彼の愛国心を知り深い盟友関係となった「刎頸の交わり」のエピソードは有名ですね。

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